第53話

『マーぷ、おやすみなさい』


(魔法で、念話ができるのね。昔使っていた携帯と同じねで便利よね。違うのは、直接、頭の中に話しかけられる事だったけど。

魔法は便利だわ、でも魔力がないと使えないのよね。それに、属性によっては、得意な事も違ってくる、と初級の魔法の本には書いてあったわね。


マティーは、ケイトが、将来魔法を使うと思っていたから、マナーの本や、魔法の初級、中級の本を買ってくれたのよね。


一人っ子だったあたしに、祖父母、両親に甘やかされて、育てられた。

興味があるものは、何でもさせてくれた。それとは別に、大人になった時に、学歴も重要になるからと、学習塾にも通わせていたわね。

子供の将来の事を考えて・・・・

もう、遠い昔の話ね。)


と思いながら、そのまま寝てしまった。


「あー、そのまま寝てしまった。

授業の準備、食堂に、ああ、どれからすればいいの?

一旦 落ち着こう、ふーー、

まず、今は何時?

時間あってるよね。まだ6時だから、時間はあるわ。」


防音結界を解除すると、侍女達の慌しい音が聞こえてきた、

侍女達の起きる時間なのね。


昨日、マティーと念話をして、魔力を使い過ぎたから、疲れてしまったのね、

今度は、気を付けないといけないわ。


朝の準備を終え、学園の教室に入ると、机には、ゴミが乗せられていた。


(そうよね、平民への嫌がらせか。魔法を使って、片付ければいいか。)


クリーン掃除」と一言、呟くと、机の上のゴミなどが、消えた。

そのまま、席について、授業の準備を始める。


教室の入り口が騒がしくなった。

「おはよう」と爽やかな声がする。

王子の登校で、御令嬢の取巻きが騒いているんだ。

毎朝、こんな調子なのかな?関わり合わないようにしないと、嫌がらせが増えるわ。


「おはよう、ケイト、クラスには慣れたかな?何かあったら、王子の僕に相談してよ。」爽やかな笑顔を向けて、さらりと言った。


「スチュアート王子様、心遣い、ありがとうございます。クラスの皆様が、心が広いので、平民のケイトも、普通に授業に参加できると思っております。」

と口角を上げて、笑顔を作った。


(スチュアート王子、爽やかな笑顔で、何を言いうのよ。絡まないで欲しいんだけど。これで、また嫌がらせが増えるじゃない。何か企みでもあるの?表現が悪いけど、スチュアート王子って、腹黒っぽいわ。腹黒王子って呼び名がいいわ。)


「そう、良かったよ。気になってたんだよ。平民の君をAクラスに推薦したのは、僕だからね。何かあったら、僕の責任になってしまうからね。」


(クラスの御令嬢に聞こえる様に、わざと、大きな声で、言っているわ。

流石、腹黒王子。)


「ご心配に及びません、どうか、お気遣いなさらないでください。」


「授業が始まるね、また、後で」と言って、前の席に着いた。


(関わり合わないでよ。技と絡んで楽しんでるとしか思えないわ。)


授業が始まり、簡単な座学だった。午後からは、実践を行うから、訓練場に集合になった。


お昼、庭のベンチで、お弁当になっている、ランチを一人で、食べていると、騒がしい団体が、こちらに向かってくる。


「やあ、ケイト、奇遇だね。そこでランチをとってるの、僕も、庭のベンチで食べようと思ってたんだよ。」


「スチュアート王子様、ケイトは、今、食べ終わりましたので、失礼します。」と言いながら、食べ抱えていた、ランチをしまい、席を立とうとした時に、


「食べてる途中だったよね。そのまま食べてよ、少し君と話がしたいんだよね。」


ケイトは、平民ですので、貴族の方々とご一緒には、控えさせてください。」と言って、席を立ち、一例をして、去った。


(本当に、近づかないでよ、お昼を食べそこなたじゃない。あそこ・・・・

王子も来ないわよね。)


建物の間に、大きな木があり、その下には、座れそうだった。


(ここで、阻害認識魔法を使って、ランチをすれば、腹黒王子に見つからないはずよ。次回からは、ここが良いわね。)


午後からの授業は、訓練場で、魔法を実際に使っての練習だった。

高貴族の御子息、御令嬢達は、簡単に扱える物ばかりの練習だった、

勿論、ケイトも、扱えた。


ただ、平民のケイトが魔法を実際に使える事を知った、御令嬢達は、面白くなかったのだろう。集まって、何かを相談している様だった。


最初に、公爵家の御令嬢が、今習った、防御魔法をかけた瞬間に、ケイトの足に何かが当たった。


「痛った。」疼くまっると同時に、当たった所に、掌を当て、ヒール回復魔法をかけて、何もなかった様に立った。


次には、侯爵家の御令嬢が、同じ様に魔法を掛けると、また、ケイトの腕に物が当たる。


同じように、ヒール回復魔法を掛け何もなかった様に振る舞う。


「あれ、君の所に、御令嬢達が防御魔法を使う度に物が飛んきているね。怪我はしていない?」


「いいえ、何でもありません。怪我は、していませんので、安心してください。」



「そうかな?さっきから、見ているけど、君の事を狙う様に、防御魔法を使う度に飛んで来てるよね。」


「そうですか、それなら、防御魔法なので、攻撃して来た相手と思っているのではないですか、訓練なのですから、攻撃してくる相手に、命中する事は、しっかり魔法が使えてるって事ですよね。

流石です。やはり、平民のケイトと違って、貴族だから、そういう魔法が使えるのですね。勉強になります。」


「今は、授業だよ、そんな指示を教師はしていない。ましてや、生徒に怪我をさせるような事は、指示していない。僕には、その様な指示は無かった。

君に、物を当てた、御令嬢達は、問題行動を起こしていると思うけど、何故、君は庇うのかな?」


「庇っている訳では、ありません。ただ、授業の邪魔をしたくないだけです。

もう、この先は、防御魔法で、物が飛んでくる事は、ないと思います。

スチュアート王子様、気に留めて頂きありがとうございます。」

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