第68話

「お願いね。マーぷ、大好き」と言って、頬に口づけをした。


マティーが、嬉しそうに目じりをさげ、言った。


「ケイト、他の人に絶対にしては、いけないよ。いいね。

マーぷにだけだからね。」と頭を撫で、頬に軽く、口づけをした。


防音結界を解除して、暫くすると、ハンナが、紅茶とお菓子をもってきた。


「ケイトさん、紅茶をお持ちしました。バクスター公爵様とゆっくり話されましたか?」と微笑んでくれた。


「ハンナ、ありがとう。ケイトも少しは落ち着いた様だ、これからも、頼むよ、少し眼を話すと、無理をするみたいだからね。ハンナの様に気を付けて貰えて助かるよ。」


「そうですね、少しだけ、ケイトさんは、無理をされるから、気を付けますね。」


「二人とも、ケイトは、無理はしませんよ。」と穏やかに笑みを浮かべた。


そして、数日間は、カルヴィンは、何も無かった様に学園生活を送れた。


たまに、カルヴィンとスチュアート王子が、授業を受けずに、来客などの対応があったようだった。


1ケ月経った頃、カルヴィンとスチュアート王子は、王宮での国賓の対応に追われ、学園に来ない日々が続いた。


あたしは、毎日の様に、マティーとのテレパシー念話で、学園の話をする様にしている。


朝の魔法の練習も少しずつ開始して、コントロールが、うまくなった事や、攻撃魔法も使えるようになってきた。


ただ、マティーに攻撃魔法が上手くなったと話すと、女の子だから、攻撃魔法を練習をしなくても良いと、言われる事が多くなってきている。


そして、瞳の色を隠す為に、トランス変身の練習をしている。

髪の色や、顔色を変えられるようになったが、瞳の色は変えられるのに、瞳孔と瞳の周りの金色だけは、どうしても、変えられなかった。


魔法学園生活も後一年、学年の終わりに、学園に来賓が来る事になった。

王宮での歓迎の晩餐会が、行われ、その次いでに学園の見学が行われるそうだ。


各、御令嬢達は、ドレスの新調に余念がなく、賑やかになっている。


寮に戻り、いつものように、ハンナと話していると、ドレスの事が話題になった。

「ケイトさん、バクスター公爵様にドレスを頼まれましたか?それとも、辺境伯様に連絡しましょうか?」


「ハンナ、ドレスはいらないわよ。王宮の歓迎晩餐会には参加しないし、学園の見学の時は、いつものワンピースでいいのよ。」


「そうですか。」と言いながら、微笑んでいる。


次の日に、マティーからワンピースとドレスが届いた。


「ケイトさん、バクスター公爵様から、届きましたよ。」声が弾んでいる。


「ドレスは、いつ着るの?勿体無いのに。ワンピースは、学園に見学に来られた時に、着ればいいわね。でも、どちらも、マーティ様の色よね。また、王子に、言われてしまいそうよ。」


「いいじゃないですか。バクスター公爵様は、ケイトさんが可愛いのですよ。」


国賓として、来たのは、カポーティブレナン王国の第二皇子ダンフォース・カポーティブレナンだった。


「ハンナ、カルヴィン様が王宮で、来賓の準備があって、授業を抜けていたのは、皇子が来るからだったみたいね。

それでね、最近ね、王宮の晩餐会や、学園での見学にカポーティブレナン王国の皇子が来るから、みんな、凄く騒いでるのよ。」


「ケイトさんも、少しは、一緒になって騒いだらどうですか?」


ケイトは、その日は、休みたいの、ダメかな?」


「ズル休みは、ダメですよ。それに、バクスター公爵様からのワンピースを着てくださいね。」


数日後、王宮の歓迎晩餐会に参加した令嬢が、カポーティブレナン王国の皇子の瞳が、赤色で、瞳孔が金色そして、輪郭が金色だったと、話していた。


「やっぱり、皇子よね。瞳に金色が入っているなんて、凄いわ。それに、年上だから、落ち着いて見えるわ。」と色々と聞こえてきた。

髪の色はグリーンで、年は18歳だと言う事など、会話が聞こえてきた。


(皇子の赤色の瞳に瞳孔が金色で輪郭も金色なのね。

ケイトと同じだわ。カルヴィンが、皇子を呼んだのかしら?会わないようにしないと、トランス変身を使っても、金色は隠せない、目立たなくするには、瞳を薄い琥珀色にすれば、金色は目立たない。

それに、マティーの瞳は濃い琥珀色、髪はブルーのままでいいわ、マティーと同じ色だもの。

マティーと親子と言っても、疑わないわよね。

後は、カルヴィンとスチュアート王子に見つからない様にしなければならないわね。)


魔法学園に、カポーティブレナン王国の皇子が、見学に来た。

施設の案内や、クラスの授業を見学して回っている。


カルヴィンとスチュアート王子が居る、教室の見学を中心にしている。

ケイトは、二人に解らない様に、トランス変身で、瞳を薄い琥珀色に、変えている。


魔法の授業の見学になった時、スチュアート王子が、横に来た。


「ケイト、また、変わった魔法を使ってるね。」と口角を上げ、ニヤリとした。


「そうですかね。」微笑んだ。


ふと、前の方を見ると、ダンフォース皇子と、カルヴィンが、ケイトとスチュアート王子を見ながら、にこやかに話をしている。


ダンフォース王子と、カルヴィンが急に、こちらの方に向かってくる。


ケイトの前で、ダンフォース皇子とカルヴィンが足を止めた。


「はじめまして、ケイトちゃん。」



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