第45話

「平民の子供としてね。」マティーは、ケイトの方に向き、


「村のみんなも、ケイトをバードとレスの子供として、扱ったよ、決して、拾われたとは、誰も言わなかった。公然の秘密さ。

だから、僕も手伝った。

ただ、ケイトの両親が、こんなにも早く亡くなるとは、誰も想像出来なかったけどね。

そして、王都で過ごす事で、ケイトの魔力が、判った時には、僕の養女とすれば、貴族の子供となり問題はなくなると思ってたんだよ。」優しく包むように見ている。


「マーぷ。ケイトは、平民で、いいの。それよりも、マーぷは、お嫁さんをもらう方が先じゃないの?」頭を傾けて言うと。


(マティーは、独身よ、子供よりも、お嫁さんが先よ。

あたしが、もっと、マティーと年齢が会えば、お嫁に行くのに、残念よね。)


、ケイトの言う通りよ、先に結婚することね。」サマンサが、目を細めながら言った。


「サマンサ、マーぷと言っていいのは、ケイトだけだよ。」


「マティー、君は、ケイトに、文字も、貴族としてのマナーや魔法も、中級魔法まで、教えていると言ったよね。それは、ケイトが、貴族になる事も考えての事だったのかい」


「アイク、半分は、当たっているが、もう半分は、魔法学園に入学する時の為だよ。

魔法学園は、貴族ばかりだからね。入学してから、ケイトが、苦労すると思って、教えていたよ。

まあ、養女の件は、両親が亡くなってから思った事だよ。


ケイトの父親と同じ様に、僕もケイトの子育てをしたつもりだよ。

昼間は、教会でケイトも過ごして、ミルクをあげたり、おしめも替えたしね。

だから、ケイトが、父親の事を『おと』と呼んで、僕を『マーぷ』と呼ぶようになったのは嬉しかったからね。」遠い目をして、話している。


「マーぷ、お願い、おしめの話は辞めて。お願いします。マティー様。」


(そうよ、赤ん坊だったから、自分で出来なかったのよ。そんな、昔の話をしないでよ。)


バルフォアボール夫妻が、笑っている。


「解ったよ。ケイト、君はどうする?マティーの養女になるかい?

それとも平民のままでいいのかな?

どちらにしても、魔法学園には、行かないといけないよ。

平民だったら、学費は、心配いらないよ。

他の費用は、バルフォアボール領民は、僕が援助するだからね。」


「ご主人様、ケイトは、平民のままで、魔法学園に通いたいと思います。

援助をお願いできますか?後、メイドの仕事はどの様にすれば良いのですか?」


「バルフォアボール領民が魔力を持っていた時の準備として、この屋敷で、勉強をさせる事になっている。魔法学園に入学の際は、バルフォアボールが後見人になり、その後、我が屋敷で働いてもらう事になるけど。いいのかな?」


「お願いします。」と立ち上がり、頭を下げる。


「アイクもケイトも、ちょっと待ってくれ、援助と後見人は、僕じゃだめかな?

ケイトが、卒業後、アイクの所以外で、働きたくなった時の事を考えれば、僕の方がいいんじゃないか?」


「マーティ、ケイトは、バルフォアボール領民として、領主である僕に頼んだんだ。それに、平民は、基本学費は免除だよ。援助するにしても、大した金額ではないよ。君が、ケイトの父親の様な気持ちもわかるけど、それなら、尚更、ケイトが、考えた行動だよ。見守る事も大切なんじゃないかな。」


「そうだな。ケイトを頼むよ。」渋々と了承をする。


マティーも渋々だが、納得し、バルフォアボール夫妻が、ケイトの学力と、魔法の技量で、家庭教師を頼む事になった。


「ケイトが、使っている本を全て持ってきて、それからよね、家庭教師を選ばないといけないから」とケイトを見て、言う。


ケイトは、ポシェットの蓋を開け、三冊の本を取り出した。


マティーは、出されていた、お茶を飲みながら、眺めていると、バルフォアボール夫妻が、驚いて、


「それって、空間魔法じゃないの?、ケイト空間魔法を使えるの?」と奥様が言ってくる。


「マティー、中級魔法を使えると、さっき言っていたよな。

本当にここまで、使えるとは、思ってもみなかった。

ケイト、中級魔法の本の訳は誰がしたのか?」


ケイトが、自分で訳してました。」


「マティー、本当に、ケイトに教えるのは、ダンスだけなのか?」


「そうだよ。ケイトは、8歳の頃には、出来ていたよ。ダンスだけは、教えられなかったからね。」余裕の笑顔を見せる。


「本当だったんだ。家庭教師は、一応付けないと、魔法学園に行った時に、色々とうるさいだろう。後、ダンスの方は、すぐに見つかるだろう。」


魔法学園に通う事になった事によって、使用人のメイドの部屋から、魔法学園生の為の部屋に移る事になる。


メイドの部屋よりも、広く、机は大きく、また本棚には、魔法の本や、経済の本など多種多様な本が沢山入っている。


また、食事のマナーを覚える為に。バルフォアボール夫妻と一緒に取る事になった。

サマンサ様とお茶をする事も。マナーの一つに入れられる。


魔法とそれ以外の科目の家庭教師は、王宮から、派遣があった。

平民が、魔法学園に入学すると王宮に連絡が入った為だった。


ただ、出来ても、知っていても、初めて習ったかの様に振舞う事をアイザック様から言われている。


一番大変なのが、ダンスだった。ステップがうまく覚えられなかった。

マティーに、ダンスが踊れないと言うと、練習に付き合ってくれる、その時だけは、何故か?上手に踊れる。

ダンスの先生も何故、マティーの時だけ、ステップを間違えないのか不思議そうにしていた。


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