第7話 釣鐘まんじゅうの賭け⑦
まずはお腹がなる前にお参りを済ませなくっちゃ!
もと子は早足になった。
一願不動さんに手を合わせたもと子はお不動さんの奥にもお稲荷さんと弁天さんがまつられていることに気がついた。弁天さんの前に言葉を書いた板がある。
何度唱えるの?もと子は周りをチラチラみながら小さな声で三度唱えながら手を合わせた。一願不動の方を振り返ると奥に事務所があり、作務衣を着て座っているお坊さんとお守りや供養受付の文字が見えた。
もと子は早速、両親の供養をお願いした。
「命日と戒名は?」
「戒名?あ、えーと,,,」
「わからんかったら普通に名前でいいですよ。」
もと子はドキドキしながら両親の供養を頼んだ。後でまとめて読経してくれるらしい。お坊さんに頭を下げた。
次に一願不動さんの右隣のお堂をのぞいてみる。そこはさらに暗く、奥に仏像がまつられている。恐る恐るもと子はのぞいてみた。
「暗いやろ?ここで護摩焚きしはるんやで。」
驚いて振り向くと近所から来たような格好の小柄なおばちゃんがニコニコと立っていた。
「護摩焚き?」
「あの四角いところで願い事を書いた護摩木を焼いてお不動さんのご利益もらうんや。」
「はあ。そうなんだ。」
「お姉ちゃん、初めてなんか?」
おばちゃんは張り切って説明をはじめた。
「隣のお堂には弘法大師さんがいてはる。向かいの大きいお堂が本堂で、手がいっぱいある千手観音さんがいてはるねんな。本堂の角にマニ車って言うのがあって、それを回すだけでお経を読んだ事になるねん。絶対回しや。」
一度に説明されて、ついていくのに必死だった。だがこの人ならわかるかもと聞いてみた。
「詳しい説明ありがとうございます。あのですね。ここに有名人のお墓があるって聞いたんです。ご存知ですか?」
ハイハイ、おばちゃんは何度もうなずいた。
「本堂の向こう側に白龍さんのお社やお地蔵さんがあってな。その奥や。」
で、誰?もと子がもう一声を期待した目でおばちゃんを見るも、バシバシ肩を叩かれた。
「お参りしてのお楽しみや。白龍さんは縁結びやで。絶対外したらアカンよ。」
おばちゃんに見送られ、もと子は教えてもらった仏様、神様に手を合わせた。
最後に白龍大社さんの後ろをのぞくとそこには立派なお墓が。
それは大阪城の女主人、悲劇の美女、淀君のお墓であった。確かにビッグネームであった。もと子は冥福とお礼を込めて淀君のお墓に手を合わせた。
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