第6章 魔法学校への留学

第96話

魔法学校への留学の手続きを終え、寮の部屋に案内をされている。

私は侍女をスチュアートは従者を連れてきている。


「リズ、君は王宮からの通学だったよね。」


ケイトもそう聞いていますよ。」


「二人とも、知らないのかもしれませんね。王族の方は通学の時には、寮の部屋に通学されています。寮の部屋から学校に通うのが基本ですよ。」

と説明してくれて言うのは、この寮の寮母長さん。


寮は中央の大きな建物に共同の入り口と食堂、談話室、図書室、ダンスホール、勉強スペース、魔法の練習室があり、左右対称に中央の建物より少し高さが低いけれど、横に長い建物が建っている。


今は、中央の建物の案内をしてもらっている。


中央の建物の2階に上がると、左右の建物の廊下と繋がっていた。


「ここから、男子寮と女子寮に分かれます。

男子生徒と女子生徒が顔を会わせられるのは、基本ここまでです。ここでしが、建物は繋がっていません。」と笑顔を向けられた。


真ん中に小さな建物から、二人出て来る。


「この二人は、男子寮と女子寮のそれぞれの管理担当者です。解らない事があれば、二人を頼ってくださいね。

後、寮は、異性を入れることは禁じてられています。

例え、従者や侍女であろうと、だから、ここに管理担当者がいるのです。忘れない様におねがいしますね。」


スチュアートとケイトは、それぞれの部屋に案内をされた。


私の部屋は、王族専用の部屋だった。部屋に入ると、大きなクローゼットの中には、もうドレスが、運ばれていた。

部屋を見て回ると、湯浴みの場所もありとても快適に過ごせそうだったが、一つだけ窓もなく、ドアがあるだけの小さな部屋があった。


「ウォーリー、この部屋は、何に使うのかしら?知ってる?」


「エリザベス様、それは、通学に使う部屋ですよ。」


「通学に使う?どうやって使うのかしら?」と言っていると、


『リズ、転移魔法で、夜には、戻ってくるんだよ。ウォーリーから、部屋の場所を聞いて確認をして置いてね。』


『ダン兄様、今、ウォーリーから話を聞いて確認してるの。』


『じゃあ、大丈夫だね。今晩も、魔法の練習があるからね。じゃあまた後で。』


マティーが国に、戻ってから、ダンフォースとパトリックから、王族だけの魔法を習っている。

魔法学校と王宮の移転魔法は、簡単なほうだ。

二人からすれば、ただの移転魔法、今までに練習をしていない事を驚かれてしまった。


後、ゴールドスター・クレスト王家の紋章の者だけのテレパシー念話を使い方や他の者に聞かれない様に遮断の仕方。


褒められたのは、防音結界を無詠唱で張れる事だった。


テレパシー念話の使い方や遮断が、まだ上手に出来ていない。もし、テレパシー念話を使えば、もし、近くにゴールドスター・クレスト王家の紋章の者が居れば、内容を聞かれてしまう。


迂闊に、テレパシー念話で連絡を取れない。


少しでも早く、テレパシー念話で話しても、聞かれない様にしなけれればと思っているが、今は、王族の人、そう実の家族だけが連絡に使っているだけだから、問題はないのだが、マティーがこの国に来た時には、連絡を取る為には、必要だとは、思っている。


暫く、寮の部屋から外を見ると、花壇に綺麗に薔薇が咲いている。

「ウォーリー、もう少し、寮の色々な所を見て来るわ。いいかしら。」


「それは、一人にして欲しいと言う事ですか?」

頷くと、

(薔薇は、バードが、造ってくれた、アクセサリーのモチーフ、ゆっくりと見たかった。)


「解りました。早く、お部屋に戻ってくださいね。」

そう言われて、部屋から出ると、共同の階段の場所に、スチュアートが、向かって歩いてくる。


「リズ、どこかに行く用事があるの?」と聞いてくる。


「外の庭にバラが、綺麗だったので、少し見たいと思っただけです。」


「僕も、同じだよ、庭のバラ、上から見ると綺麗だから、外に出たくなったんだ。

一緒に、見に行ってもいいかな。」


「たまたま、同じ場所に行くだけですもの。別に構いませんよ。」


「では、お嬢様」と言うと、そっと、手を差し出す。


「ステューも、優しく、エスコートが出来る様になったのね。」と少しだけ、嫌味を言うと。


「僕は、少しずつ変わっているんだよ。リズも少しは、気が付いた方がいいよ。」


スチュアートは、あの日から、少しずつ変化している。

人に対しての礼儀を弁え、上からの目線の言い方も減って来た。

人前では、嫌味を言う事も無くなってきている。


反省と自覚なのだろう。

王族としての威厳は必要、無駄な反感を持つ言い方には気を付けているようだ。


「そう言えば、ステューの寮の部屋はどうだったの?」


「どうだったとは?」


「王族の部屋だったの?」


「そうだよ。一応、僕も隣国だけれど、王族だからね。ただ、一つだけ、開かない部屋があった。その部屋だけは、カポーティブレナン王国の王族のみが使用出来る部屋だそうだ。」


「そうなんだ。少し心配をしていたの。ほら、留学の理由を考えるとね。」と口角を上げた。


「まあね。でも、僕はそれでも良かったかもしれいな。

まあ、奢る事の無いように気を付けるさ。

リズは勿論、王族の部屋だろ。王族の使える部屋も使えるだろ。」


「使えるけれど、私は無くても良かったかも・・・・」

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