第3章 両想いから恋人へ
第13話 初詣
一月一日、午前十時半。
わたしは部屋でボーッとしながら着替えていた。
今日から一年が始まるのに全然実感がないけど、窓の外から見える近所の家では晴れ着を着た小学生と中学生くらいの姉妹が歩いているのが見えた。
玄関に飾られた小さめにちょこんと置かれた門松でお正月が来たんだなと思う。
「
「うん。待って、お札は? あの去年のやつ」
父さんが神棚に置かれてあったお札二枚を紙袋に入れていた。
これから行くのは御嶽山にある
ここは小さな頃から初詣に行っているけど、神社に行くまでがとてもきつい。
理由はほとんど急勾配が続く参道、最後に追い打ちをかけるように本殿まで続く石段で体力や普段使っていない筋肉を使う。
最初のケーブルカーが一番楽して行けるけど、これは初詣ではなくて登山に近い。
「はあはあ……きつい、ちょっと休憩しよ……」
「父さん、昔はケーブルカーの駅まで自転車で駆け上がってたって言ってたのに。もうバテるの、早くない?」
「最近、運動してないし……老いを痛感してる」
父さんはこの御嶽神社の氏子の一つで、親戚もほとんどが奥多摩や
でも、自分は帰省するときに会う親戚しか知らない。
父さんのいとこは全く知らない人もいて、亡くなっおじいちゃんは兄が一人、姉が五人、妹が二人で父さんはいとこがとても多かったんだよね。
わたしのはとことかになると父さんか、地元で暮らしていた和真兄ちゃんから説明してくれないと教えてくれないとわからない。
お正月もいつものように父方の実家に帰省していると思う。
神社の本殿に来たときは汗だくになってしまった。
「着いた……」
父さんと母さんは息が上がっていて、わたしは先にお札を返却する受付を見た。
「お願いします」
そのあとに拝殿の場所にある石段を登っていく。
参拝客のなかにはワンちゃんが何匹か見かけて、ここは「お犬様」という神様がいてペット同伴で祈願ができるような神社だ。
石段の一番上まで登ってから振り向くと、とてもきれいな風景が見えた。
どこまでも続く平野は奥の方がビルがたくさん建っている。
「わあ……毎年来てるけど、きれい」
「うん。そうだね、美琴。参拝しよう……って」
父さんは目の前にいた家族に言葉を失っていたんだ。
参拝してからおみくじを引いてから、小さな頃から来ているご飯屋さんに向かった。
「それにしてもすごい偶然だよな、同じ日に親戚に会うのって」
「うん。前は幼稚園の頃だし、このままおじいちゃん家に遊びに行くつもり」
わたしは
拝殿とばったりと会ったのは裕也伯父さん一家だったんだ。
和真兄ちゃんが疲れたような表情でメニュー表を見ていた。
同じ日に初詣でばったりと会ったのはすごいなと思っているし、お互いに信じられないような顔をしているのが見えた。
「美琴ちゃん。明けましておめでとう、今年もよろしくね」
はる香姉ちゃんはうちが気になっている家政系の女子大に通う三年生、年の差は四歳なのでちょうど入れ替わりになってしまうみたいだった。
でも、最近卒業できる単位が足りないことが判明して、ちょっと大変そうな顔をしているのが見えた。
「もしかしたら、美琴ちゃんと半期だけ一緒になるかもしれない」
そうやって冗談交じりに話してくれていたけど、本人はとても焦ってしまうことがあったんだ。
「そっちの若いの! メニューはどれがいい?」
「うん、三人とも盛りそばの温かいやつ」
「うん」
わたしは和真兄ちゃんとはる香姉ちゃんからこんなことを聞かれた。
「そういえば、
そのことを聞いてとても顔が赤くなってきたんだ。
「え、奏って……あの白濱さん?」
「うん、美琴が元カレのことを引きずってるから、一緒に会わせたんだよ」
はる香姉ちゃんはお茶を飲みながら、それを聞いて驚いている。
「で、奏とどうだった?」
「一応、両想いになったよ」
スラッと話していたけど、はる香姉ちゃんがとてもバシバシと肩を叩いている。
「美琴ちゃん、彼氏ができたの?」
「まだつきあうって関係じゃないけど」
「はる香、もう先、越されそうだな。美琴に」
和真兄ちゃんははる香姉ちゃんがとてもからかっている。
「仕方ないじゃない! 中学からいまの大学付属の中学にいるし……女子校歴来年で十年目だよ? 男との出会いがないんだよ」
和真兄ちゃんとはる香姉ちゃんは中学受験をして私立の中学に進学しているけど、目指したのが男子校と女子校に進学しているの。
和真兄ちゃんは社交性があって名良高校にいた頃か他校のバンドとかを誘って、中高生と学生限定の夏フェスを開催してからは現在でも開催されている。
はる香姉ちゃんは逆で友だちが少なかったけど、とても楽しいことが起きていることが多かった。
「でも、はる香はすぐに結婚しそうだよ。見る目がないとは言わない」
「ほんとに? 兄ちゃん、絶対に?」
いまはいないけど、はる香姉ちゃんは絶対に大学卒業して結婚するかもしれないのはわかるかもしれない。
注文していたそばを食べてから奥多摩のおじいちゃん家へ向かった。
おじいちゃん家に着いてから最初に仏間に手を合わせてから、和真兄ちゃんの部屋に集まって話の続きをすることにした。
わたしはそのときに起きたことが楽しいことがあったんだ。
「それで、美琴。奏とは順調なの?」
「うん……」
はる香姉ちゃんはうらやましそうにこっちを見ている。
「いいなあ~、中学のときに彼氏がいたって聞いて、びっくりしたんだよ。というか別れたって聞いていたけど……」
「うん、というか……半年以上も引きずっていたのは、少し心配になっていたし」
和真兄ちゃんはスマホを見ると、少し固まっているのが見えた。
「どうしたの? 和真兄ちゃん」
「いや……
「そうなんだ」
和真兄ちゃんは考えながらメッセージを打っているのが見えた。
それを見てはる香姉ちゃんはわたしに耳打ちした。
「兄ちゃんって、日菜ちゃんって子が好きなの?」
「わからない……うちの高校の友だち、軽音部のギターをしてるんだ」
それを言うと少し納得したような顔をしている。
「音楽の話とかで、意気投合する風景が見えるな……」
「わかるよね……」
こっちの恋愛はかなりゆっくりと進むのかもしれない。
家に帰る車のなかでは思わず疲れて寝ていたけど、すぐに眠いことが起きていたんだ。
「美琴、着いたよ」
「うん……」
部屋に帰ってからスマホを見ると、日菜からメッセージが来ていた。
『来週、学校行くの、めんどくさいね』
『わかる。ダンスの授業が嫌だよ、ダンス部』
『あ~……嫌な予感がする』
一年生のときにダンス部に入っていたけど、いろいろ人間関係が原因で部活を間しか一年間しか入っていない。
そのことは半年くらい経っているけど、その原因になったグループの人たちと同じグループになったのは嫌だと思っていた。
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