第22話 学校閉鎖……?
いつも通りのバス停でバスを待つ朝。
もうすぐ冬が来る。
朝はちょっと寒い。
「おはようございます」
「おはよー、きらり。寒いねー」
「寒くなってきましたねー」
いつもと変わらない会話。
そしてバスが来る。
「やっときたー。バスの中は温かいんだろうなー」
「あれ? きらり、淳は?」
「え? そういえば、来ていないですね」
「車で行くのかなー? ま、乗っちゃおうか」
「そうですね。また寝坊でもしてるんでしょうね」
私達は淳を置いてバスに乗った。
まもなく千秋がいるバス停に着くのだが、バス停には誰もいない。
バス停に人が立っていない時は、停車することなく通り過ぎる。
「夏希さん、千秋さんから何か聞いてます?」
「いや、電話すらなかった。千秋がバスに乗らないとか珍しいなー。風邪でも引いたかな?」
すると、靖郎が待つバス停でも靖朗は乗車して来ず、小学生だけが乗車してきた。
小学生に聞いてみたが誰も分からない様子であった。
明日香はちゃんと乗車してきた。
「おっはよーございまーす! あれ? 人少なッ!」
「そうなのよ。なんでだろう?」
きらりが明日香に聞いた。
しかし明日香も
「分かんねー。ズル休み?」
と答えるだけであった。
学校前のバス停に着き、学校まで歩く。
ふーも来ないようだ。
また時間ギリギリに登校する気だなと思っていた。
教室に着いた。
三年生の教室には私一人だけしか居ない。
朝のホームルームの予鈴のチャイムが鳴った。
結局、千秋とふーは登校して来なかった。
すると、隣の二年生の教室からきらりと明日香が様子を見にやってきた。
きらりが心配そうに話しかけてきた。
「結局、男子二人来なかったんですけど。三年生はどうですか?」
「二人とも来てないよ」
「えー。もう帰っていいかな?」
明日香は学校閉鎖を期待しているようだ。
すると、内藤先生と川村先生が教室に来た。
「朝のホームルームするよー」
「はーい。夏希さん、またねー」
そう言うときらりと明日香は教室に戻って行った。
私は席に着いた。
「おはよー」
「おはようございます」
「ご覧の通り、二人は欠席です。二人ともインフルエンザです。夏希も気をつけてねー」
「はい。あのー、これでも授業するんですか?」
「う~ん。さっき職員室でも話があったんだけど、どうしても給食止めれなくてさー。その代わりに、三時のバスで帰って良いことになったよ」
三時のバスは主に保育園児と小学校低学年が乗るバスだ。
六時間授業をする学年は五時のバスに乗っていた。
「ちなみにさー、二年生男子も来なかったでしょ? あの二人もインフルエンザで欠席ね」
「はぁ……」
もはや、学校閉鎖になってもおかしくないのに、これでも授業をやるとは……。
「今日の授業はほとんどプリントやるから気楽にやってよー」
「マンツーマンの授業とか嫌です!」
「がんば~」
今日は憂鬱だ。
朝のホームルームで言われた通り、授業ではプリントを配られ自習をした。
そして給食の時間になった。
人数のぶん量も少ないかと思ったが、鍋を開けてみると普段どおりの量が入っていた。
「よっしゃー! 食うぞー!」
明日香が変な気合いを入れ始めた。
「え? これ全部食べる気?」
「当たり前です! 姫乃森の学校のモットーは『残さず食べましょう!』ですよ!」
「えー」
私もきらりも絶望しかなかった。
そして、明日香は先生まで巻き込んでいった。
「内藤先生! 食べてくださいね!」
「いやぁ……、もうお腹いっぱい……」
「先生! カレーは飲み物ですよ! まだまだいけますよ!」
明日香が鬼に見えてきた。
なかなかの量であったが、なんとか全部の鍋を空にすることが出来た。
お陰でみんな、お腹が苦しくて動くことが出来ないでいた。
「食べたー、食べたー」
明日香は満足していた。
きらりが校長先生に質問しだした。
「なんで学校閉鎖にならなかったんですかー?」
「給食を止めれなかったことも理由の一つなんだけど、大きな理由は全校生徒数が元から少ないからだよ。一人でも登校すれば授業をやらなきゃいけないんだよー」
「給食とか大変じゃん!」
明日香が驚いて言った。
驚く所はそこか?
「午後は自習でもいいよ。三時のバスには遅れないで帰ってね」
「はーい」
「自習はもったいないなー。午後の授業、体育として卓球やろうか!」
川村先生がいきなり言い出した。
「えー! もう動けない」
みんなブーイングした。
しかし、
「食べた分、動くよー!」
「マジか……」
結局、午後の授業は体育で卓球をした。
川村先生を恨むかのように私達は、川村先生をこてんぱんにやっつけ、フルセットで試合に勝ったのであった。
そういや、千秋とふーがいない学校って初めてだ。
でも、来年の四月からは、二人がいない学校生活が当たり前になっていく。
そう思うと寂しくなってきた。
明日、明後日は土日で学校はお休み。
来週の月曜日は二人に会えるかな?
千秋とふーの回復を祈りつつ、二人に会える日を楽しみにしていた。
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