第62話

「はい、別に話せるとおもいますよ。」微笑を浮かべて返事をした。


「ありがとう、ケイト、さっきも聞いたけど、君の亡くなった両親って、魔力を持っていたの?」カルヴィンは、私の瞳を見つめながら聞いてくる。


「亡くなった両親は、育ての親です。私は、森の入り口で、両親に拾って貰って、大事に育てて貰ってました。両親が亡くなるまで、私が、拾われた事は、村全体の公然の秘密でした。」


「何故?公然の秘密だったの?」


「それは、両親の実の子供が、亡くなって、直ぐに拾われたからです。ケイトの名前はキャサリンからケイトの愛称ですが、亡くなった子供はキャサリンでケイティの愛称です。だから、公然の秘密だったのです。それだけですよ。村の中でも、私は、両親の実の子供の様に扱ってもらっていました。」


「所で、その森って言うのは、カポーティブレナン王国との境の森だよね。」

カルヴィンは、まだ、ケイトの瞳を見つめている。


「そうです。父はその森で、魔物に襲われて、亡くなりました。」ずっと、見つめられているので、思わず、下を向いた。


「カルヴィン、あまり、ケイトを見つめ過ぎだろ。」とスチュアートが、話を遮る様に、言うと。


「あっ、そうだね。つい、ケイトの瞳に引き付けられたよ。

君の瞳は、前からなの?」


「前からって・・・・?」少しだけ、頭を傾けながら言った。


(魔力の枯渇で起きてから、瞳の色は変わったけど、気付く人は少ないのに、カルヴィンはどうして、気が付くの?)


「赤の色の瞳の中心と輪郭が金色だろ、前からその色なのかな?」にっこりと、笑みを浮かべながら、聞いてくる。


「カルヴィン何を君は言っているのかい?」スチュアートが、怪訝そうに、言った。


「前は、赤色の瞳だけでした。魔力の枯渇で、気を失って目が覚めたら、瞳の色が変わってました。始めは気にならなかったのですけど、最近は、少し目立ちますかね?」眼を伏せて、聞いた。


「いや、そうい事では、ないよ。確認したかったんだ。

ねえ、ケイトは、村では、魔法はあまり使わなかったのかい?」


「そうですね、あまり使いませんでしたよ。」


(魔力測定の為に、使う練習はしたけれど、平民だから、魔力を持ってないのに、魔法を使う事は、可笑しかったから、使わなかったのよね。)


「カルヴィン、ケイトの瞳の色って、何かあるのかい?魔力の事と関係があるのかな?もし、知っていれば教えて欲しいな。」


(スチュアート、ケイトの瞳の色の変化に、責任を感じているのかな。)


「僕の知っている人と同じ、瞳の色だからね。少しだけ、気になっただけだよ。

ケイトって、聖属性なんだよね。エンジェルブレス光治癒天を使えるんだよね。その魔法は、いつから、使えるようになったの?詳しく教えて欲しいのだけど、駄目かな。

スチュアート、聞いても大丈夫だろ。」


「ケイト話せる?無理はしなくてもいいよ。バルフォアボール辺境伯とバクスター公爵から頼まれているからね、くれぐれも無理に話させない様にとね。」


(マティー達が、王子に言ってくれたんだ。以前なら、嫌味を言っていたのに、変わった?)


「大丈夫ですよ。以前、リーフ再生を使って、魔力の枯渇になったのです。

それ以来、魔法は余り使わない様にしていました。エンジェルブレス光治癒天は、足が無くなったらと思うと、必死になって使ってました。」


「ケイトは魔法は学園で習う以外はどこで覚えたの?教えて貰えるかな?」


「うーん、幼い時に、文字を覚える為に本を読んでいました。魔法の本もその内の一冊です。読んでいて、面白いから、今でも読んでいるだけですよ。」


(中級魔法の本は、翻訳をしないと読めないけど、カルヴィンには、知らないはずよね。)


「ケイト、リーフ再生エンジェルブレス光治癒天などは、中級魔法だよね。その本を読んで、覚えたの?

練習は、しなかったの?」怪訝そうに、カルヴィンが言う。


「カルヴィン、エンジェルブレス光治癒天を使える事が分かったのは、偶然だよ。聖属性魔法を使える者が、いなかった、そこにケイトが居て、魔力も持ちそうだから、エンジェルブレス光治癒天を使っただけだよ。」


「スチュアート、違うよ、僕が聞きたいのは、ケイトが、中級魔法の本を読んだ知識だけで、実際に魔法を使ったって事なのかを聞きたいんだ。」


(答えないといけないのよね。中級魔法は、本を読んだだけ、練習もせずに、一か八かで行った、下手をしたら、失敗していたかもしれないのに、今、思い起こすと怖い事しているわね。)


「はい、中級魔法の本を読んで、知識だけで、行いました。

ただ、その前に、リーフ再生を使った事があります。

何度も、リーフ再生を使った為に、魔力の枯渇をしてしまったのですけど。」


「ケイト、もしかして、その時の、魔力の枯渇で、瞳の色が変わった?」


「そうです。一週間眠り続けたそうです。それから、学園での対応も変わり、ケイトに、侍女をつける様に、バルフォアボール辺境伯様やバクスター公爵様が働きをかけてくださいました。」


「スチュアート、バクスター公爵って、ケイトとどんな関係があるのかい?さっきも、頼まれているって言ってたよな。」


「ケイト、バクスター公爵って、君にとってどんな存在なの?僕には、本当に分からないからね。カルヴィンにもだけど、僕も本当に、知りたいな。」少しだけ、眉を顰めている。


「そうですね、バクスター公爵ですよね。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る