第3話 違う表情
ライブが行われているライブハウスは熱気がすごい。
ライブハウスのなかで一番大きなステージに立ってるのは、セーラー服を着た女子高生たちが演奏しているんだ。
ドラム、ギター、キーボードとボーカルがそれぞれの良さがあって、とても盛り上がっているのがわかっていたんだ。
文化祭以来で後期では学校外のライブは初めてだったのに、学校外の人が多いライブハウスでも通用しているんだ。
「すごいな……相変わらず、みんなが盛り上がってる」
その歓声がとてもきれいな感じで、みんながほんとにロックフェスのような感じだった。
「最高~!」
わたしもテンションが上がって、とてもすごいなと思っているんだけど叫びすぎていた。
ステージ上ではとても楽しそうにギターソロ弾き始めた人に歓声が起こった。
「めちゃくちゃ上手い、あの子」
「うわ……とてもかっこいい」
「
日菜が使っているのは少し古いギターで、かなり使い込まれたような傷が多くついているの。たぶんお父さんかお母さんのギターを受け継いだみたいだ。
ギターソロが終わってから、もう一度楽しそうに最後の曲が終わってしまったんだ。
「え~、これで『ルチア』のライブは終わりになります。ありがとうございました!」
そのときに歓声と拍手に包まれてライブが終わって、自分もテンションがマックスになっていたのに全然疲れていない。
体がとても暑くなっていたけど、これか始まるライブが始まるまで日菜と話したいと思っていたんだ。
一度ライブハウスを出たくなかったので、軽音部のみんなが合流してから次のライブを待っていた。
「あ、日菜たち。お疲れ様」
「ありがとう~、
ボーカルの
「そういえば、次のライブってどこの?」
「社会人バンドだって、
名良は中高一貫の男子校で
「みなさん! このバンドが本日のトリを飾ってくれます」
バンド名は『リンネ』、和真兄ちゃんと奏さんが入っているバンドだった。
『リンネ』のバンドメンバーはボーカル、ギター、ベース、ドラム、キーボードの五人で活動しているけど、現在は年に数回のライブをしていくことになっているんだ。
「えっと……準備をしている間に、ボーカルの純です」
準備をしているときにボーカルの
「もう結成して十年が経ちます。ずっとこのメンバーで活動しています。いまは全員就職して、社会人のバンドとして年に数回くらいライブをしていきたいと思っています」
ボーカルをしている加島さんが話をしながら、準備をしながら話をしていくんだ。
「みんなのライブを見てると、青春の頃に戻りたいです。いまの青春の時間を大切にしてください」
その言葉でみんながドキッとしてしまう、今日のライブで唯一の社会人バンドになるので余計に重い言葉だった。
奏さんはベースのチューニングを終えて、加島さんに合図するように音を鳴らした。
「すごいな……」
その音を聞いただけでベースの演奏がわかったみたいで、河野さんが息をのんでいた。
普段とは違う雰囲気で左耳にはシンプルなピアスなのかイヤリングか逆光で見えないけど、耳にアクセサリーをつけているみたいだ。
それから和真兄ちゃんがギターで音の確認をしてから、ボーカルにいつでも大丈夫という合図を送っている。
「じゃあ、そろそろメンバーが準備が完了しているので、最初の曲は――」
そのときに始まったけどドラムの音圧がすごくて、お腹の奥に響いていてすごかったんだ。
日菜たちも驚いて開いた口がふさがらないような感じで話をしている。
「すごいね。音の圧が」
「うん。とてもクリアなんだよね」
ギターとベースの掛け合いみたいなところも、なんかとても楽しそうに話をしているような感じをしているみたいだった。
そのライブに盛り上がってしまって、みんながさっきみたいに歓声や拍手が起きているんだ。
「かっこいい! あの五人、すごくない?」
「うん。とてもかっこいい」
日菜がとてもキラキラした目でギターを演奏している和真兄ちゃんの方を見ていた。
わたしはそれを見ていると、昔のことを思い出した。
ボーカルの歌も何度か聞いたけど、とても懐かしくなっていたんだ。
初めて来たのは中学生になってからだったんだ。
和真兄ちゃんが招待してくれて、ライブハウスに来たことがきっかけだったんだ。
それ以来、ライブはとてもきれいな話をしているのが見えた。
「美琴、すごかったねえ」
ライブが終わって一緒にライブハウスを出ると、とてもきれいな話をしているみたいだった。
日菜と話しているときに和真兄ちゃんと奏さんがこちらへやって来たの。
「あ、和真兄ちゃん。奏さん」
「あれ? 美琴、見てたのか」
「うん」
日菜は少しだけ困っていたんだ。
和真兄ちゃんたちとはほとんど初対面だし、紹介しても良いかもしれない。
「日菜、いとこの和真兄ちゃんだよ。隣はその友だちの奏さん。二人とも、鈴原日菜ちゃん、高校からの友だちでさっきのライブでギターソロをしてたよ」
「初めまして、
「
日菜は少し驚いた顔ではお辞儀をして二人に自己紹介を始めた。
「初めまして……
「持ってるギターってどんな感じが見せてくれるかな?」
お互いを紹介してから和真兄ちゃんは日菜と話を始めた。
それからギターの話題でこちらに話していることがあって、今日は帰らないといけないから電車で帰ることにした。
和真兄ちゃんが日菜を送っていくみたいだ。
「いいの? 日菜をお願いね」
「うん、家の方向が同じだからね」
奏さんも改札に行かないといけない。
「これから帰る?」
「はい。今日はすごかったです」
奏さんの演奏がとてもすごかったけど、それ以上に違う感情が現れた。
それはまだわからないもので、とても不思議な感じだった。
「そっか、よかった~。今度の祝日、神田と上野に行ってみない?」
奏さんが趣味で神田とかに行くことが多いから、おすすめのレストランとかを教えてくれるみたいだ。
上野には行ったことがあったけど、神田には行ったことがないので、とても行ってみたい。
「はい。お願いします。奏さん」
「じゃあね。美琴ちゃん」
お互いに約束をしてから、家に帰るとことにしたんだ。
「ただいま」
「おかえりなさい。美琴、ライブお疲れ様です」
家に帰ると珍しく母さんがいたの。
「母さん、もう出張はない?」
「うん。今年の出張は終わったから、しばらくは通勤になるから」
母さんは多くて月に二回くらい出張で家を空けることがあるけど、今年はもう出張がないらしいのでそれは少しだけ安心できる。
「美琴、最近表情が明るくなってきたね」
「そうかな?」
「うん。春休みよりは明るくなってる」
春休みの頃はちょうど紘一と別れたときだったので、わたしはそれを母さんに言われてそうかもしれないと思った。
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