第8話 自分の部活を紹介しよう
俺が教室につくと、
「よ、大橋!」
「やあ」
筋肉くんと眼鏡くんたちはすでに教室にいた。筋肉くんたちだけではなく、他にもクラスメートたちはちらほらいるようだ。部活が始まったことで朝練等があるためにこの時間に全員が揃うことはほぼないだろうが。
「早いな、二人とも」
俺はそう言って自分の席に座り、椅子にリュックをかけた。筋肉くんは体を俺に向け、眼鏡くんは体を筋肉くんの隣の席に座り、話をする感じ。
「大橋の入った部活は昨日から始まったのか?」
「ああ、入部前テストとかいうやつを合格したから」
「入部前テスト?なんだそれ?」
まぁ、そうなるよな。俺もそうなった。
「陸上部の伝統とかで朝礼台の上で校歌を歌うんだよ」
「へー、面白そうだな。俺の入った筋肉部も似たようなのあったぞ」
ほー!陸上部だけでなく、他の部活にも似たようなこと、してるのか。
「眼鏡もあっただろ?」
「ああ、ロジカルシンキング部は、ボタンを正確に押せるか、テストがあったね」
·············
「そうか。めちゃくちゃ厳しいな、それ」
···········厳しい、のか?ボタンってクイズ番組みたいにボタン押すだけだろ。難しいか?
「ああ、難しいよ。僕は7回落ちたからね」
どんだけ落ちてんだよ、眼鏡くん!
「僕の他に二人いたんだけど、その二人はダメだね。才能を感じない」
ボタン押すのにも才能とかいるのか?いらないだろ·········。ボタンなんか誰でも押せるし。
「俺のときは5分間、腹筋を続けるってやつをやったな」
それが一番キツイやつ!俺と眼鏡くんの軽く100倍はきつい!
「5分?ぬるくないか?」
·········何言ってるんだ、眼鏡くんは?腹筋五分がぬるい?はっ?
「マジそれな。俺はそれ聞いて先輩たちの正気を疑ったね。腹筋五分はぬるすぎるって」
俺は筋肉くんの正気を疑うかな!腹筋五分はキツイって。多分、誰もがそう思うだろ。絶対そうかは分からんけど。
「結局、俺が一番楽だったのか········」
筋肉くんはなんか黄昏始めた。
眼鏡くんは眼鏡をクイッと手でなんかしてた。
俺は筋肉くんと眼鏡くんを見て『コイツらは変人だ』と思った。
俺たちがそうしていると
「あっ、3人とももう来てたんだ」
諏訪さんが俺の隣に座って話しかけてきた。諏訪さんは俺の隣の席の人だ。それから更に言うとめちゃ美人。かわいい系じゃなくて美人系。モデルやってます!あるいはモデル始めました!って言っても俺は納得する。だってめちゃ美人だし。
この学校には変人変態が多いが、こうして美人な人もいる。ネットでは顔面偏差値がピンきりなんて言われてるけど、俺はそうだなと思う。諏訪さんみたいな美人もいるし、俺の幼馴染みみたいなゴリラ女もいる。まぁ、ゴリラ女なんて呼んでいるのを知られたら体育館裏に呼ぼれて活を入れられてしまう。それは避けたい。
「おはよう、諏訪さん。話は急だけどさ、部活何入った?」
「部活?私はねぇ·······文芸部」
「文芸部はなんか入部前になにかやらなかつた?」
「何かって何?」
諏訪さんはそう言って俺に首を傾けてきた。俺はばっと顔をそらし、心臓の鼓動を抑えるようにと深呼吸した。筋肉くんと眼鏡くんは顔を真赤にして『おっふ』とか言ってる。『おっふ』って言うやついるのか。てっきり漫画の中だけだと思ってた。
「俺は陸上部入ったんだけど入部前に朝礼台の上で校歌を歌ってさ」
「え··········!それはその、大橋くん。恥ずかしかった?」
「ああ」
だって音痴さらけ出したし。青春先輩なんか苦笑いを通り越して顔真っ青だったし。そんなに俺は音痴なのかなぁ。
「文芸部は何もなかったよ。でも、6月にラノベ?のコンテストがあるらしくてそれに出す作品を書いてほしいって言われて書いてみたんだ、昨日。それで3人の中で本読んでる人っているかな?」
「すみません、本を読んでないです。おっふ」
「僕は攻略本しか読まないおっふ」
··········。いや、コメントはいらないか。二人が諏訪さんに声かけられてめちゃ緊張してるのは丸わかりだし。
「大橋くんは本って読む?」
「まぁ、それなりに」
「だったらさ、私の読んでほしいな?いいかな?」
そんな満面の笑みで頼まれたら断れる男子はいないと思うよ。俺も含めて。
「もちろん!ぜひぜひ読ませてほしい!」
「それで明日、感想が聞きたいなって思うんだけど、大丈夫?」
「余裕だよ、俺にとっては」
男はときにカッコつけるもんさ、フッハ!
俺は諏訪さんから依頼を受けた。それは、諏訪さんの書いたラノベを読むこと。ラノベとまだ呼ぶのかは微妙だけど諏訪さんが書いたんだ。面白いはずだ。俺は胸をドギマギしながらこれを読むのを楽しみにしていた。
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