第16話 商売繁盛と夫婦円満?⑨

「ビンゴ!!」

2人は辛い方の生姜湯をお土産に買った。お釣りを受けとる時にリュウは聞いてみた。

「あのすみません、もしかしてこの辺りにご飯にまぶして食べる名物の味噌ってあるんですか?」

すると横で生姜湯を飲んでいた男が口を開いた。


「そこの東門から真っ直ぐ行ったらすぐや。レトロな建物で屋根に灯籠建ってる店や。そこの住之江味噌が名物やで。」

「兄ちゃんら初辰さん参りしてるんか?神さんも味噌屋も早めに閉まるから早く行った方がええで。」

連れの男も教えてくれた。


「うわ、ありがとうございます。」

2人は男にお礼を言うとまずは浅沢社に急ぐことにした。

楠くん社から日本三舞台の1つとされる石舞台の横を通りすぎた。


 浅沢社は弁天さんとも言われ、女性守護や芸能上達のご利益がある。

「ここ、芸能や美容の神様でな、5月にはかきつばたがきれいなんや。」

「リュウさん、今度かきつばたの季節に来ましょう!それまでに美人になれるようお願いしますね。」

うなずくリュウともと子の2人はしっかり手を合わせた。


 浅沢社に手を合わせた後、次は最後の大歳社。浅沢社のすぐそばにある。大歳社は心願成就と集金満足のご利益がある。商売人にとって集金満足は何とも心引かれる。

2人はご祈祷を受け、小石に大と書かれた大歳守を頂いた。


 境内にあるおいとぼし社にはおもしろい石がある。 

「ここには願いが叶うなら軽く感じる、おもかる石があるんやで。やってみる?」

もと子は挑戦してみた。やはり軽くは感じられないが持ち上げることは出来た。

「早く一人前の看護師になれますようにってお願いはなかなか難しいってことなんでしょうね。」 

「まあお互い、頑張ろうや。」

リュウはもと子の肩を叩いた。


 物足りなさそうにしているもと子にリュウは聞いた。

「もとちゃん、次は?」

「あ!そうでした。ぐずぐずしてらんない!」

もと子はリュウの手をとった。

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