最新「魔導騎士」まで拝読しました!!
第七王子として育ったローランと、彼に仕えていた騎士のオリヴィエ。二人はロベスピエール公爵が起こした革命により地位を追われ、少年奴隷として塗炭の苦しみを味わう。
しかし闘技場で銀狼を倒したことから、国の聖母であり聖導教会最高司祭でもあるパトリアルケータの目に留まり、二人は騎士団入りを目指して聖堂立騎士学院に入学する。
フランス革命をモチーフにした、魔法ありのファンタジー世界で繰り広げられる壮大なロマンです。
奴隷としてひどい扱いを受けていたシーンは、読者の私も胸が痛みました。
ローランたちを苦しめた原因となったのは、ロベスピエールが起こした革命。特に元王子であるローランは打倒・ロベスピエールを生きる目標としています。
とはいえ、ローランはどこか呑気で食いしん坊。
性格も明るく、聖堂立騎士学院に入ってからはわりと微笑ましい学生生活の様子が描かれます。
ちょっとだらしないローランのことを、渋い顔をしながらもせっせと面倒見てしまうオリヴィエ。
お話を通して、この二人の関係がとても良い!!!!!
二人は相棒となり、歳を重ねます。そして歴史も動きます。
革命後、国内は、ロベスピエール率いる公安委員会・ローランたちのいる聖導教会派閥・貴族が多数属する共和国議会派の三つ巴状態。
ロベスピエールは隣国からの攻撃に備えるため国軍を設立し、さらに聖導教会派閥をも掌握しようと画策します。
ローランたちが留守の間に聖導教会が襲撃され、騎士たちが捕らえられてしまった「ノートルダム大聖堂」から続く一連の流れは、まさに激熱の展開。
ラスボスと思われていたロベスピエールがシャルルに倒されたシーンは、「えぇぇぇこの先どうなるの?!?!?」と、とても驚きました。
ロベスピエールを討ったシャルル(名前からしてモデルはナポレオン?)は、実は聖導教会を敵とみなしている魔導教会の一味。
読者にはずっとそのことが提示されているのですが、シャルルは表向き国民をいい方に導く人物として描かれていて、だんだん彼のもとに権力が集まります。
このあたり、国内外の各勢力やそれらの動きなど、設定がかっちりしっかり固めてあって、読んでいて安心感がありました。
お話から離れた点で素晴らしいと思ったのは、一話の長さと引きの巧みさ。
これは以前にレビューを書かせていただいた『世界最強の魔導師にして歴代最年少の少年王は聖女を溺愛してる』を読んだ時も感じていたことです。
歴史小説のように硬派なお話ですが、一話の長さが(私には)絶妙にイイ!!
上手く言い表せないんですが、『読んでいて辛くならない』のと『薄っぺらくならない』のが奇跡のバランスで釣り合っていて、しかも次の話への導入がされているので、続きをクリックする手が止まりません。
この『ページのボリュームがちょうどよく、先が読みたくなる』という点で、右に並ぶ作品は、さほど存在しないのではないでしょうか。
この類稀なるバランスの良さは作者さまの天性の才が生み出しているのか、はたまた計算しつくされた結果なのか。
いずれにしても、私も書き手として見習いたい部分です。素晴らしい!
最新話ではオリヴィエがまさかの事態になって、めっちゃハラハラ。
大きく動いていく歴史の波にローランとオリヴィエがどう立ち向かっていくのか、先が楽しみです!!