第23話 淀君さんと縁結び②

 お賽銭を入れ、2礼2拍手、手を合わせた。

神様、リュウさんのお嫁さんになれて幸せです。これからもずっと仲良くいられますように。

神様、もとちゃんと幸せな家庭を築けますように。

2人は次の人に順番を譲り、おまちかねの焼きそばの屋台に並んだ。


「リュウさんはなんてお願いしたんですか?」

「ん、家庭円満。もとちゃんは?」

「家庭円満。おんなじかな?」

エヘヘと照れるもと子にリュウもこめかみをコリコリとかく。

「なんや、嫁さん前にして家庭円満って言うのも照れるな。」

モジモジしていると順番がきた。


「はい、お兄さん、いくつ?」

威勢のいい屋台のおっちゃんから声がかけられた。モジモジしていてもお腹は減る。結局ソース焼きそば2人前、塩焼きそば1人前を頼むことにした。これにフランクフルトと唐揚げも買い込んで境内前の公園で食べることにした。


 焼きそばはソースがしっかりからんで、麺はモチモチ。豚肉やキャベツもしっかり入っている。もと子の塩焼きそばは出汁がよく効いていて、あっさり。いくらでも食べられそう。

「焼きそばはやっぱり外せんな。」

「私、屋台の塩焼きそば初めてです。こっちもいけますよ。」


 ベンチに腰掛けた2人の間に焼きそば、フランクフルト、唐揚げ、ペットボトルを置いて、まずは腹ごしらえ。

あっという間に平らげた。


「粉もんはお腹がふくれますね。美味しかったです。」

もと子はティッシュをリュウに渡し、自分も口元をふいた。

「奥さまは満足か?」

もと子はポンポンとお腹を叩いた。


「じゃあ、そろそろ境内の中の神社もお参りしていこか。」

ゴミを片付けてリュウが立ち上がった。たくさんの人混みに、はぐれないようしっかりと手を繋いで拝殿の北側の道に足を踏み入れた。

まずは天満宮。

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