第23話 修了式の帰り道

 セーラー服をきちんと着て、講堂に入って列に並んでいるんだ。

 結城ゆうき女学院は初等部から高等部までが修了式で明日から春休みに突入する。


 そのため、今日は二年生で最後の登校日になった。

 でも、長い校長の話でしだいにみんな小声であちこち話し始めている。


 校長の話が終わってからは表彰が始まって、演劇部が今年の夏に全国大会へ出場して優秀賞と脚本賞のダブル受賞で帰って来たんだ。


 学校じゃ演劇部の地位が上がったような感じで、高校の部活で有名なのはダンス部と演劇部になっていくのがわかる。

 あと、精勤賞の表彰とかもあって、名前が呼ばれるだけであとから賞状をもらうかもしれない。





「それでは各学年教室に戻ってください」


 講堂から各クラスの教室に戻っていくと、日菜が声をかけてきてくれた。


美琴みこと、今日は夕方遊べる?」

「いいよ」




 教室に戻ると、みんなが席について成績が返されていくのが見えたんだ。

 担任の先生が出席番号順に通知表を手渡していくんだ。

 手渡していく人たちは友だちと話しているのが見える。


「ヤバい。理系は落ちてきている」


 そんな話をしていることが多い。

 最初に日菜ひなが渡されて、すぐにわたしの名前を呼ばれたんだ。


瀬倉せくらさん」

「はい」


 教壇の方に向かうと、先生が笑顔で通知表をもらった。


「一年間お疲れ様」

「ありがとうございます」


 わたしは通知表をもらってそれを見ると、だいたいが四が多くて理数系だけ三という状態が続いている。


「どうだった?」

「あ、意外とよかった。三と四に集中してる」

「そうなんだ。成績の順位はまあまあだったから」


 わたしはそのときに楽しいことが起きてからは楽しいのが見えた。


 明日香あすか姉ちゃんの結婚式の翌週に行われた三者面談があって、成績の学年順位とクラス順位、進路のことを父さんと聞いていたんだ。


 第一志望ははる姉ちゃんが通う東山ひがやま女子大の家政学部の現代家政学科、各学科の指定校推薦の枠が二人しかいない。

 将来はデザインを勉強して、服飾の仕事に就ければいいなと思う。


「日菜、受験はどうするの?」

「ああ……同じ大学で同じ学科にしたんだ。成績は申し分ないから、指定校推薦で行けるって」


 成績が返されてから担任の先生がこう話した。


「みなさん。明日から春休みですが、羽目を外しすぎないように」


 羽目を外しすぎて学校に連絡が行くこともあったらしく、そういうことは厳重に気にしていることが多かったのだ。

 わたしはロッカーに入れていた教科書とシューズ類をバッグの中に入れて、教室を後にしてすぐに日菜と駅前のカラオケに行くことになった。





 あっという間に空は夕方になって、夕暮れがきれいな感じになっていたんだ。


「結構、時間が経っちゃったね」

「うん……でも、楽しかったから」

 わたしは駅の改札に入ってホームに立っている。

「美琴」


 誰かに名前で呼ばれたのにびっくりして、振り返ると大野さんが声をかけて来たのにさらにびっくりしていたんだ。


大野おおのさん。どうしたの?」

「あのときはごめん。一年のときに」

「いいよ。もう過去のことだから、わたしはダンスを続けてるし」


 趣味程度になってはいるけど、ゴリゴリに踊れるように維持しているところだ。

 ダンス教室には行けていないけど、休日に行われている教室には行ってみたいなと考えていたほどだ。


「でも、先輩に言われたんだ。鮫島さめじま先輩に」


 鮫島先輩から「このままでいいの?」と卒業式のときに言われたらしい。


「美琴がとてもダンスがうまくて嫉妬してた。一年のなかでメンバーに選ばれてたし」

「そう……もうわかったから」

「ありがとう」

「ダンス部の部員たちが最高だと言える環境にしてね」


 それをいまは願っているということだった。

