第7話 この学校にはどうやらまともな部活はないらしい
俺は陸上部のもとへと来ていた。初日からきている同級生たちも何人か見かけたが、同じクラスの人は俺が見た限りはいない模様。
俺以外の同級生たちはなんか雰囲気が違う。体付きがそもそも違う人もいるがそれは取り敢えず除くとして。ひょろんとしている同級生も走り出したらバーサーカーになるかもしれない。いや、ありえないか。
「おはよう、新入生諸君!俺はこの陸上部の部長をしている
陸上部の部長である青春先輩がそう言った。俺はペコリと軽く会釈した。
「取り敢えず、各自柔軟などをしてくれ。全員、終わったら、ウォーミングアップをしていこう」
指示をガンガン出していく青春先輩。これがあの頼れるナイスガイなのだな。でも、少し待て。なぜ、そのナイスガイが俺に近づいている?WHY?
「君確か、大橋くんだよね?」
「えっ?」
なぜ、名前を覚えられてる!もうすでに俺は教師内でブラックリストにでも載ってるのか!
「君の1500を見たことがあってね、君が来てくれてよかったよ。この部も安泰だ」
「そ、そうですか」
俺は柔軟をやりながら青春先輩の話に耳を傾ける。青春先輩に声をかけられている俺はさっきから注目の的になりつつある。ほら、あのバーサーカーくん(実際どうかは知らないけど、俺が勝手にそう呼んでる)は、俺にすごい視線を向けてくるし。そんな熱い目で見られても照れるぜ!と言いたいけどあいにくバーサーカーくんは男だ。どうせなら女子に言いたい。言ったら多分明日からの俺の居場所はなくなってるだろうけど。
あらかた柔軟が終わったことでウォーミングアップということで校庭を走り出した。
俺はバーサーカーくんに視線を当てると、バーサーカーくんは、
「ハハハッ!!!風が、風が俺を呼んでいる!」
···········ほんとにヤバいやつだった。さっきまでおとなしい感じだった彼も走り出したらただのバーサーカーだ。青春先輩なんかバーサーカーくんを見て顔が引き攣ってるし。もう、あれはヤバい。
女子が見てるけど変わらず叫び続けているからなんか距離をだんだん取られているし。この学校の変人ランキングトップスリーに入るであろう逸材だ。
ウォーミングアップを終えると、
「君等は明日、入部前テストを受けてもらう」
········入部前テスト?なにそれ?
「入部前テストはこの陸上部伝統のもので2年の歴史がある」
短っ!歴史ってそれ絶対に言わないやつ!
「新入生たちはこの朝礼台に登って校歌を歌ってもらう」
··········?
「それを僕らが審査して陸上部に入るにたる存在か見極めさせてもらう」
··········それ、陸上と関係ある?なくない?
「これがこの学校の校歌の歌詞の紙とそれからCDだ。合格した暁には陸上部への入部とこのCDがもらえる」
いらねぇ···········。どうせなら、アイドルのCDがほしい。
「明日を僕ら一同楽しみにしているよ」
罰ゲームかなにかなのかこれは。
次の日の早朝、俺はこの良くも分からない校歌を朝礼台の上で歌うというものをやり、無事合格。そのとき、青春先輩は言っていた。
「す、すごい、う、歌声?だな。い、いいと思うよ」
それはつまり音痴だと、そう言いたいのだろう。
俺は陸上部に入ってすぐに退部したくなるくらい恥ずかしい思いをした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます