第54話

「スチュアート王子様、気に留めて頂きありがとうございます。」


(腹黒王子が、絡むからでしょ、こんなに、解りやすい意地悪されるのは、誰のせいだと思ってるのよ。)


「君が、大丈夫なら良いけど、何かあったら、本当に僕に頼ってよ。

僕が、Aクラスに推薦したのだから、僕の責任だからね。」


(今朝も聞いたよ、御令嬢達も聞いてたよ、でも仕掛けてくるのは、気にしていないからでしょ。もう、お願いだから、絡まないで。)


「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて、お願いがあります。」


「うん、何?僕を頼ってくれるの。」


「はい、出来れば、平民のケイトに声をかけて頂くのは、勿体無い事なので、控えて頂きたいのです。」と礼をする。

周りの御令嬢は納得したような表情をしている。


「それは、出来ない事だよね。君の保護者のマシュー・バクスター公爵から頼まれているんだからね。」


「解りました。バクスター公爵様が、言われるのでしたら、もし、よろしくお願いします。」


ブラッドフォード先生がやって来て、魔法の痕跡を見て、防御魔法を使って、物を飛ばした、御令嬢達の魔法の制御能力の補習を課していた。


その後は、何の問題もなく、授業も進み、無事一日が、終わった。

寮の部屋に戻どり、防音結界を貼り終わると、自然と独り言が出てしう。


「はぁ〜、やっと一日が終わったわ。これからの先が、思いやられるわ。」


(昔の虐めを思い出したわ。机の上にゴミをばら撒いたり、物を捨てられたり、された事もあったよね。でも、それって、小学生ぐらいだったよね。

中学の頃は、言葉の苛めだったし。今は、平民という身分の差別よね。)


「魔力量があるのだから、魔法を覚えて、上手にコントロールが、出来ればの関わってこないわよね。」と、一人、部屋で声を出していると。


直接、頭の中に、マティーの声が聞こえてくる。


『ケイト、聞こえるか〜、今日は、大丈夫だったか?』


マティーからのテレパシー念話だ。


『マーぷ、大丈夫よ。みんな、優しく接してくれたわ。心配しないでよ。

ほら、王子の責任で、庇ってくれると言ってたじゃない。本当に心配しないで。』


『それなら、良いけど、何かあったら、言うんだぞ。』


『解ってるわ、その時は、相談すから、大丈夫よ。マーぷ、魔力を使いすぎるから、おやすみなさい。』


『本当に何かあったら、言うんだぞ。おやすみ』


(マティー、テレパシー念話を、使える事が、解ったから、今日も使ったのね。あまり話すと、心配をかけるわ、魔力を使う事を理由に、早めに、話を切り上げなくては、ボロが出てしまうわ。)


部屋にある、風呂に水属性と火属性で、お湯を張り、ゆっくりとお湯に浸かり、

何も考えず、ぼーっとする。

今は、何も考えたくない。何も考えていないのに、自然と、涙が溢れてしまう。

浸かっているお湯を顔にかけると、涙はわからなくなる。


(前世のあたし、中学の時、太ってて、豚、ブス、ドラムと心の無い言葉を浴びせられれ、両親に心配かけられないから、お風呂で泣いてたな。


今は、太ってないし、顔も普通だと思うけど、ただ、平民で、魔力があるとこんな扱いを受けるとは思ってなかったな。)


お風呂から上がり、髪の毛は、風属性と火属性で、乾かす。


辺境伯の所で家庭教師から習った、生活魔法。

貴族は、身の回りの事は、侍女が準備するから必要はないが、平民のケイトには、必要な事だから、覚える様にと言われていた。


あまり、魔力も使わないし、簡単な魔法だ。お湯の温度や風の温度の調整もあまり、難しく無かった。

ただ、家庭教師には、出来ないふりをしていた。

無理なら、学園に行かなくて済むと思ったのに、侍女をつけると王宮からの連絡で、使えないふりは止めた。


「三年間よ、我慢するのよ。魔法を使わなくても、使っても、嫌がらせを受けるのは、同じなのよね、学園にいる間、魔法を使って、嫌がらせを回避する方が、良いのかもしれないわね。後、あの腹黒王子をどうするかよね。口では、頼ってよって言うけど、口では、何とでも言えるわよね。


そう言えば、ブラッド先生は、物を飛ばした、令嬢達の魔法の痕跡を見て、補習を課していたわね。

あれで、少しは、嫌がらせが減れば良いのだけれど。」防音結界を張った部屋で、声を出している。


(前世のあたしは、容姿が駄目なら、学力でと必死に努力をし、成績は良かったけれど、友達は減っていったわ。今は解る、あたしが、傲慢になっていった事だった、と。


今は、違う。平民で、魔法を使えるからと、傲慢にもなっていないし自慢もしていない。ただ、平民が魔力を持っているから、諫められているだけだ。

『どんどん魔法を使いなよ』って王子が、言ってたな。

このまま、魔法を使う事を使う事を避けて、虐められるか、

王子の言う通り、魔法をどんどん使って、虐められるか。

マティーは、ケイトが、決めてなさいって、どちらを選んだとしても、マティーは、受け止めてくれるのだろう。

前世の、両親のように、バードとレスと同じ様に。


「どちらを選んだとしても、友達はできないのよね。よーし、覚悟を決めたわ。」

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