第18話 商売繁盛と夫婦円満?⑪

「わあ、船の絵がたくさん!」

「ここは船乗りさんがお参りに来るんやな。」

さすが海の守り神。2人は納得した。


 船玉神社を過ぎると市戎社・大国社が見えて来る。

「ここは恵比寿さんと大黒さんをお祀りしてるねん。ここの恵比寿さんは大阪最古らしいで。」

「住吉さんだけじゃなくて境内の神社も歴史があるんですね。」


もと子はここで終わりかと立ち止まった。

「ちゃうちゃう、あの田んぼも住吉さんのや。」

リュウは目の前に広がる田んぼを指さした。田んぼは稲が青々と揺れている。


「田植え祭りの時は女の子が田植えしてる間、巫女さんの舞やら住吉踊りとかいろいろ奉納されて楽しいらしいで。それで田んぼ前にある広い観覧席に人が溢れるらしいわ。」

「うわ、見てみたい。」

「また来れるよう考えようか。」

もと子は稲の揺れる田んぼを遠い目で見つめて想像をめぐらせた。


「もとちゃん、あっち戻ろう。」

リュウともと子は反り橋に向かった。

反り橋を渡ろうとして、もと子はリュウに手を引かれた。

「まだ終わりとちゃうで。誕生石と大海神社さんに行かんと。」

誕生石?何が誕生?と考えているうちに回廊沿い、池のほとりに石垣に囲まれた祠が見えてきた。そこには島津の家紋のちょうちんが立ち、松の根元に大きな石があった。

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