第13話 変態宇宙人の禁書目録

「じゃあさっそく撮ろうか」


ゲームセンターのエリアの方に足を運ぶとそこは様々なゲームの音や、さがわしく盛り上がっているグループの声などとても騒がしかった。

その中でも女子高校生が多く集まるエリアへと二人で歩く。


「ほんとに撮るのかよ」


「当たり前じゃん、恥ずかしいのかい?」


「まあな、中々撮る機会が無くて」


なかなかプリクラをとる機会が無かった俺にとってはそうやすやすとは出来ない。

とゆうか写真を撮られること事態好きではないのだ。


「じゃあこれもデートの予行練習だと思ってさ」


「そう言われたらなんも言えないな」


実際デートでプリクラは中々ベタでいいのではないのだろうか。

良くプリクラを撮ってるカップルを見るしな。

そしてそのカップル達を見るたびに爆発しろと思っていたのは秘密である。


率先してプリクラの機体に入って行く悟史を追いかける。


「にしてもプリクラの機体だけでこんな種類があるんだ?」


種類がいろいろあるが全く違いが分からん。


「肌の感じとか、目の加工がそれぞれ違ってくるんだよ」


「そんなの誤差な感じがするんだけど」


「こだわる人達にとってはとても大きな差何だよ」


「う~ん」


言わんとしてる事は分かるがなんとも要領がえない。


「君にも分かりやすく言うと、ツンデレヒロインとゆう枠組みはあるけどその中でもそれぞれの魅力があるだろ?」


「悟史、やはりお前は天才だ」


「それほどでも」


軽い調子で笑いながら答える。


「てことでここも当然ながらここも俺がおごらせて貰う」


「流石に悪いよ」


「今日俺が得た経験値の量を考えるとそれでも安いもんだ」


「そうゆう事なら遠慮なく」


悟史について行きプリクラの機体に着き、お金を入れると可愛い音楽が鳴り始める。

何だろう、今までこんな経験がなさ過ぎて体がむずがゆくなる!

俺が内心もだえ苦しんでるのとは対照に悟史は慣れた手付きでモードやら背景を選んでいく。


「じゃあ撮影に入ろうか」


「お、おう」


楽しそうに緑のシートが張らさっているエリアに入って行く悟史に何とかついて行く。

今すぐ逃げ出したいがそうもできないしなぁ。

そんな事を考えていると楽し気な音楽に乗せて音声が流れる。


「それじゃあカップルの撮影を始めるよ」


「おいちょっと待て!」


「なんだい良太くん?」


「なんだ、カップルって!」


「まあまあ、デートの練習だからさ」


「もうそれ言えば何でもいいと思ってるだろ!」


「でも間違ってもいないでしょ?」


「そうだけどさ、今の悟史とそれを撮るのは色々まずいんだよ!」


「じゃあまずは浮気が彼女に見つかって修羅場なポーズから☆」


「このプリクラも色々おかしいだろ!」


「まあまあ、時間もないしポーズ決めようよ」


「どんなポーズだよ!」


「3」


「君が僕に向かって本当に好きなのはお前だけなんだ、みたいな感じで

僕はそんなの信じられないわよみたいなポーズだね」



「妙に分かってしまうのが辛い!」


「2」


とりあえずなるようになれ!


「1」


カシャリと音が鳴ると続いてまたあの音声が流れる。


「可愛い~☆」


「頭いってんじゃねーかこの機械!」


「次はもう戻って来ない甘い青春の一ページのポーズだよ☆」


「詰んだー!」


そもそもそんな一ページないわ!


「ここは僕の出番だね」


ふっと悟史が笑みを浮かべる、確かにこいつなら余裕だろう。


「3」


「確かにお前なら余裕だな、早速俺はどうすればいい?」


「そうだね、そのままでいて欲しいかな」


「2」


「どうゆう事だ?」


「こうゆう事だよ」


「1」


一歩こっちに近寄ったかと思ったら、悟史の顔が近づいて来る。


カシャ


気づいた時には右の頬に温かく、柔らかい感触が伝わって来た。


「ちょ、え?」


頭が追いつかず悟史を見ると満面の笑みを浮かべていた。


「今日のお礼だよ」


「最高の一枚だね☆」


「俺の純情を持て遊ぶのはやめてくれ!」


「いいじゃないか、減るもんじゃないし」


「そうゆう問題じゃ無くてな」


今のお前にそれやられるのは本当にまずいんだよ!


「最後は倦怠期三カ月目のカップルのポーズだよ☆」


「さあさあ、これで最後だししっかり決めよう」


「もう、やだ…」


がっくりとうなだれて横にいる彼女を見てみると、テンションのせいで少し顔が赤かった。

そこまで楽しめたのなら何よりだ。




夕暮れの公園はとても静かで美しかった。


「僕はジュース買っていくから先にそのベンチ座っててくれるかな」


「分かった」


一人じゃりじゃりと音を立てながらベンチに向かって歩く。


「変わらないな」


砂場に少しさびれた滑り台、用途が分からないタイヤの集団にキーキーと音を立てるブランコ。

全てが記憶のままである。

ベンチに腰を掛けてしばらくすると悟史が歩いてくる。


「いちごジュースとカフェオレ、どっちがいい?」


「どんなセンスだ、じゃあいちごジュースで」


「はい」


近づけられた悟史の手からいちごジュースを受け取り飲み始める。


「よっと」


横に座った悟史からほんのりと甘い匂いがする。


「これでデートは上手に出来そうかい?」


「多分できるかな」


「なら良かった」


しばらく無言の時間が流れた。

でもその時間は居心地が悪いものなんかではなく、とても居心地のいい物だった。


「むかし僕はここで一人の少年とよく遊んでいたんだよ」


「へー、じゃあ結構昔からここに住んでるんだな」


「そうだね、もう10年近くになるかな、初めは友達もいなかったから心細かったよ」


どんな境遇で育ったかは分からないが、何となくは今までの情報で予想はつく。


「そんな時僕に遊び方と友達の作り方を教えてくれた子がいたんだよ」


「そいつはすごい奴がいたもんだな」


こいつにそれを教えるくらいだ、余程のパラメータの持ち主に違いない。


「そうなんだよね、その子のおかげで今の僕があるしこの星も守りたいと思えるようになったんだ」


「そいつに感謝だな、おかげで命拾いしたよ」


「まあ、守り切れるかはまだちょっと危ういんだけどね」


苦笑いをしながら笑って答えた。


「で、そいつとは今でも友達なのか?」


「いや、ちょっと帰らなきゃいけない事があってね、その時に彼から僕の記憶を消してから会えずじまいだったよ」


「だった・・・、過去形ってことは再会は出来たのか?」


「たぶん?」


「疑問形かよ」


「ところでさ、君は何であの高校に通ってるの?」


「話しの流れが一方的すぎないか?」


「まあまあいいじゃん、教えてよ」


グイっと近づけられた顔にまたもやドキドキさせられながら答える。


「気付いたら部屋に貼り紙が貼ってたんだよ、凄く頭のいい大人になるってな」

「馬鹿らしいだろ、そんな理由で中学時代を棒に振って勉強してさ」


自嘲気味に笑った。

将来の夢や、やりたい事何て1か月も持てばいいほうな俺がこれだけは何故か未だに追い続けているのだ。

訳も分からず。


「そっか、面白いね」


「面白いか?」


「面白いよ、ちょっとトイレ行ってくるね」


「分かった」


小走りでトイレに向かって行く、そんなに我慢してたのだろうか。


不意にスマートフォンから着信音がなった。







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