*第10話 訪問団いらっしゃい

この世界にも四季がある。

暦は一年を4節4期で表す。


昇節しょうせつ(春分)。

 前陽ぜんよう期。

陽節ようせつ(夏至)。

 後陽こうよう期。

降節こうせつ(秋分)。

 前陰ぜんいん期。

陰節いんせつ(冬至)。

 後陰こういん期。


一期は90日、一週間は10日で、

「前陽の3週5日」等と表す。


王都からログアード辺境伯領都アセムまでは

馬車移動で約20日の旅となる。


コネリー大司教主席枢機卿、

アンドリア王太子を筆頭とする訪問団が到着したのは

前陽の中頃。


麦の穂の稔りが揺れる初夏の事であった。


***


明日から5日間は王都からのお客様を

御もてなしするために

諸々の授業はお休み致します。


もうすでにうんざりですわ~


「あと何着有りますの?」

早朝から十数着と衣装を合わせ、

その度に髪型も結い直すのだから

首も肩も限界ですわよ!


「三着で御座います。姫様が主役ですもの、

ダモンの威信を賭けてお披露目する様にと

大奥様より仰せつかっております」


ルルナのコスチュームは、動くたびに見える

パンツと食い込みが問題視されて

卑猥ひわい認定されてしまい、

私とお揃いの衣装を着せる事になりました。


あちらの世界でもダメでしたもの、

こちらではなおさらですわね。


「これは魔法少女ではありません!」

と終始不満げでしたが、

ステッキは断固として離さなかったですわね。


「若様がお戻りになられるのは一年ぶりで御座いますね。

弟様は遠征えんせいに出ておいでだとか」


ようやく衣装合わせが終わりましたので、

皆でお茶を頂いております。


「フリスタスお兄様は南方で私掠しりゃくせん

討伐任務に就いておられるそうよ」

オルエルトお兄様とフリスタスお兄様は

双子の兄弟ですの。


オルエルトお兄様は陸軍に、

フリスタスお兄様は海軍へと

お進みになられました。


オルエルトお兄様は訪問団の一員ではありませんが、

王太子殿下のお口添えで随行を許されたとの事です。


南蛮なんばんバルドーの海賊など

弟様の敵では御座いませんね」


マルガリテは事も無げに言うけれど

私は心配でなりません。

海賊の体裁を取っていますが、

帝国の支援を受けた非公式の半軍隊です。

唯のならず者では無いもの。


さても明日に備えて早めにお休みさせて

頂きましょう。


女中のエミリとアリスがルルナから剝ぎ取った

フリフリ紐パンツをめつすがめつ

眺めていますわ。

挿絵:https://kakuyomu.jp/users/ogin0011/news/16817330656466409482


履いてみる?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る