第48話

(最下位を狙ったはずなんだけど。どうして、Aクラスに行かないといけないのよ。)


クラス分けの掲示板を眺めていると、

「そんなに眺めたいても、クラスの変更はない。諦めて、Aクラスに行くんだな。」と言われ、Aクラスの教室の後ろの入り口から、教室内に入り、一番最後の席に着いた。


教室の机の順番は、爵位順になっている。

一番は、スチュアート王子から順に公爵家、侯爵、最後は平民のケイトだった。

10人のクラスだ。


(少ない、10人って・・・・ Cクラスは確か30人以上だったはずよ。Cクラスにしてもらえないのかな?

全員が、高貴族ばかり、どう接すれば良いのか判らないわ。

それに、どうして?私がAクラスになったのよ。理由を知りたい。)


席に付き、暫くすると、先ほど声をかてた人が入って来た。


(教師だったのかぁ、砕けた物言いだったよね。ケイトが平民だから、砕けた話し方だったのよね。)


「全員いるな。まず、初めに自己紹介からしようか。最初は、俺からの自己紹介をする。このAクラスの担任のブラッドフォード・アロースミスだ。それと、一つ注意して置くが、学園内では、の爵位は関係ないからな。」と担任が自己紹介をし、次に、スチュアート王子と爵位順に自己紹介をした。


ただ、全員が、爵位を誰も言わなかった。


(そうよね、の爵位は関係ないって言ってたからね。でも、高貴族の10人のクラスなら、みんな、私以外は、顔見知りなのよね。爵位言わなくても知っているわよね。)


最後は、ケイトだ。

席から、立ち上がり、深く頭を下げ、「ケイトと言います。」とだけ言って、深く、頭を下げ席に座った。


何故、ここに平民がいるのかと、スチュアート王子以外のクラスメイトが訝しげに見ている。


このクラスに平民がいる事をあからさまに、嫌がる表情をしている、御令嬢もいる。


その中で、空気を読んでいるのか?

「ケイト、君はどうして、このクラスなのか不満がありそうだね。」ブラッドフォード先生が、口角を上げながら言った。


「はい、ケイトは、魔力もありませんし、魔法も上手く使えません、それに、試験問題も解りませんでした。だから、どうして、このクラスなのか、判らないのです。」


(大丈夫よね、問題のない受け答えよね。失敗はしていないはずよ。Cクラスに行けるはずよ。)


「高貴族の部屋では、初級魔法以外を使っても、問題にならないが、伯爵家以降の部屋で、初級魔法以外を使うと、判る様になっている。所で、昨日、君の部屋で、中級魔法が使われたよ。

誰か来て、魔法を使った?

君以外が、魔法を使ったなら、教えて欲しいね。」


「そんな・・・・の爵位は関係ないと」

(初級魔法以外を使うと判る。マティーも辺境伯夫妻も教えてくれなかった。知っていれば、魔法を使わなかったのに。)


では、爵位は関係ないだよ。

それと、今朝も、君の部屋は、防音結界を張ってるよね。

誰がしたのかなぁ?

今は、阻害認識魔法で何かを隠してるし、それだけ魔法を使えれば、魔力量もある事は、想像できるだけど、何か他には?」


(ポシェットが見えているの?他に言い訳を探さないと、このままじゃAクラスのまま、どうすればいいの?そうよ、試験の内容が判らなかった、ペーパー試験は、間違いだらけのはずよ。)


「試験内容が判らなかったです。私には、理解が出来ませんでした。

Aクラスのレベルでは、ないと思います。」


「それね、問題はないよ。だってさぁ、防音結界や、阻害認識魔法が使えれば、理解できて、答えられて当然の問題だったよ。だから、技と間違いを書いたでしょ。魔法の試験にしても、魔力の件にしても、全てCクラスのレベルにしているよね。

そっちの方が、問題なんだけど。」口角を上げニヤリとしている。


「ブラッドフォード先生、もう良いんじゃないですか?生徒を虐めている様に見えますよ。」と言ってくれたのは、スチュアート王子だった。


「スチュアートが、言うのだから、ここら辺にして置こう。

ケイト、次回からは、実力を発揮して貰いたいね。

マシュー・バクスター公爵、それとも、アイザック・バルフォアボール辺境伯が、Cクラスになる様に、試験を受けるように指示された?」


「そんな事は、決してありません。全て、たまたま、出来なかっただけです。

ケイトが、至らなかっただけの事です。」


全ての話を聞いていた、クラスメイトの8人は、ケイトが、防音結界を張ったことや、阻害認識魔法を使った事に驚いている様だった。


ただ、スチュアート王子は、魔法の件など、全ての事を知っている様だった。


その後、一通りのクラスのレベル内容など三年間に習う事の説明を受けて、初日の授業は終わった。


そっと、席を立ち、後ろのドアから、寮に戻ろうとした時に、

「ケイト、ちょっと待って」と、声がかけられた。

後を、振り返ると、声を掛けてきたのは、スチュアート王子だった。


「ブラッドフォード先生が言っていた、阻害認識魔法を使ってまで、もしかして、ポシェットを持ってきているの?

君さ僕が、入学式の時に注意したと思うけど、無視してまで、持って来ているの?良い度胸しているね。」

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