第12話 商売繁盛と夫婦円満?⑤

「しんみりしちゃいましたね。いただきましょう。」

2人は両手を合わせていただきますと言うと箸を手にした。


「これが噂の豆飯や。」

目の前のご飯には茶色の大豆が点々と顔を出す。。大豆を炒ったものを皮をむいてご飯と炊いている。もと子は豆飯を口に入れた。

「もちっとしてますね。ほんのり塩味のご飯とマッチしてほこっと美味しい。」


先程まで涙目だったものが今はすっかりニコニコ。パクパク食べている。

リュウは海老の天ぷらに箸を伸ばす。

「天ぷらもサクサクして美味しいで。」

「煮物は優しい味ですね。お出汁が効いてるのかな。」

2人はパクパクと箸をすすめた。


「ご馳走さん。」

リュウはあっという間に完食。お茶をすすった。もと子もまもなく完食。

「ああ、美味しかった。リュウさん、連れてきてくれてありがとうございます。」


「じゃあ、住吉さん、行こか。」

会計を済ますと2人は目と鼻の先にある住吉大社へ向かった。歩きながらもと子は石田の話の続きを始めた。


「あのね、石田さんがウチのママから生姜湯とご飯に混ぜて食べるお味噌をもらったそうなんです。それがとっても美味しかったんだって。その生姜湯はどこかのうどん屋さんで売ってるらしいんですよ。食べてみたいけど見つかりそうにないです。」

もと子は眉を下げた。


「生姜湯?あれ?住吉さんで飲んだことあるで。結構辛くて旨かった気がするわ。」

「ホントに?住吉さんの中にうどん屋さんありますか?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る