第14話 坂上 良太 の妹がこんなに可愛いはずがない

ポケットに入っているスマホを取出し名前を確認すると


最愛ツンデレ妹♡


と表示されていた。


応答ボタンを押してスマホを耳に当てる。


「どうした、妹よ」


「うっわ、相変わらずキモいな」


「流石にそれは傷つくぞ」


「まあいいや、あんた今何してんの?」


「えっと、悟史と遊んでる」


「…それだけ?」


妙な間とワントーン下の声が聞えてくる。

つまりまだ俺は彼女の欲しがってる答えは出せていないのだろう。


「女の子になった悟史とデートの練習に付き合って貰ってる」


「う~ん、それだけ?」


「それだけだけど?」


電話からはうんうんと唸った声が聞えてくる。


「状況を説明してくれ」


「そうしたいのも山々だけど、悟史は近くにいるの?」


「いや、今はトイレにいていないが」


「分かったわ、詳しい事は家に帰って来てから説明するから、私から今掛かって来た事は悟史に内緒にして」


「おい、どうゆう事だ?」


聞き返そうとしたがツーっと、連絡が切れた音が鳴った。


「とりあえず従っておくか」


ポケットにスマホを戻す。

ここは妹に従っておいた方が良さそうな気がする、何か色々な事が今回のデートには絡んでいるのかもしれない。


そうなるとする事も無くなったのでボーっと公園から夕日を眺める。

こんな時でもないとゆっくりと夕日を眺める機会なんて無いだろうから。

街並みがオレンジ色に染まっていく。

こんな事を夕日を見ながら言うのはおかしな話だが、俺は昔から夕日が好きじゃなかった。

今日とゆう日が終わるとゆうサインでもあり、何かまだやってない事があるのではとゆう気にさせてくるからだ。

せかされていると言い換えてもいいかもしれない。


そこに悟史が男の格好で戻って来た。


「お待たせ、そろそろ帰ろうか」


「おう」


女の子の姿じゃ無くて少し残念だ。


けだるげにベンチから腰を上げて悟史の方へと歩いていく。


「あれ、もしかして僕が男に戻って残念がってる?」


「お前も人の心が読めるのか!?」


「まさか、それは彼女の専売特許だよ」


首を竦めるて答える。


「広い宇宙を探しても中々出会えるものじゃないよ、まあ最も彼女は出来るだけ心を読まないようにしているみたいだけどね」


「読めてもあまり気持のいいものじゃないだろうしな」


「でも君には心を開いてるようだけど何かあったのかい?」


「う~ん」


ブラコンだったとか、犬が嫌いだったとか色々あったけど最もらしいのがないな。


「分からん」


「分からないか」


「今度聞いてみるか」


「その時は僕も一緒にいくよ」


「いや、お前めちゃくちゃ琴音さんから嫌われてるじゃん」


「これを機に僕と琴音さんが仲良くなるかもしれないじゃないか」


「天文学的な確率だろうな」


「そんな確率を覆していくのがこの僕なんだよ」


「まあ実際お前には常識は通じないとは思ってるよ」


「そう褒めないでくれよ」


「別に褒めたつもりもないんだけどな」


二人して冗談を言い合いながら帰り始めた。



家に着き部屋の戸を開ける。


「ただいま」


「んーお帰り」


靴を揃えて部屋に入ると漫画を読みながら、うつ伏せに寝転がってる妹にベットが占領されていた。

ちなみに彼女が来てからとゆう物、俺はベットを奪われ敷布団を買って床で寝ている。

たまに返還要求を行うがこれと言った成果はないし、これじゃどっちが居候なのか分からない。


「妹よ兄にベットを返すつもりは無いのか?」


「当たり前じゃない、それとも何、こんなに可愛い女の子をその汚い床に寝せる気なの?」


「いや、そんなひどい事は俺には出来ないから今日はその解決策を考えてきた」


「ふーん、一応聞いてあげるわ」


漫画を置いて今度はベットの上にあぐらをかいて体を向けた。


「一緒にベットで寝ればいいじゃん」


「死ね!」


そのまま

読みかけの漫画が俺に向かって飛んでくる。


「ちょ、危ないな!」


「次また変な事言ったら殺す」


マジのトーンで睨んでくる。

いや、怖いなやっぱり!流石にこんなに一緒にいたからある程度は慣れたけど未だに恐怖を感じる瞬間がある。


「分かりました・・・」


「こんなバカ話してないで、あんたが聞きたいのは私からの電話の事じゃないの?」


「その通りです」


「て言っても、結局分からずじまいなんだけどね」


「分からないじまい?」


「そう、前に予知信頼度の話をしたのは覚えてる?」


「なんか評価がAとかBとか出るやつか」


「そうそれ」


スマホを立ち上げ、手慣れた手付きでアプリを開くと俺に画面を向ける。


「ここのグラフが上下に振れてるのが分かるでしょ」


「ああ」


「これが出ると、基本未来の分岐点になって予知信頼度が変わるのよ」


「へーじゃあ今回も変わったのか?」


「いや、変わってないわ」

「これが起こると変わるかもって話で確定ではないの、今日の何かのアクションがそれのトリガーになってるのは確かよ」


「トリガーね」


「特に思い当たる事は無いの?」


「う~ん、悟史が女の子の姿になった事とか?」


「その程度の情報は既にこっちもつかんでるのよ、それ以上の何かがあったずよ」


「それ以上の何かね・・・」


考えてみるが、全く思い浮かばない。


「一応あんたと悟史の今日の行動を監視カメラで追える範囲は追ったんだけど特に分かんなかったのよね」


「そんなことしてたのかよ」


「出来ることは取り敢えず、何でもしときたいのよ」


「じゃあ、プリクラの中の事も見られたのか」


「プリクラに入った所までしか私は追えてないわよ、さっさと何があったか言いなさい」


「ふ、俺がそんなに安い男だと思うか?」


そう言うと美咲はおもむろにベットの近くにあったフィギュアに手をかけるた。


「ほっぺにキスされました」


「未来でもあんたみたいのが相手だと楽でいいんだけどね」


「しかも無反応かよ」


別にそうして欲しかった訳ではないが、もう少しなんか言って欲しかったな。


「あとあんた、恋人ごっこが上手く行けば今回の模月先輩の依頼は解決できると思ってる?」


「言いたい事は分かってるよ」


「ならいいのよ、こればっかりはあんたの仕事だから」


この分野にかけては誰よりも失敗して理解している。


「この一週間で何とかするよ」








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