第6話 クズはクズを呼ぶ
「見つけたよ~良太くん」
見るとそこにはクラスの男友達がこれでもかと集合していた。
見かけたか声を掛けたとゆうよりかは何だか皆目がぎらついていて、
怖い雰囲気が漂っている。
「ど、どうしたのかな皆お揃いで」
一歩足を引き逃げる態勢を整える。
「いやさ、最近お金が使い切れないくらいあるらしいから俺らで使うの手伝ってあげようと思ってなぁ」
ケラケラと生気のないような顔で皆不気味な笑みを浮かべじりじりと近寄ってくる。
「んなもんある訳ねえだろ!」
たまらず全速力で奴らと反対方向に走り出す。
「おい鴨が逃げたぞ、追え!」
これが仮にも友達に掛ける言葉だと思う人は少ないだろう。
「本当にそんな金ないんだ、それにお前らこんな事して人として恥ずかしくないのか!」
「女を金で買った奴に言われたくねーな!」
そうだ、そうゆう事になってたのだ。
しかしそれなら逆転の発想をするまでだ。
「全部貢いでもう金は残ってないから諦めてくれ!」
「すると皆さっきまでの勢いがピタッと止まり、ぞろぞろと帰り始めた。
「ちっ、なんだよ使えねーな」
「とんだ無駄手間だよ、解散!」
皆思い思いにぼやきながら帰り始めた。
「しかしそれにしても俺にはろくな友達がいないな」
そのまま家に帰ると妹にも同じ事を言われたのと、部活のリーダーは多数決で俺に決まったらしい。正直言ってあのメンツをまとめることなんて出来る気がしないのだが。
翌日学校に行き部活動設立の申請書を生徒会の提出書類エリアに提出したが放課後に却下のハンコが押されて生徒会室の書類の所に置かれていた。
訳が分からない。
「琴音さん、部活動の設立申請却下になっちゃったんだけどなんでだと思う?」
「う~ん、やはり申請書が一枚だけだと熱意が伝わらないんじゃないでしょうか」
「なるほど、ありがとう!」
次の日は10枚申請書を送ったが10枚とも却下が押されてしまった。
「すいません、お役に立てなくて」
「大丈夫だよ、考えてくれてありがとう」
「悟史はなんかいい方法ある?」
「やはり僕は面白さだと思うよ、まずは興味を持ってもらわないとね」
「なるほど、ありがとう!」
次の日は申請書をビックリ箱の中に入れて生徒会に提出した。
返って来たのは却下の申請書と、ふざけんなと書かれたビックり箱だった。
「ごめんね良太くん、僕じゃ役に立てないみたいだ」
「気にしなくていいよ、次を考えよう」
「やっぱりあんた達馬鹿ね、世の中はもっと賢く立ち回るのよ」
「おおぉ!」
流石自慢の妹だ、これは期待できる!
