外務庁調査
アルスはサノスからの要請により、外務庁への立ち入り調査に同行する。
外務庁は法務庁と同じ西エリアにあり、法務庁から5分ほどの距離にある。
調査にはサノスをトップとした約30人の調査隊で行われる。調査隊は法務庁のエリートで構成されており、本気度が高いことが分かる。
「父様、いよいよですね。」
「あぁ、アルス頼むぞ。」
少し会話をしてから外務庁に乗り込んだ。
外務庁に入ると太った男を先頭に外務庁の職員がアルス達を出迎えた。
太った男はアルス達を見ると不敵な笑みを浮かべた。
「待っていたぞ、サーナス法務大臣。」
「出迎え感謝する、リーベル外務大臣。」
どうやらこの太った男がリーベル外務大臣のようだ。歳は50歳くらいだろうか。
太っているせいでたくさん汗をかいている。
いかにも悪役という感じだ。
アルスが心の中で色々と思っているとリーベル外務大臣はアルスに気付いた。
「おや、そちらの子は?」
「私の息子のアルスだ。」
「初めまして、サノスの息子アルスです。」
アルスはリーベル外務大臣に挨拶をする。
「ほう、君がアルスか。色々と噂は聞いている。今日はお手伝いかな?」
「調査隊の一員として来ました。ところで噂とは?」
アルスは聞き返す。
「とても優秀だという噂だ。どうだ、私の元で働く気は無いか?」
リーベル外務大臣は不敵な笑みを浮かべアルスを勧誘してきた。
(勧誘してきた、父様がいるというのに...)
アルスは心の中でそう思うとサノスの方を見る。
サノスは明らかに不快感を示していた。
「そのような話はやめていただこう。アルスには自分で自分のやりたいことをさせる。」
サノスはアルスに代わりきっぱりと断ってくれた。
「そうか、まぁいい。優秀な奴はいつでも歓迎する。」
リーベル外務大臣はそう言うと話を変えた。
「ところで今日は年間財務報告書の件で立ち入り調査に来たということで間違いなかったか?」
「あぁ、法務大臣権限で外務庁を立ち入り調査する。外務大臣は部屋で一時監禁させてもらう。よろしいか?」
「あぁ、構わない。好きに調べてくれ。」
サノスはリーベル外務大臣に一時監禁を伝えるとあっさり承諾し、外務庁内の一室に監禁された。
(自信があるのか...それとも...)
アルスは心の中でリーベル外務大臣の言動を怪しく思った。
「父様、リーベル外務大臣は何か隠していると思います。」
「あぁ、それは間違いない。早速調査を始めよう。」
サノスは調査隊に調査を開始するように指示を出した。
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調査が始まり、調査隊が外務庁内の各部署で資料を集めている。この間外務庁職員は外で待機するよう指示されている。
アルスとサノスはリーベル外務大臣の大臣室を数人の調査員を連れて調査していた。
大臣室はかなり広い。棚の上や壁には骨董品や絵画が飾られている。とても豪華な部屋だった。
「かなり豪華な部屋ですね。」
「まぁ外務大臣は他国の大使を招いて話し合いをしたりもする。威厳を見せるためには部屋を豪華にすることはある。私の大臣室もこのような感じだ。」
どうやら威厳を見せるためには部屋を豪華にするのは当然のことであるようだ。
アルス達は大臣室もしっかりと調査をした。
しかし、各部署から提出される報告書ばかりで、今回の巨額詐欺を証明するものは何も出てこなかった。
大臣室を後にし、各部署をまわり報告を受けるが、特に怪しいものはでなかった。
「おかしい、何も出てこない。」
サノスは何も出なかったことに焦りを感じる。
すると突然後方から声がする。
「何もなかったでしょう。私は何もしてないのだから。」
後ろを振り向くと、監禁を終えたリーベル外務大臣だった。
ニタニタ笑っている。
「今回は何も出なかったから今日は失礼する。だが、まだ疑いが晴れた訳では無いことを忘れぬように。」
サノスは悔しさを抑えながらリーベル外務大臣を牽制する。
「ハッハッハ、だから何も無いと言っているのに。もし次来て何も出なかった場合、名誉毀損で訴えさせていただく。サーナス法務大臣だけでなく、ノスタ財務大臣もな。」
リーベル外務大臣はそう言うと大臣室へと戻って行った。
「父様、どうします?これから」
「今日は1度法務庁に帰る。資料も集められた。1度精査する必要がある。」
アルス達は一時退却することになった。
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アルス達が去った外務庁の大臣室でリーベル外務大臣は笑みを浮かべていた。
「上手くいったか、ワッハッハッハ」
リーベル外務大臣は独り言を言うと大きく笑った。
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