第70話

「瞳の色も、似ているので、親子に間違われてもおかしくないですね。」口角を上げ、目尻を下げている。


「ハンナ、今日は、マティー様と親子に間違われたい気持ちだわ。」と目を伏せた。


準備が終わった時に。マティーを乗せた馬車が、学園の寮に着いたと連絡が入った。

 

マティーの待っている、玄関の入り口に行くと、マティーが、目を細てて見ている。


「ケイト、今日は一段と可愛いよ。ドレスを着てくれて、嬉しいな。それに最近、瞳の色を、僕に似せてきたね。」と満面の笑みになっている。


「最近、少しは、トランス変身を使える様になってきたの、だから、マーぷの瞳の色に似せているのよ。」と自然と笑顔になった。


「さあ、行こうか。ダンフォース皇子からの要望だからね。

何も心配は要らないよ。

ケイトには、僕もついているからね。」安心させるように、優しく、頬に手をやり、ほほえんでだ。


王宮に着き、応接の間に通された。そこには、スチュアート王子とカルヴィンとダンフォース皇子がソファーに腰を掛けて、待っていた。

応接間に入ると、マティーが、挨拶をして、部屋に入る、そして、ケイトも続いて、部屋に入った。


スチュアート王子が、「急に呼び出して、悪かったね。時間があまり取れないけれど、ダンフォース皇子が、ケイトとゆっくりと話がしたいそうだ。」

と言うと、ダンフォース皇子が、口を開いた。


「ケイトちゃん、急に呼び出しに応じて貰えて、ありがとう。」と穏やかに微笑んでいる。


「そして、バクスター公爵にも、来てもらって、有難いと思う。」と、言いながら、頭を下げる。


「ダンフォース皇子、頭をお上げください。私とケイトに会いたいという事で、こちらこそ、隣国の皇子に会えるなど、光栄の至りです。」とマティーが、社交辞令の様に、淀みなく言う。


「早速なのですが、バククター公爵は、ケイトちゃんをいつの頃から、知っているのですか?すみませんが、詳しく教えて、貰えると助かります。」


「何故その様な事を聞かれるのですか?」と少し訝しげに聞くと、


「そうですね。僕が、ケイトちゃんに興味を持ったからじゃ、ダメですか?

話を聞いたからと言って、カポーティブレナン王国に連れて行く事などしませんよ。」と穏やかに言った。


「ケイトは、バルフォアボール領の出身です。私は、そこので、仕事をしている時に、ケイトと出会い、成長を見守っていました。

両親が亡くなった頃、私は王都にて、仕事をしていましたので、ケイトは、バルフォアボール辺境伯の屋敷でメイドとして、働いていました。

バルフォアボール辺境伯が、領地から、王都の屋敷に住む事になり、ケイトも王都に来る事になってからは、昔の様に、成長を見ております。」


「そうなのですね。ケイトちゃん、両親が亡くなって、大変だったね。

でも、バルフォアボール辺境伯、バクスター公爵がいらしたから、心強かったよね。」と寂しげな、笑顔をけいとに向けてくる。


「はい、特にマティー様は、第二の父の様に、接してもらっています。」とニッコリと笑顔をダンフォース皇子に向けた。


「ねえ、ケイトちゃん、お願いがあるのだけれど、その、トランス《変身》の魔法を解いてもらっていいかな?君の本当の瞳の色を見たいんだよ。」


「トランス《変身》を解くのですか?」


「ケイトちゃんは、嫌だろうけれど、僕達しかいないから、頼めるかな。」


横を向くと、マティーが頷き、魔法を解くように促された様に感じる。


静かに、トランス《変身》を解くと、瞳の色が、薄い琥珀色から、真っ赤で、瞳孔が金で周りに金の輪がある、瞳に変わっていった。


「ありがとう、ケイトちゃん。綺麗な瞳だね。

3人にお願いだけど、しばらくの間、僕とケイトちゃんの二人だけにして貰っていいかな?」とマティーを見ながら言った。


「ダンフォース皇子、ケイトは平民です、失礼が、あると大変なので、私も一緒では、いけませんか?」


ケイトも、マティー様がいる方が、安心できるのですけど、ダメですか?」


「バクスター公爵も心配性ですね、大丈夫ですよ。僕は、恋人でなないのですから、心配は入りませんよ。

それにね、ケイトちゃんも来年は魔法学園の卒業だよ、いつまでも、バクスター侯爵に甘えられないでしょ。

甘えん坊な、ケイトちゃんも、可愛いけれどね。少しだけ、二人だけで、話をしたいだけだよ。」と優しく、幼子に納得させる様に、言葉を言った。


「僕たちは、別の部屋に行きます。ケイトとゆっくりと話したください。」とスチュアート王子が、いい席を立つと、マティーも立ち上がる。


「ケイト、失礼のない様にね。」と言い、撫でると、テレパシー念話

で、『大丈夫だ、近くにいるよ。何かあれば、直ぐに呼ぶんだよ。』と言って微笑んだ。


「マーぷ。」と言って、頷く。


「バクスター公爵、もう、いいでしょう。そういう所が、恋人の様に、見えるのですよ。」とスチュアート王子が、席を離れる様に促し、部屋から出ていった。


「ケイトちゃんと、やっと二人だけになれた。少しだけ、人に訊かれたくなかったんだ。」と優しく、見つめている。


「あの、カルヴィン様にもですか?」


「そうだよ。カルヴィンにも、聞かせられない事だよ。」


「そんな事をケイトに、話すのですか?」


「ケイトちゃんだから、話すんだ。」と言いながら、防音結界を張った。

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