第52話

あたしは・・・・」


3人が、ケイトを見ている。

繋いでいた、手に力を入れると、マティーからも、話してもいいよ。と言うように、優しく、握り返してくれる。


あたしは、魔法の事は、今は、どちらでも良いのです。

両親に育てられた時は、平民だったから、魔力なしが良かったのです。

マティー様のお陰で、私は、普通に過ごしていました。

でも、今は、魔力を持っている事が、周りにしられてしまいました。


王子の言われるように、魔法を使っても、いいと思いますが、元は、平民の子供です。貴族の人でいい気持ちをしない事も分かってします。

それなら、わざわざ、使う必要もないと思っていました。


マティー様は、あたしの気持ちを大切にし、考えてくれています。

あたしが、思った事を、マティー様が、サポートしてくれるのです。

拾われた時から、マティー様は、ケイトを見守ってくださってます。

何も言わずに、それは、両親と同じです。


マティー様達の考えで、魔法を使わないのでは、ありません。」


「解ったよ、君の考えで、魔法を人に知られないようにしていたって事だよね。」


「そうです。」


「じゃあ、今から、それ辞めない? どんどん魔法を使いなよ。」


「嫌です。」


「どうして?」


「学園内で使うのは、嫌です。貴族の方達から目の敵の様にされたくありません。

本来の試験結果ならCクラスで、最下位の成績のはずです。なのに、Aクラスになったから、御令嬢が、騒いだじゃないですか。」


「僕が、中に入って、止めたよ。」


「それが、嫌なのです。今からでもCクラスに変えてください。ブラッドフォード先生、お願いします。」


「ケイト、それは、無理だね。それに、スチュアート王子が了承しないよ。」


「王子が了承しなくても」


「王子が了承しないで、クラスの変更をすれば、王宮から、監査が入るからね。

ケイトの魔力の事が、全て知られてしまう事になるよ。」


「諦めるんだね。君には、Aクラスで、思いっきり実力を発揮してもから。」

優雅に笑う。


悔しくて、マティーの手を握っている事を忘れて、力を入れてしまった。

マティーが、ケイトの方を見て、目を細め微笑を浮かべた。


「二人に、頼みがある。ケイトが、実力を思いっきり発揮させた時に、他の貴族から守ってくれるか?そして、魔法師団を絶対に近づけないでくれ。」


「ああ、解ったよ。実力を発揮してもらえるならね、どれだけの実力なのか楽しみだ。」


「ケイト、諦めよう。学園で、好きなだけ、魔法を覚えれば良いよ。

ただ、魔法師団にだけは、注意するんだ。」


「マーぷ、それは、マーぷからのお願い?」頭を傾ける。


「そうだな、半分は、後の半分はケイトが決めなさい。魔法学園の魔法の授業では、攻撃魔法も教えるから、楽しみにすればいいよ。」マティーは私を見て、にっこりと笑った。


「そう、攻撃魔法ね、まだ、一度も本も読んでないから楽しみね。」とマティーにを見ると、笑った表情の中に、寂しそうな瞳だった。


「ケイト、魔法師団がもし、声をかけて来ても、無視するんだ、決して、話に乗ってはいけないよ。これだけは、命令だよ。」と言うと一変し厳しい表情に変わった。


「くれぐれも、魔法師団だけには、接点を作らないで貰う事が、約束だ。王子頼みましたよ。」


「魔法師団との接点を持たせない事ね。解ったよ。マティーがさ、そこまで言うの、可笑しいけど、それが条件ね。解ったよ。」ブラッドは静かに、王子を睨んでいる。


(マティーと魔法師団の間に何かあったのね、ブラッドも王子の事を睨んでいるのだから、知っているって事よね。あたしが、捨てられる前の話よね。

マティーの昔の話って、してくれないもの、その内に、ブラッドに聞き出そう。)


話が終わり、談話室から出て、マティーと別れ、ふと手を繋いでいた掌を見ると、テレパシー念話とうっすらと、書いてあった。


(マティーからの伝言だわ、テレパシー念話を覚えろ、ってことよね。

確か、中級魔法の本に書いてあったわ。思う存分使って良いのなら、この部屋でなら、他の人にはわからないから、大丈夫ね。

もしかして、マティーは使えてたけど、使わなかったのかな?部屋に戻って、練習をしよう。)


寮の部屋に戻り、防音結界を張り、中級魔法の本を取り出して、テレパシー念話の欄を探した。


「あった、これだわ。念話は、話す方が、魔力量がいるのね、ケイトは、大丈夫だと思う?けど、マティーは大丈夫なのかしら?

えーーと、落ち着いて、相手を思い浮かべ、強く念じて」


「マティー、聞こえる。マティー」やっぱり駄目かぁ〜

と思っていると、急に頭の中に声が聞こえてくる。


『ケイト、聞こえるか?』


『マティー、聞こえるわ、念話が、出来たのね。』


『そうだ、あまり話せないが、良く聞いて欲しい、この念話を使って、連絡を取ろう。ケイトだったら、話せるはずだよ。小さな事でも良いから、話して欲しいな。折角、魔法を使うのだから、遠慮なし使えるからね。』


『解ったわ、何かあれば、マーぷに言うわ。心配しないで、大丈夫よ。』


『無理はするなよ。』


『うん、解ったよ。マーぷ心配し過ぎだよ、何かあれば、連絡するからね。』


『連絡を必ずしてくるんだぞ。じゃあ、おやすみ』


『マーぷ、おやすみなさい。』

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