建設祭

ついに建設初日となった。そして建設祭も行われる。

建設祭の会場は、建設地から少し離れた広場で行われる。


建設祭の挨拶のためにアルスはロフ、サリー、サイル、リエラ達と共に会場を訪れると、出店がたくさん立ち並んでいる。

その中にかなり長蛇の列を作っている屋台があった。

ノスタ公爵家が出店している焼きそば屋だ。ノスタ公爵家のメイドと料理人で運営している。

焼きそばという新たな料理とノスタ公爵家の一流料理人が作るという事で人が押し寄せていた。


「焼きそばは大成功のようだ。アルスくんには感謝してもしきれない。本当にありがとう。」


「いえいえ、ノスタ公爵家の協力があってのことです!」


ロフもアルスは繁盛している光景を見てとても喜んだ。


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建設祭にはステージが設けられている。領主が住民に挨拶をする為だ。

ステージ付近には多くの住民が押し寄せていた。ショッピングモールという新しものと焼きそばの効果だろう。


「アルスくん、一緒に挨拶をしてくれないかい?」


「えっ、僕もですか?」


「この事業のほとんどは君の計画によるものだよ。君を紹介しとかないとね。」


ロフに言われ、アルスも一緒に挨拶をすることになった。水路整備の時に挨拶をしているため特に問題はないだろう。


アルスはロフと共にステージに上がった。すると住民達は一斉に静まる。まずはロフが挨拶をする。次にアルスだ。

ロフは1歩前に出るとこの世界では見慣れないものの前に立った。

拡声器だ。

実は、この世界には拡声器が存在する。正確に言うと魔道具で付与魔法を使える者しか作り出すことができないとても高価なものだ。付与魔法は特殊魔法であり、技術神の加護を持っている者でなければ使えない。

また、魔力量も必要なため作れる人はこの世界に20人ほどしかいないと言われている。

そのため、魔道具を持っているのも王族や上級貴族、豪商だけだ。

アルスは技術神の加護を持っている。魔道具の活用もありだなと拡声器を見たアルスは思った。


「皆さんこんにちは、ノスタ公爵家当主のロフだ。新しい施設を建設することになり、今日こうして建設祭を挙行した。新しい施設はショッピングモールと言う施設となる。100の専門店と10の飲食店からなるフードコートが入る複合商業施設だ。このバンの街の新たな観光スポットになる。よりこの街は賑やかになるはずだ!期待してくれ!」


ロフの挨拶に住民たちが歓声を上げる。


「あと皆さんに紹介したい人物がいる。サーナス侯爵家長男のアルスくんだ。」


ロフに名前を呼ばれアルスはロフの隣に並ぶ。


「ショッピングモールの考案者だ。あと、今日出店している焼きそばも彼が考案してくれた!」


そう言うと住民は先程より大きい歓声を上げた。


「さぁ、挨拶を。」


アルスは挨拶をする。


「皆さんこんにちは。アルス・フォン・サーナスです。皆さん、焼きそばはもう食べられましたか?まだ食べてないって人はぜひ食べてください!ショッピングモールは1年後に開店予定です!皆さんもぜひ来てくださいね!」


アルスが挨拶を終えると今日一番の歓声が上がった。


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挨拶を終え、アルス達は建設が始まった現場視察をしてからノスタ公爵邸に帰った。

現場では既に基礎工事が始まっていた。

今回のショッピングモール建設にノスタ公爵領の土木関係者は盛り上がっている。

なぜならこんなに大きな建設工事をこの世界で経験することはそうそう無いし、大きなお金が動くからだ。

アルスは当初魔法を使った建設を提案した。しかし、それでは経済を回すことができないためロフに却下された。

アルスが行なった水路整備は例外であり、アルスはそこまで考えが及ばなかったことに反省した。


既に外は暗くなり夕食の時間になった。

アルスはダイニングに向かうと既に皆座っていた。

アルスも座り、夕食を食べ始めると焼きそばの話になった。


「アルスくん、今日は本当にありがとう。先程、焼きそば店の営業も終わったよ。かなり売上も良かったみたいだ。」


「それは良かったです。」


アルスは貢献できてとても嬉しかった。


「実はね、客の中には王都の商人も居たみたいでね。かなり気に入ったみたいなんだ。それでね、明日アルスくんに会えないかって話が来てるんだよ。」


アルスは嬉しかった。自分に会いたいと言ってくれる人がいるからだ。


「会うのは大丈夫ですが、どのような方なのでしょうか?」


「それは明日会ってからのお楽しみということで!」


アルスはロフに濁され、明日を待つことにした。


そして、この商人との出会いで、また新たなことに挑戦していくことになる。







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