Twitterをしていただけなのに
表山一郭
第1話
月曜日の朝、重い足取りで忠彦は、会社に向かった。デスクに座り、パソコンを起動する。
心なしかスイッチに触れた手がいつもよりぎこちなかった。
向かいの机から声が挨拶する声が聴こえた
「今日はいつになく元気がないな」
忠彦は藤澤の声が自身に向けられたと気づくも
思うように声が出せない。
「おい、どうした?」
叫び声を上げたのだろうか藤澤が覗き込む。
「おい……え?」
藤澤は絶句する。
忠彦のデスクに手がめり込んでいたのを確認したからだ。
月曜日の朝は労働の開始を告げるチャイムであって、
超常現象の初体験を予感させる日ではないだろう。
同僚の手にかかる重力が異様に集中している様子がありありとわかる。めきめきと音を立てて机を貫通した。
その後のことは何も覚えていない。
思い出せることといえば占い師の奇妙な発言だ。
「お客さん、近いうちに知人に災いがおよびますぜ。」
不審に思っていたが忘れていたのだ。
占い師のいでたちはあまりに見窄らしかった。黒いフードをすっぽりかぶり、蒼白な顔が逆光により浮かび上がってみえた。鼻と目元のあたりをぼんやりと眺めていると、不意に占い師が身を乗り出し、耳元である言葉を囁かれた。
フラッシュバックが終わり藤澤は我にかえる。
「そうか。これがわたしのツイートを無断転載した呪いか」
Twitterをしていただけなのに 表山一郭 @sosokura
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます