第71話
「ケイトちゃんだから、話すんだ。」と言いながら、防音結界を張った。
「ケイトちゃん、ごめんね。防音結界もだけど、バクスター侯爵と
ケイトちゃんは、バクスター公爵と本当に仲がいいね。」と目を細めている。
「マティー様とは、仲が良い。そうだと思います。幼い時から、ずっと一緒で、見守って貰ってました。私の父と同じかそれ以上かもしれません。」
「そう、父親と同じね。」と言うと、寂しげな表情になった。
「ケイトちゃん、僕には、四つ歳が下の妹がいるんだ。ケイトちゃんと同じ歳だよ。エリザベスと言って、リズという愛称なんだ。
リズはね、髪はブルーなのだよ。
瞳は、王の血を継ぐものは、赤の瞳に金色の星を持っているんだよ。」と言って、
「そうなのですね。エリザベス様も私と同じ髪の色がブルーなのですね。」
「僕が、知っているリズは、生まれたばかりの頃だけなのだよ。
リズが、生まれた時に、カポーティブレナン王国の王位継承に伴っての政権争いに、リズも巻き込まれてしまってね。
連れ去られてしまったのだよ。」
ダンフォース皇子が、
「そうだったのですね。エリザベス様がご無事だと宜しいですね。」
「無事に生きている事は、確かめられたし、今は幸せに暮らしている、と思う。」
「幸せに暮らされているのですか、良かったですね。ダンフォース皇子はエリザベス様にお会いになられて、確かめられたのですね。」と微笑んだ。
「所で、ケイトちゃん、僕の瞳を見て、どの様に見える?正直に答えて欲しいんな。」
「瞳ですか。」
「そうだよ。ケイトちゃんに、見えている僕の瞳の色だよ。」
「瞳は、赤色で金色の星がある様に、私には、見えます。」
「そう、ケイトちゃんには、星が見えるんだね。」と口角を上げ目を細めて笑顔になっている。
「カポーティブレナン王家の秘密、それは、瞳の中の星は、王家の血筋にしか見えない。そして、国王なった者の子供でないと、瞳に黄金の星は、現れない。
その事は、星を持つ者しか知らない事だ。
他の者は、人それぞれに、見える。例えば、赤色の瞳にしか見えないとか、瞳孔だけが、黄金だったり、瞳の輪郭だけが、黄金だったりと、本当に人それぞれ、なんだ。
だから、母上には、星は、見えないんだよ。
ただ、王家の血が流れている者だけは、瞳の中にある金色の星が確認出来る。
ケイトちゃん、君は、僕の瞳の黄金の星が、見えているよね。
そして、僕は、君の瞳の中の黄金の星が見ているんだ。
エリザベス、探したよ。」
「何を言ってるのですか?私は、赤色の瞳ですよ。
たまたま、魔力の枯渇で、瞳の色が変になっているだけです。
私は、平民で、バルフォアボール辺境伯様のメイドで王都に連れて来られて、王都の教会で、魔力があったから、魔法学園に入学させて頂いているだけです。」
「リズ、カルヴィンからの報告だと、捨て子だったと報告が上がってきているよ。その時に、対応していたのが、バクスター公爵とバルフォアボール領のギルバート村長だよね。
リズの育ての親は、亡くなっている事も、報告にあった。
リズがケイトとして、どの様に過ごしていたのかも、調べさせた。」と言いながら、慈しみの眼差しを向けている。
「ダンフォース皇子、
「リズ、僕は、君の兄だよ。お願いだ。ダンと読んで貰えないか?
それにね、カルヴィンは、リズが、バルフォアボール領で生きていると分かって、魔法学園に留学をさせたんだよ。」
「どうして、生きていると、分かるのですか?」
「リズ、君は、育ての親が、亡くなった時に、
この星の瞳を持っていて、国王の直系の子供だけの特徴の魔法。
父上、兄上と僕の誰かが使えば、聞こえる声が、微かに聞こえて来たのだよ。3人以外で使って聞こえるとすれば、リズしかいないとね。
だから、父上も兄上もリズが生きている事は、知っているんだよ。
リズが、
(バードが死んだ時に、生き返ってほしくて使った魔法だった。
それは、
「リズ、
大事に育てられ、最後までリズの事を思っていてくれたんだね。
今も、ペンダントは、持っているのだろ。」
「はい、片時も手放していません。」と言って、阻害認識魔法を解除し、ペンダントを見せた。
「3人で一つのペンダントだったんだね。
『さよならだ。泣くんじゃないよ。』
そして、
『俺のペンダントを外して、二人が持っていてくれ、傍にいられるから。ずっと見守っているから。笑っていてくれ。』
と途切れ途切れの言葉が聞き取れたんだ。
だから、リズが、この国に居たい気持ちは、充分に解っているつもりだよ。
カポーティブレナン王国へ、力づくで、連れ戻す気はないよ。安心して欲しい。
今回、僕が来たのは、リズをこの眼で確かめたかったからだよ。」
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