第9話 商売繁盛と夫婦円満?②
生玉さんは難波から歩いて行ける生國魂神社という大きな神社。日本書紀にもその名が記されるほど歴史がある。豊臣家との関わりもあり、夏祭りは大阪三大祭りの一つ。
「え!そうなんですか?生玉さんの夏祭りは屋台もたくさん出て、にぎやかでいいですね。屋台の食い物ってなんであんな美味いんですかね?」
屋台の食べ物で社長とリュウは盛り上がった。2人の話を聞いていたリュウより少し年上の女性事務員が左手を上げた。
「リュウさん、食べ物だけですか?生玉さんだったら奥さんを鴫野神社さんに連れてってあげたら?」
リュウも社長も振り向いた。
「鴫野さん?何の神さんや?」
「女の人やカップルに人気なんですよ。私も結婚前にダンナと行きましたもん。噂通り、霊験あらたかでしたよ。」
事務員は結婚指輪が見えるように左手を掲げた。
「へえ、生玉さんにたくさん神社あったけど、そんなすごい神さんいてはったんですね。」
今まで何度か別々の彼女に連れられて生玉さんに行った。だがリュウは本殿の神様以外はあまり気にしていなかったので首をかしげた。
「一番奥にある神社です。鴫野さんは女性の守護神と言われてるんです。是非連れて行ってあげて。」
他の女性事務員も皆うなずいている。
「リュウ君、こりゃ行かないかんなあ。」
「報告聞かせてね!」
たくさんの声に見送られてリュウは得意先を後にした。
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