第18話 観覧車と帰り道
観覧車には多くのカップルや友だちといたり、家族連れが多く入口にいることが多かった。
これから夜景がとてもきれいになっていくのもあって、人数が多くなってきているのが見えた。
時刻が表示される観覧車でイルミネーションがキラキラと輝いているんだ。
わたしは写真を撮ってから奏さんと歩き始めた。
「意外と早くに並んでて正解だったのかもしれないね」
「結構、人が多いけど。大丈夫かな?」
「すぐに乗れるよ」
並んだのが早かったので一緒に観覧車に乗ることができたの。
二人きりで観覧車に乗るのは初めてだから、少しドキドキしていたんだ。
「あの二人、いいね」
「うん。彼女さん、かわいいね」
「学生さんかな?」
そう言った話が後ろから聞こえてきて、ちょっとお互いに苦笑いしてしまったんだ。
「まだ俺、学生って思われることあるんだよね。居酒屋でも年齢確認されるんだよね」
「そうなんだ……まだ学生って言っても通じると思う」
「もう来年は社会人四年目の二十四歳だよ。でも、そうかもしれないね」
そのまま観覧車に乗ることができて、二人きりで隣り合わせに座る。
夜景がきれいになるのはしばらく後なのかもしれないけど、今日はこの時間帯でもきれいに見えるのがとてもラッキーだったのかもしれない。
「
「うん。それ以上に
「ちょっと、え、いまのは心臓に悪いです!」
「そうかな……普通に言っただけだけど」
顔がとても熱くなってきて、耳に血流が通っていく感覚が出てきているんだ。
奏さんは思ったことを言うのを聞いていたけど、最近はとても気にしてしまうことがあったりするけど……あんまり気にすることはない。
わたしの肩に寄りかかるように彼が寄りかかって来た。
「あまり緊張しないでいいよ。俺が気を使っちゃう」
「そう言われても、まだ……こんな感じでつきあうこと、なかったから」
夜景の範囲がだんだんと広がっていくのが見える。
自分たちが乗るゴンドラが観覧車の一番高い場所に着こうとしていることが多くなってきたんだ。
窓から見えるのはとてもきれいで海に浮かぶ豪華客船は輝いているような感じに見える。
「すごいきれい」
不意に肩をポンと叩かれて彼の方を向く。
奏さんが微笑んで顔が近づいてくるのが見えて、自分もぎゅっと目を閉じたの。
そっと唇が重なった感覚が伝わってきたのに気がついて、わたしは一瞬フリーズしてしまったんだ。
「……えっ⁉ 奏さん」
顔が離れて顔がとても赤くなっているのが見えるけど、窓の外を見ているけどごまかせていない。
「ファーストキス、だったんでしょ? その顔」
「~っ、奏さん!」
心臓がとてもバクバクしているから、とても疲れたことが起きていると感じた。
「美琴、顔が赤くなってる」
「奏さんのせいですよ」
「ごめん」
観覧車はしだいに降りていくのが見えているけど、まだ時間は余裕がありそうな気がする。
「美琴、もう一度キスさせて」
奏さんがまた顔を近づけてくるのが見えてからとてもドキドキしていたから、目を閉じて強引に彼にキスしたんだ。
「美琴⁉」
「奏さん。お返しです、そろそろ降りるみたいですね」
「え、ちょっと待ってよ。美琴、いまの」
ちょっとした不意打ちにとても驚いた表情をしているのが見えた。
「お返しか~、もう時間切れみたいだね」
観覧車を降りる直前に奏さんが残念そうな表情をして話していた。
「わたしも寂しいです……今度は修学旅行とかで三月くらいになりそうです」
「うん。俺も、LINEに話すね」
「わかった」
奏さんと一緒に桜木町駅から横浜駅まで乗り継いで、そこから都内のJRと西武戦を乗り継いでいく。
その間話していたのは修学旅行についてだったの。
「美琴はどこに行くんだっけ?」
「四泊五日で沖縄三昧」
「いいじゃん! 沖縄……四泊五日って、かなり長いよね」
奏さんはうらやましそうにこっちを見ているのが見えた。
「うん。近所の
「でも、俺は普通に広島と長崎しか行ってないから、単純にうらやましいんだよね」
それを聞くと同じ私立の高校でもでも修学旅行の行先は違うらしい。
「おみやげを頼んでも良いかな?」
「うん」
「美ら海水族館のジンベエザメのストラップがあれば、おそろいで買ってきてほしい」
「うん」
ようやく最後の乗り換えをした後に母さんに帰るというLINEを送ったんだ。
『いま西武線に乗ったよ』
『そう、わかった。七時半くらいに着くのね』
体はもう疲れてしまって、何度か寝落ちしそうになってしまう。
電車のなかはあまり混んでいなくて、奏さんが肩にもたれかかってきている。
わたしはそれが自然な感じになってきたので、自分も気にしていることが多くなってきた。
わたしはスタンプを送ってスマホの画面を暗くしていた。
奏さんは少し寝ていたけど起きて、少しあくびをしてこっちを見ている。
「あと何駅?」
「わたしはあと三駅」
「美琴の家まで送るよ。こんなに暗くなってきたから」
「ありがとう」
「いいんだよ」
奏さんはどこでも寝れるタイプみたいで、電車のなかでも自分の最寄り駅の近くで起きることができるらしい。
「美琴、これから降りないといけないね」
「うん」
わたしはそのときに楽しそうな話をしていることが起きていたんだ。
駅の改札を抜けると、暗闇でも自分のことがとても多くなってきていることが起きていた。
今度の話をしていることが起きていたけど、これからの話をしているけど楽しい話をしている。
駅から歩いて行くと、わたしはそっと歩いて行くことが起きている。
奏さんはそっと手を繋いでくれたけど、表情は少し緊張しているみたい。
わたしの家がだんだんと見ていくのが見えたけど、奏さんは手を繋いだままだったんだ。
家が近づくにつれて反比例をするように気持ちがだんだんと寂しくなってきた。
わたしは繋がれた手を離したくないし、これからも一緒にいたいと感じてしまう。
「奏さん。ほんとはまだいたいです、それはダメですか?」
わたしは心のなかで思ったことを奏さんに話したけど、少し寂しそうな表情をしているのに気がついた。
無言で立ち止まって抱きしめられて、このときは切ない気持ちになってしまった。
「ほんとは帰したくないよ。でも、美琴はまだ高校生だし、高校を卒業したらもっと遠出とかもできそうだね」
奏さんも同じことを考えていたけど、まだ自分が高校生だってことでネックになっていることもあるらしい。
自分が卒業するのはあと一年、我慢しないといけない。
「ごめん、奏さん。自分がちょっと考えが甘かったかも」
「わかってくれたなら、それでいいよ。じゃあね、美琴」
体が離れると彼はそっと頬にキスをしてくれたのが、ちょっとだけ予想外だったんだ。
わたしは少しだけドキドキしながら歩いて帰ることにした。
奏さんの姿はもう見えなくなってしまった。
一度深呼吸をして玄関のドアを開けて、声を出した。
「ただいま」
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