地球最大愛国者 大池菊子
「東京パリランピックは開催します。学校観戦も行います。東京都民には10万人死んで頂きますが、日本国民12億人は助かります。」
政府顧問の御刺身会長は、矛盾しない強力なメッセージ発信を政府や利賀首相に対して、日々、打診していたが、東京都知事大池菊子は、その遥か上空、宇宙まで突き抜けるメッセージを助走なしに発した。
東京都庁中央入り口前で、急遽始まった記者会見のために、テレビ中継車が乱雑に止まる中、テレビリポーターが集まる中、身体がびしょびしょになるくらいにアルコールが噴霧され続ける中、大池都知事は、スピーチを続けた。
「えーと、狂言だと思って頂いて構いません」と前置きした上で都知事は続ける。東京オリンピック開催中は、世界各国のオリンピック大貴族は「バブルで完全に包まれたオリンピックはパラレルワールド」と発信し続けていたが、それは真実だったと都知事は言う。
「世界線」という言葉に、特にアクセントをおいて続ける。オリンピック大貴族は、日本国が滅んだ世界線からの未来の使者からメッセージを受け取った。2041年に東京に原子爆弾が投下され、日本は滅ぶという。それを回避するには、完全なる安全・安心の中でパリランピックまでやりきることである。原爆投下の未来は、パリランピックで回避されるという。
「そんな設定で小説を書いて、カクヨムとかに投稿されたらどうです?はてなグループの方がいいかな?」と記者は皮肉を言う。それに対して、大池都知事は、「私の会見内容はフリー素材ですので、自由に創作してください」と返した。
「皆さんが、理解される必要はありません」と、都知事は続ける。パリランピック開催と、コロナコロコロナウイルスの感染拡大のための死者、それらは、日本国民12億人を救うための必要な犠牲であると都知事は言う。完全に狂っている。
「もしも、現在、国内に不穏分子がいるなら、パリランピックとは関係なく『排除する』ことはできないのか?」という記者の問いかけに、「答えはノーです」と都知事は返した。
もうすでに開催されてしまったオリンピック。政府の選択肢には、パリランピック中止というものもあったのだが、バッハッハ会長を代表とするオリンピック大貴族とトランプ米国大統領は、それを許さなかった。利賀首相との電話会談で「日本国民12億人の命を救えるのは、パリランピック開催だけだ」と念を押された。
「今、このような会見をされた意図は?」という問に対して、都知事は、今日の会見すらも、原爆投下回避のための必要なシナリオなのだと言い、そこで会見が終了となった。コロナコロコロナウイルス感染対策のためのアルコール噴霧により、都知事はびしょびしょになっていた。
「こんなの放送できねえよ!」とか「記事にできるか!」と記者達の怒号が飛び交う中、事件が起きた。都庁中央口に一番近かった公衆トイレから、一人の男が飛び出してきた。その姿は、ウニのように全身に包丁を『生やし』、そして全身にサラダ油をかぶっていて、異様なテカりした男だった。その凶刃は、都知事に届く前に警備員によって取り押さえられた。
犯人は、早朝に東京駅フィクション八重洲口に夜行バスで来たらしい。「女を殺したかった。どうせなら、一番偉い女を殺したかった」と供述したらしい。
ウニのような包丁は、100円ショップで買ったビニール紐で結び付けられていた。サラダ油も同じ店で購入した。テロ等準備罪、殺人未遂で逮捕された男はネット上で「女殺さず油地獄」と揶揄されるようになる。都知事の言葉が真実なら、この男も原爆投下を回避するための必要なパーツであるというが。
本日の東京都コロナコロコロナウイルス新規感染者数、5万2436人。Twitterでは「Go!富士山麓」と感染者数の語呂合わせがされた。
コロナコロコロナウイルスと人類の戦いは、まだ終焉が見えない。
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