第4話 釣鐘まんじゅうの賭け④

「それはサツキちゃんが信治さんと籍をいれた時の写真。」

若い父母が微笑みながら婚姻届を持っている。


 次の写真はどこかの神社の前で錠前に心が描かれた絵馬を持ち微笑む父母。

「この神社で信治さんと一緒になりたいと祈ったらしいの。そしたら願いが叶ったとサツキちゃん、大喜びだった。」


 次の写真は母が赤ん坊を抱っこし、2人を抱えるように父が写っている。2人とも嬉しそうな顔をしている。


 その後は親子3人の写真が続き、最後はろうそくののったバースデーケーキを前にして顔をすりよせるようにした親子の写真だった。


「たしかもと子ちゃんの10才のお祝いだったと思うの。この後、連絡が取れなくなったの。」

「,,,この年にパパとママは事故で死にましたから。」


「そうよね。ずっと外国にいたから何にも知らなくて。今回の帰国で昔の友達に会って、初めて知ったの。」


石田はもと子に悲しげなまなざしを向けた。

「ごめんなさい。もっと早くに知っていればあなたに何かしてあげられたかもしれない。」

石田は悔しげに唇を噛んだ。


「棚橋の家族はサツキちゃんに冷たくてね。サツキちゃんはいつも苦しんでた。だから信治さんと家を出たの。信治さんはサツキちゃんにとって救世主だったのよ。」


「だからパパとママは仲良しだったんですね。」

目元を潤ませるもと子に石田は微笑んだ。

「サツキちゃんと信治さんの話、聞きたい?」

もと子は大きくうなずいた。


「あの2人、計画駆け落ちだったの。」

「計画駆け落ち?」

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