そんな風に考えていた時期が俺にもありました。
「ちょっといい加減にしてくれない、ふざけてるの!」
放課後のチャイムが鳴ると同時に生徒会長自らがわざわざが却下の書類を
机に直接叩き返して来た。
「しかも今回のこれは何よ、もし通してくれたら世界を救いますって!」
「お前らは私達を、馬鹿にしてるの!?」
長く結んだ黒髪をなびかせながら、すごい剣幕で怒鳴っている。
キリッとした顔立があいまって、思わず尻込みしてしまう。
「えっと、その書類に書いてある部員のメンバーと真剣に考えました」
「噓でしょ・・・」
絶望を顔に浮かべながら膝から崩れ落ちる。
「ここ日本でも有数の進学校で頑張って入ったのに、こんな馬鹿が・・・
しかもあの琴音さんまで・・・」
「えっと、何かすみません」
取り敢えず謝っておく。
「すみませんじゃないわよ全く、大体にして活動が曖昧過ぎるのよ!」
紙の活動内容をビシッと指差し読み上げる。
「学校の困っている人の相談や手助けって!個人でやるかボランティアにでも参加すればいいじゃない!」
ごもっともである。
何て屁理屈をこねようかと考えていると横から悟史君の助け舟が入る。
「僕たちが生徒会を手伝ってその必要さを証明出来たらどうですかね」
「まあ丁度仕事もあるし一回どんなもんなのか見せてもらうってのもありか」
少し首を捻らせたあと、少し頷き喋り始めた。
「明日の放課後部員全員で生徒会室前に集まりなさい、それじゃあね」
コツコツと足音を立ててそのまま教室から立ち去っていった。
「助かった悟史」
「ちょうど生徒会の友人から、今仕事が重なってて大変だって聞いてたんだよ」
流石の交流の広さである。
「本当に部員に琴音さんまでいるのね」
「だから紙にそう書いて出したじゃないですか」
約束通り四人で生徒会室前に集まった。
「実際こうやって見るまでただの頭のおかしい奴が一人で何回も送ってるだけだと
思ってた」
「でもよく私の賄賂作戦に生徒会は釣られませんでしたね」
妹はどこから来るか分からない自信をたっぷり出す。
「あんなのに釣られた日には生徒会は終わりね」
ため息をつきながらドアを開いて俺らを招き入れた。
軽く他の生徒会メンバーと挨拶を済ませたあと、仕事内容が説明される。
「まずはそれぞれの部活の出費をまとめたリスト作成ね、細かいのまで沢山あるから結構かかるわよ」
少し意地の悪い笑みを浮かべてドサッとレシートや領収書の入った箱を机に置く。
「各部活ごとのデータはこれに打ち込んでね」
トントンとその隣にあるノートパソコンを叩いた。
「私がやるわ」
一人歩いて長いテーブルに座った。
あの高神さんが作業するとだけあって、生徒会の面々も興味津々で見守っている。
まず野球部と書かれた箱の中身のレシートやら領収書を全部見たかと思うと、
そこから全部パソコンにそれぞれの出費を打ち始め普通なら1時間程度掛かりそうな
物を10分程度で片付けてしまった。
「一応確認させてもらうわ」
結果は全部完璧。全くミスがない。
「さすが我が校の天才ね、是非とも生徒会に入って貰いたい所ね」
「じゃあ次はこっちの落し物整理ね、毎月すごい量貯まるしお金持ちこ子が多く通ってるから捨てるに捨てられないものばかりなのよね」
大きな段ボールには年度と月が記されていて、段ボールの中にはタオルや手袋
からしっかりとした作りのバックからカメラまで色々入っていた。
「この中の物の品名をこれに書いておいて頂戴
引取に来た人が居たらすぐに出せるようにしておきたいから」
すると生徒会長の用意した段ボールに悟史君が近づいていく。
「あれ、これ僕ほとんど持ち主知ってるから、今から電話どんどん掛けて確認出来たらそのリストに書かなくていいかな?」
どんだけ顔が広ければ気が済むのだろうか、これには生徒会長も同じ意見のようで
少し引いたような顔を浮かべている。
「もちろんだとも、過去の段ボールも向こうの倉庫にあるからそっちもお願い出来るかい?」
「おやすい御用だよ、生徒会長さん」
いつもの余裕の笑みを浮かべるとスマホを操作し始めた。
「じゃあ次は今度やるわが校のホームページの体育祭の部分の更新と
体育祭で使う動画の編集をお願いしたいのだけど流石に無理よね?」
流石にここまで来ると元々任せようとしていた仕事ではなく冗談半分で聞いたようだがここで家の妹の以外な特技が発覚する。
「データとかサンプルくれればそれっぽくやっときますよ」
近くの空いている席に向かうと慣れた手つきでカバンの中からノートPCを取り出し立ち上げ始める。
PCはあっという間に起動を終えると画面に様々なアプリを写し出した。
もはや諦めにも似たような声のトーンで俺に体を向けた。
「もはや私はあなたが何をしても驚かないわ」
そんな生徒会長に俺は自信を持って答えた。
「俺は何も出来ないので安心してください」
俺は生徒会長と二人で夕暮れの中、体育祭で使う道具の確認をする事となった。
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