第6話 部活動
俺は一心不乱に一枚の紙を見ていた。それは、部活動に関しての要項だ。
部活動。これは、高校で唯一上級生と関わりを持てる場だ。上級生と関わることができれば、色々と裏事情を聞くことが出来る。悩み相談なんてものまでできるのだ。
俺は、その先輩らの対応を元に勉強して、頼れるナイスガイになるのだ。そしたら、俺にも春が訪れるかもしれない。
············なんて考えるだけ無駄か
別に諦めているのではない。これはそう、戦略的撤退だ。だから、誇りに思うことはあれど恥ずかしく思うのは筋違いだ。
筋肉くんが眼鏡くんと話しているのに俺は耳を傾けた。話の内容はやはり部活動だった。
「眼鏡、お前部活何入る予定だ?」
「僕か?僕はロジカルシンキング部に入ろうかな」
·············?何その部活。初耳なんだけど。俺は部活要項の紙を見てそのロジカルうんたら部を探していく。
おっ、あった。
ロジカルシンキング部
ブレインストーミングを通して各々のロジカルな考えをエボリューションするための部活。毎日、エボリューションしませんか?
·············。
これって勧誘してるのか?何する部活なのか全く分からないんだけど。
「へー、あの部か。俺も迷ったんだよな·····」
·········迷う要素があるのか?
「でも、俺は筋肉部に入るぜ」
··········この学校の部活は何でもありだな。
俺は紙を見ていく中で意味不明な部活動が多くあることが分かった。
ウオッシュレット部
トイレについているウオッシュレットを研究する部。
トイレのウオッシュレットの研究って時点でもう分からん。でも、なんか部員が50人ってめちゃくちゃいるんだよな·······。もうなんかわけがわからん。
友人部
友達を作るための部。
···········これはその、コメントなしで。ラノベでなんか読んだことあったけどコメントつけたらなんかダメな気がしてきた。とにかくノーコメントで。
English English部
EnglishをEnglishする部。
なんでEnglish二回も部の名前に入ってるのかよく分からん。何する部かも不明だ。
ダジャレ部
ダジャレを一日一人200個作るまで帰宅できないキャンペーンを実施中!ぜひ来てくれな!
誰が行くか!んなキャンペーン初めて聞いたわ!200とか一生帰れねぇだろうが!
もうこの学校は終わっているかもしれない。文化部だけで40以上あるし、その内、38もの部活動は変なもの。つまり、9割型変な部活動だ。
俺は運動部に入るつもりだから関係ないと言えば関係ないのだが。
「大橋は何入るんだ?」
「陸上部に入ろうと思ってる」
「へー、陸上か。中学のときもやってたんだっけ?」
「ああ。まぁ、別に陸上の結果はあんまり良くないけどな」
「部活動はやっぱ結果とかじゃなくて――――――」
筋肉くんは心臓辺りを叩いた。
これはもしや―――――――――――――
「胸筋、だろ?」
·············筋肉くんに期待した俺がバカだった。
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