第28話 淀君さんと縁結び⑦

 もと子がリュウの指さす先を辿って見てみると、見たことのある絵馬の絵がお社の中に見える。

もと子は慌てて石田からもらった写真の束を出した。一つずつ見ていくうちに手が止まった。

「ありました!ここ、パパとの縁結びをママがお願いに来た神社です!」

もと子の示した写真にはもと子の母の後ろに確かに錠前に赤い字で心と描いてあるのが見える。


「もとちゃん、写真の神様が見つかって良かったな。それに見て、鴫野さんの神様に淀君さんがいてはるで。太融寺でお供えもせんのに釣り鐘まんじゅうのお礼を言ったことを淀君さんは怒ってなかったんや。こっちも良かったな。」


クスクス笑うリュウの目線の先、由緒を書いた板を見ると御祭神に淀君の名前がある。

「ホントだ。太融寺さんのこと、怒るどころか呼んで下さったんですね。」

しみじみともと子は独りごちた。


「神様、私のママとパパを結婚させて下さってありがとうございます。私もリュウさんと末長く幸せでいられますように。」

心を込めて手を合わせた後、もと子は授与所で鴫野神社の絵馬を買った。


 ここの絵馬は数え年、干支、性別のみを書くもの。しっかりと願いを心に描いてもと子は絵馬をお社の中に掛けた。


 列から離れたところでもう一度手を合わせ、お社の後ろの白蛇がいるといわれるご神木にもお参りした。

 その後、2人は茶店の方に歩き出した。

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