伯爵邸に出戻ります!①



 王都に近い公爵邸から地方にあるアンダーソン伯爵邸までは馬車なら二日半ほどかかる。公爵邸の馬車を使わせていただいているから途中で降りなきゃいけない。


 その後は、汽車に乗らないといけないしもっとかかってしまう。



「エレクさん、ここまでありがとう。それと今までありがとうございました」


「いえ……こちらこそ、リディア様にお支えさせていただけてよかったです。ありがとうございました」



 公爵家の馬車から降りると、駅の中に入る。私はチケットを購入してアンダーソン領へと汽車で向かう。鮮やかだった街並みが海の景色になり私は一度、汽車から降りた。


 駅を出ると、宿探しをすることにした。



「ようこそおいでくださいました、リディアさま」



 宿探しといっても、ほとんどの宿は私の父であるジョン・アンダーソン伯爵が統括しているのでどこに行っても普通に宿泊出来る。それがいいところよね。


 無事、宿泊できた私は安眠できた。それから1日、馬車に乗って街の風景から緑が増えてきた頃……伯爵領であるアンダーソンへ戻った。



「あっ! カネリー!」


「リア様!? え、旦那様何も言ってなかったはず――」



 メイド服をきた彼女は、カネリー。平民育ちの侍女だ。同い年の彼女は、私が結婚前まで姉妹のような関係だった。



「カネリー、興奮し過ぎよ? お父様もお母様もご存知ないわ」


「そうなんですか……あ、旦那様も奥様も今は書斎にいらっしゃると思います」


「ありがとう、カネリー。あとでまたお話しましょう?」



 カネリーにそう言って私は邸宅へと入って行った。書斎に向かう中、「リア様!?」「あれ、幻聴かしら……」なんて声が聞こえてくるが今は報告が大事だ。


 書斎のドアの前に着くと一度深呼吸してドアをノックした。



「はい、どうぞ」



 そうお父様が応えたので、私はドアを開けた。



「失礼いたします、リディアただいま帰りましたわ」



 私がそうお父様とお母様に告げると驚いた顔をした。



「え!? リア! どうしたんだい、急に……」


「リアちゃん……何かあったのね? 座って話しましょ」



 お母様は私に座るように言ったが、座って話すことじゃない。だから、私は立ったままお父様に向かってはっきりと言った。



「お父様、私カルロ様……いえ、ムーア公爵と離縁してきましたわ!」


「……え、なんだって?」


「正確には、愛人が懐妊されたらしいの……だから離縁宣言されてしまって、帰ってきちゃいました」



 嘘を言っても仕方ない。あったがまま、両親につたえた。すると――……



「何ということだ……! リア……なんて可哀想に」


 お父様は私に座るように促すと、執事を呼びお茶とお菓子の準備を言い渡した。



「お父様、私は大丈夫ですわ。少し疲れてしまいましたので休んでもよろしいですか?」


「あぁ、そうだな……ゆっくりするといいよ」



 私はそう言われて書斎を出ると、結婚前に使っていた部屋へと向かった。


 

 


 

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