第56話
「あっ」と言ったと同時に、足にぶつかり、後に倒れてしまった。
後の方から、嘲笑が微かに聞こえる。
火球が放たれたのを見て慌てて、ブラッド先生が駆け寄ってきた。
「ケイト、怪我は?」慌てて聞いてくる。
「大丈夫です。大した事ありません。」と言うと、
「その足、見て言ってるの?医務室へ早く」腹黒王子の声がする。
「今日の授業は、ここまでだ。」とブラッド先生は、授業を終わらせた。
「本当に大丈夫です。」
(多分、
ヒールは軽い怪我は治せる。そして、疲れた時にバードにヒールを使うと、疲れが取れていた。
ただ、火傷などの酷い時には、元の皮膚には、戻らなかった。
マティーから貰った本で、火傷などの皮膚の再生が必要な時には、リーフを使う事を学んでいた。
「
少しづつ、元の皮膚に戻ってくる。全てが治ったと安心をしたと同時に意識を手放してしまった。
(あれ?私、魔法の授業を受けて、火傷をしたから、治して、あー、気を失ったんだ。どうして?体が重い、動かないな。)
「やっと、目が覚めた。ケイトって、再生魔法も使えるんだ。怪我しても、大丈夫って、言うはずだよね。」
「スチュアート王子どうして、ここに?」
「君が、怪我をしたからだよ。水球が出るはずなのに、火球が出てきたからね。
誰かが故意に設定したとしか思えないんだよね。
ブラッドは、その対応をしている。
だ・か・ら・僕は君の対応だよ。Aクラスに推薦した責任があるし。マティーにも言ったからね。」眉を顰めながら言う。
「ありがとうございます。本当にもう大丈夫です。部屋に戻ります。ご迷惑をお掛けしました。」と言って、起きあがろうとするけど、起き上がれない。体が重い。
「ケイトって、魔力の枯渇は初めて?」
「魔力の枯渇ですか?」
「そうだよ。今の様な状態になった事ってある?」
「初めてです。」
「へー、魔石で魔力を吸い取って貰ってたって言ってたけど、枯渇するまでは、吸い取ってないんだ、その、魔道具って凄いよね。」椅子に腰掛け、足を組み、腕を組んで、関心を寄せてくる。
(アクセサリー見せないよ。あれ、ポシェットがない。)
「もしかして、これを探してるの?」ポシェットを持ち上げる。
「そうです。ありがとうございます。」
腹黒王子が、ポシェットを何も言わずに返してくれた。
「
「魔法を使う事にしたんだ。魔法を使うのは良いけどさ、魔力の枯渇までされるとね、少しは、自分の魔力量の事を考えて、行動して貰わないと、困るんだよね。」
「はい、すみません。気をつけます。」謝るしかない。魔力の枯渇になったのは、
「ああ、気を付けて貰いたいね。君をAクラスにした、責任が、あるとはいえ、僕も、忙しいんでね。」
「本当にすみません。もう大丈夫です。」再度、言いながら、頭を下げる。
「あー、もういいよ。反省してね。じゃ」と言いながら、部屋から出て行った。
確実に出て行った事を確認して、ポシェットから、ペンダントを取り出し、
握りしめる。
今まで、重かった身体が、楽になって来る。
(良かった。ペンダントに魔力が溜まっていたのね。エマが言っていた通りね。
魔力の枯渇を気をつけなくては、ペンダントも髪留めにも、魔力を溜めておこう。早朝に魔力を使ったら、魔力の補充をして、授業を受けるようにしなくては、同じ事にならないように気をつけよう。)
コンコン
「はい。」
「おー、目が覚めたか。良かった。」ブラッド先生が入ってきた。
「ご心配かけました。もう大丈夫です。」と、言いながら、頭を下げた。
「ケイト、君の今回の怪我は、嫌がらせの一つだった。ここまで酷い事をするとは思わなかった。関係者も判っているが、処分はできないんだ。すまない。」といい、頭を下げてきた。
「大丈夫です。自分の魔力量を知らなくて、魔力の枯渇になっただけです。
ご心配かけて。すみませんでした。
魔力量が、少ない事で、起きた事ですから、クラスの変更はできないのですか?」
「ケイト、
問題は、魔力量よりも、
眉を下げ、諦めろと言わんばかりだった。
「そんな・・・・」
(
『ケイト、どうした?返事がないけど、今は話せないのか?
一言でいい、返事をしてくれ、心配だ。』
(どうしよう、ブラッド先生がいる。)
ブラッドが、口角が上がり、ニヤリとする。
「マティーは、君の事が心配なんだね。どうする?僕が返事しようか?」
「どうして?マティーの、」
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