第100話
「国王の家族だけでの食事。だから、邪魔をしたくないのよ。」とローレッタから言われて、気が付く。
必ず誰か、一人居ないのだった。
晩餐会や、社交界、舞踏会、地方から来ている、貴族の挨拶を受けたりして、居ない事があった。
「だから、今日は私は、自分の部屋で取らせてもらうわ。多分、皆が待ているわ。早く行きなさい」と促されて、食堂に向かった。
ドアを開けると、ローレッタが言っていたように4人は、もうすでに、席に着いていた。
「リズ、ここに座りなさい。」と国王のアレクサンダーが、言う。
国王のアレクサンダーが、前の席にその横に
私の前は、パトリック、斜め前にはダンフォースが席に着いている。
料理が運ばれてくると、
「リズ、この料理で苦手な物はあるの?あれば、言ってね。その食材は使わないから。」とアレクサンドラが微笑んでいる。
「母上、リズを甘えさせないでください。もうリズも14才なのですよ。」とパトリックが言う。
「だって、リズを甘えさせたいの。ねえ、アレックスだって、そう思うでしょ。」
「アリー、リズも14才なら、嫌いなものは食べないで残すからそこまで心配しなくても大丈夫だよ。」
「父上、残すという問題では、ないのですよ。」とダンフォースが呆れた様に言う。
「あの、
「リズが、遠慮してるのかな、って思ってね。
もっと、我儘を言っていいのに、言わないから。」
「すごく良くして頂いています。これ以上の事はないと思うのですが。」
「リズ、気にしなくていいよ。父上も母上もリズに甘えて貰いたいだけだよ。僕もだけれどね。」とパトリックもにっこり笑ている。
「甘えるって・・・・」どうすれば良いのだろう。
「リズ、暮らしていけば、その内に、我儘を言えるさ、甘えることも出来るよ。毎日、少しづつ、一緒に居る時間を作り、会話を楽しんでいければ、相手の気持ちも少しは、解っていくだろう。
時間が解決するだけだよ。」とダンフォースが、言ってくれた。
「そうですね。その内に、我儘を言っていると思います。」と微笑んだ。
「リズ、無理して、笑う事はないぞ、血では繋がっていても、まだ、解らない状況だからな。解らない事が、あれば、直ぐに、言ってくれ、それが、甘えだと思ってもいい。
そうして貰える事で、儂らは、嬉しいのだからな。」
「はい、そうします。」
「リズ、私からの頼みを聞いて、貰えるかしら?
今度、お茶会を開くのよ。一緒に出て貰えないかしら。
いつもは、ローレッタが一緒だったのだけれど、リズも14才なのだから、いいわよね。」と目を細めて微笑んでいる。
「母上、それは、お茶会と言う名目で、リズにドレスを作りたいだけですか?」パトリックが言うと、
「いいえ、他にも一緒に買い物にも付き合って貰うの。
それ位しないと、リズと一緒に居られませんもの。」
「本音をあっさりと言いますね。」
「ダン、隠す必要はないと思うもの。だって、14年間よ。それまでの時間を埋めたの。リズに今までしてあげたい事をしたいの。隠す必要もないでしょ。」と言うと。
「アリー、儂も一緒にドレスを見たい。色々な物を買い与えたいんだ。」
「何もいりませんよ。だって、ドレスも沢山ありますし、これ以上、あっても着る機会がないと思うのですけれど。」
「着る機会は、沢山作るわ。だから足りないと思うの。」
「ドレスも何も要りませんし、着る機会も作らないでください。
出来れば、お二人と一緒に、お茶をする時間を作って、お話をする機会を作って下さいませんか?」と頼む事にした。
(1年間の留学を終えた時に、自分の身の振り方を決めるのだから、もし、アトウッドキャクストン国に戻った時には、全てが無駄になる。
この国に残る事にすれば、その時に、作って貰えば良い事なのだから。)
「そうね。リズとのお茶会。アレックスも一緒が良いわね。
アレックスの時間が取れない時は、リズと二人でのお茶会ね」と喜んでいる。
「は・は・う・え・ 僕や兄さんも入れてください。」とニヤリとしている。
「二人を忘れていました。貴方達は、奥方を探すお茶会や舞踏会が忙しそうだから、良いのかと思いましたけれど。」
「いやいや、それとは、別でしょう。それに、兄さんも、僕も、政略結婚を考えているのでしょう。」ダンフォースが、あっさりと政略結婚の事を言っている。
「リズは、政略結婚は、させないよ。自分が好きになった人と結ばれれば良いのだからね。気にすることはないよ。」とパトリックが、言ってくれた。
「兄さん、リズの好きな人と結ばれるのは、構わないけれど、条件を付けた方がいいですよ。リズの初恋で片思いの相手と結ばれて貰いたくはないですからね。」
「片思いの相手なら、リズが好きなのだから良いだろう。」
「多分、リズの初恋で片思いの相手を知ったら、全員が反対しますよ。
まあ、相手も、リズの事を大切に思っているから、結婚は無いでしょうけれどね。」
ダンフォースが、言った言葉で、3人とも誰の事を指しているのが解った。
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