第95話
『身近にいて、身分的にも問題にならない相手にぶつけて居るんだと、僕は思っているよ。』
「兄上が、その様に思っているなんて。」
「スチュアート王子、アルフレッド様は、貴方より5才上です。
アルフレッド様にも、反抗期があったのですよ。同じ立場だからこそ、解っているのではないですか。
だからこそ、この留学を勧められた。
魔法学園の責任者を自分から、引き受けるから、ステュー
の留学を認めで欲しいとね。」
「バクスター公爵、兄上と仲が良いのかい?詳しく話をしているみたいだから、教えて欲しいんだ。」少しだけ、表情が柔らかくなっている。
「アルフレッド王子と仲が、良いと言う事では、有りません。
ただ、まだ幼かった王子を知っていると言う事です。
あの頃のアルフレッド王子はスチュアート様よりも、反抗期が、激しかったのですよ。
色んなプレッシャーも有ったのでしょう。その様な時期に、お話をする機会がありました。
あの頃は、私の傍で、ケイトに文字を教えていた時です。
王子に話す内容では、可笑しいのですが、ケイトの話をしました。
捨て子で、しっかりと育ててくれる親が出来た事、もしその子が、自分の本当の親でない事を知った時、もし、その親に、自分の子供を持った時、その子は、どうすれば良いのでしょうね。と聞きました。
アルフレッド様は、その時に気付かれたようです。
ご自身で、留学をしたいと国王に申し出たようですから。」
「兄上は、ご自分で気付かれた。僕は・・・・」
「スチュアート様は、今、気付かれて、変わられるのでしょ。
一緒に、留学で学びましょう。」
「ケイトに言われたくないな。
いや、エリザベス王女、魔法学校で一緒に学び、お互いに成長しましょう。」
「はい、スチュアート様、お互いに、よきライバルとして、お願いします。」
「スチュアート王子、1年間ですが、留学で学び得られる事が、多い事を期待しております。」
「留学を終えたら、ケイトも一緒に連れて帰るから、安心して欲しい。」
「王子、ケイトが決める事です。この国に残るのか、国に戻るのかは、本人が決める事。その気持ちを一番大切にしたいのです。」
「マーぷ、
「ケイト、それは、今の気持ちだ。留学して、魔法の勉強もだけれど、本当の家族との時間をしっかり持つんだ。それから答えを出せばいい。慌てることはないんだ。いいね。」
「僕には、バクスター公爵の気持ちを理解出来ない。」と眉を顰める。
「王子も、ケイトもまだまだ、子供なのです。
私の気持ちを理解するには、後20年かかりますよ。
二人とも、魔法学校での学生生活を楽しむんだよ。」
マティーは、アトウッドキャクストン国とカポーティブレナン王国との国交条約の担当としての話し合いを一週間ほど、行った後に帰国した。
「エリザベス嬢、バクスター公爵が居なくなって寂しくなったかい?」
「あら、スチュアート様こそ、私とマティー様を揶揄えなくて、寂しいんではないんですか?」
挨拶代わりに、毎日、スチュアート交わしている。
マティーが国に帰ってから一週間程たっていた。
「エリザベス嬢、明日から、魔法学校だろう。
同じ国、学年だから、僕の事をステューと呼んで構わないよ。
遠慮せずに呼んで貰っていいから。」
「スチュアート様、それって、愛称でしょ。親しい人にしか呼ばせないのでしょ。」
「そうだけれど、一年間、一緒だよね。それに、国に帰った時にバクスター公爵を驚かせたいからね。」
「では、
「リズ、この国での愛称だよね。僕だけ、ケイトって呼ぶのはどう?」
「それは、駄目です。この国では、エリザベスです。
ケイトで、呼ばれるのは嬉しいのですけれど、この国の家族は、寂しく思うでしょう。この国で、暮らすのであれば、家族に寂しい思いはさせたくないのです。
だから、リズでお願いします。」
「リズ、解ったよ。この国の家族の事も、大事なんだね。」
「そうですね。この国には、親も兄もいるし、叔父や叔母まで居るのです。」
(そう、前世でも、兄妹は居なかった。そして、叔父、叔母もいなかった。
両親も一人っ子、私も一人っ子だったから。
兄妹ってどんな感じなのか?叔父、叔母の存在、そして、従兄弟も居るだろう。こうして、血の繋がりがある事の不思議を感じてしまう。
歓迎会をしてもらった時に、同じ瞳を持っている人達は、私との血の繋がった人達だろう。
あの時に、家族、血の繋がりを始めて知る事が出来た。)
「リズ、国に帰ったら、ケイトと呼ばせるのかい?」
「そうだと思います。
そのおかげで、マティー様達からも、ケイトとして大事に見守ってもらいました。
今更、エリザベスです。と言っても、外面も中身もケイトのままなのですから、ケイトと呼ぶでしょう。
私は、名前など拘りません。中身は同じだし、名前だけで、私の周りは、変わらないでいてくれると思っています。
あの時に、拾われて、良かったと今も思っています。」
「リズ、お互いに、頑張ろう。」
「ステュー、明日からは寮生活ですよ。根を上げないでくださいね。」
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