会議
リエラとタッグを組むことが決まった。応接室を後にして、今は屋敷の一室を借りてリエラと会議をすることになった。
リエラと2人っきりになるのは初めてだし、女の子と2人っきりになるのも転生してからは初めてで緊張した。
案の定、気まずい空気が流れる。
「リエラ嬢、まず何から始めましょうか?」
まず口を開いたのはアルスであった。だが、リエラは口を開かない。
「リエラ嬢どうかしました?リエラじょ...」
「リエラ...」
「えっ、」
「リエラと呼んでください!!!」
リエラが突然大声をあげ、アルスはとてもびっくりした。
どうやらリエラは嬢と歳下のアルスに呼ばれるのが嫌だったらしい。
「私の事はリエラとお呼びください。あなたの事もアルスと呼びますから。」
「ですが...」
アルスはとても困った。
なぜなら相手は公爵の娘で歳上だからだ。
さすがに呼び捨てで呼べないと伝えたが、リエラは譲らなかった。
「では、リエラ」
アルスは仕方なくリエラを呼び捨てで呼ぶことにした。
するとリエラは顔を染めた。恥ずかしがっているみたいだ。
だが、その顔がとても可愛い。
「アルス、じゃあ会議を始めましょう!!」
「えっ、」
さっきの空気が嘘かのようにいきなり会議は始まった。
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まずアルスとリエラはノスタ公爵領の地図を広げて情報を整理した。
ノスタ公爵領の広さはサーナス侯爵領と変わらない。
サーマル湖を中心にいくつかの都市が点在しているのが特徴で、湖には船の定期航路があり、陸で移動するより早く、移動に要する時間は半分だ。
そして、領都バンはサーマル湖の西に面している。王都から2日の距離で観光客の多くはバンを訪れるそうだ。
「領都バンが主に観光地って感じで間違いないかな?」
「えぇ、そうよ。船を使えば他の都市にもすぐ行けるけど、他の都市は工業や漁業都市だから。」
マリアナ王国では都市ごとの役割がしっかりと分けられている。都市ごとで分けることで効率は良くなるが、農業都市カマのようなことが起これば手が付けられなくなる可能性がある。この判断が正しいのかダメなのか難しいところだ。
「リエラは何があったら人が滞在したりすると思う?」
「やっぱり買い物じゃないかしら?私はサルサで買い物をするのが好きなの。気づいたら何時間もお店にいることがあるの!」
「買い物か...」
「アルス、なにか思いついたの?」
リエラはアルスが何を考えているのか気になるようだ。
「リエラの買い物の話を聞いて1つ思いついたよ。」
「えっ、なになに!教えてよ!」
リエラはアルスに迫ってきた。とても距離が近い。息遣いが聞こえてくるほどだ。
「リ、リエラ近いよ」
「ご、ごめんなさい。」
リエラは顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。とても可愛い。
リエラは1度深呼吸して気持ちを落ち着かせてアルスにもう一度尋ねた。
「それで買い物をどうするのよ。」
「ショッピングモールを作ろうと思うんだ。」
「えっ、何それ!」
リエラにはショッピングモールと言われても分からなかった。
このマリアナ王国には商店街のようなお店の集まりが大きな都市にはある。しかし、集まっているのは野菜や魚といった生鮮食品を売っているお店や小さな鍛冶屋で、服屋や書店といったお店は少なく、街中に点在している状態だ。車や電車がない今のこの世界では移動が大変であり、服屋や書店といったお店や地方にあるなかなか行けないお店の支店誘致、フードコートを作れば滞在しやすくなり人も集まるようになると考えた。
ちなみにアルスは服の独自ブランドを出そうと同時に考えた。
これをリエラに説明するとても驚いていた。
「アルス、あなたは一体何者なの。普通こんな事思いつかないわ!」
「リエラのおかげだよ。この案を思いついたのは。」
リエラのおかげであるのは事実だ。買い物エピソードがなければアルスも悩んでいた。
リエラのおかげだとアルスに言われ、リエラはまた顔を赤く染めた。
リエラは褒めたりするとすぐ赤くなるようだ。とても可愛い。
会議の結果、ショッピングモールを作る案をまとめることが出来た。
アルスはとても疲れていたが、リエラはそうでも無いようだ。
「アルス、私はこの案を早速お父様に伝えてくるわ!あと服のブランドについては、私も参加するわね!」
リエラはそういうとすごい勢いで部屋を出ていった。
あまりの速さにアルスは、ノスタ公爵領の事が好きなんだなと思った。
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