 これから新入生が入って新体制になるから、良いのかもしれない。


 そのときに風嶺館ふうれいかんの制服を着てやって来た紘一がこっちにやって来た。


「紘一、久しぶりだね」

「あ、うん。彼氏ができたんだね」

「うん。とても楽しいよ」

「そっか、大野さんと仲良くね」


 わたしは一本後の電車に乗ることにして、大野さんと紘一を見送る。

 大野さんはとても泣きそうな表情をしていたけど、自分でも罪悪感を抱いていたのかもしれない。


 でも、お互いになんかすっきりしたように感じていた。





 LINEの通知が来ていて、それを見るとかなでさんからメッセージが書かれてあった。


『来月から会えるのが減るかもしれない』

『仕方ないですよ、異動とかはあると思うし』

『うん、ありがとう』


 異動という言葉は中学では先生とかでしょっちゅう聞いたことがあったけど、高校は教職員の異動がない私立に進学したからその言葉を聞くことが無くなっていた。


 奏さんももしかしたら異動することになったのかなと思ってしまうけど、それを聞くのをやめていこうと考えた。





 最寄り駅に出ると、すぐに時間を始めていくことがあった。

 改札を出て歩いていると、わたしは久しぶりにダンス教室を覗いてみることにしたんだ。

 あそこに行くのは中学とダンス教室を卒業するときにあった春の発表会以来になる。





 教室に行くと窓からはレッスンを受け終えて、帰っていく子たちが何人もいた。

 階段を上っていくと、懐かしい声が聞こえてくるのがわかった。


「先生、さようなら」

「バイバイ。またね」


 そのときにわたしの顔を見た途端、とても驚きの表情でこちらにやって来たんだ。

 先生はそっと手を握ってくれて、泣きそうな表情をしてこちらを見ている。





 すぐにレッスン室にやってきて、わたしは鏡の方を向いて懐かしそうに見つめていた。

 先生が温かい飲み物を持ってきてくれて、そのままわたしは飲み始めることにした。


「美琴ちゃん。久しぶり、元気そうでよかった」

「はい。なかなか遊びに行けなかったんです。それに部活も辞めてしまったので」

「それを聞いて驚いたのよ。一年生でメンバーに選ばれればね、嫉妬されると思う」


 わたしは久しぶりに踊ってみたくなってきたけど、先生に言うのもなんとなく恥ずかしい感じがしてきた。


「美琴ちゃん。よかったら、何か踊ってみたら? 好きな曲を教えて?」

「じゃあ、いとこの披露宴があってそのときに踊ったやつで」


 明日香姉ちゃんからおすすめされた曲で披露宴では好評だったものだった。

 アップテンポな感じでわたしはゴリゴリに踊れるような振付の方が良くて、練習していたときにとても楽しくて時間を忘れてしまうほどだった。





 バッグにしまっていたジャージに着替えてから曲名を先生に伝えて踊っていくことにしたんだ。


 靴は体育館シューズでかなり踊りやすいような感じだった。

 曲が流れだしてからはとてもリズミカルに出だしがつかめたと思う。


 先生が見てる前で踊るのは久しぶりすぎて、逆に緊張してしまうことがあったりしている。

 発表会以来かもしれないから二年ぶりになっていると思う。



 そのまま一曲を終えて、先生が笑顔で拍手しているのが見えたんだ。

 わたしは息を切らしながら話していることが見えたけど、とても楽しそうな顔でこちらにやって来たのが見えたの。


「最後に見たときよりも、とてもよくなってるね」


 わたしはそのときがとてもうれしくて、笑顔になってしまったんだ。

 そのときに楽しくて、また来たいなと思っていた。





「また来てもいいですか?」

「うん」


 再びセーラー服を着替えてから家に帰る足取りはとても軽くなっていた。

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