第4章 学園生活

第46話

王都の教会本部で魔力検定を行ってから、この学園の入学に備え、準備をしていた。


とうとう、今日は、入学式だ。

流石に、魔法学園は貴族ばかりが入学するから、来賓には、国王をはじめ、宰相などが、並び、新入生代表は、第二王子のスチュアートが挨拶をしている。


新入生の場所と少し離れた場所に保護者達が、席についている。勿論、爵位順に並ぶのだが、ケイトは、平民だから、一番最後の席。


保護者席も、爵位順に席に着くが、マティーは、辺境伯夫妻よりも、爵位が、上だった。


私は、マティーが、高貴族だという事は、意外だった。

ただの、王宮の文官としか、思っていなかったからだ。

マティーは、公爵家の次男という事をこの時に、初めて知った。


魔法学園で、初めての平民の入学、それと、3人も保護者席に着いて来る事は、異例だった。


入学式が終わり、寮に入ると、暫くは、お屋敷に戻れなくなるので、マティーと辺境伯夫妻に、お礼を言う為に、席を立ち、近づくと、そこには、先程、新入生代表の挨拶をしていた、第二王子のスチュアートが、マティーと話をしている。

話が、終わるのを待っていると、マティーから、手招きで、呼ばれる。


マティーと辺境伯夫妻の元に行き、一礼をして、第二王子のスチュアートの前を向く。


マティーが、「スチュアート王子、先ほど話していた、ケイトです。」と紹介をされる。


「スチュアート王子、初めて、お目にかかります。ケイトと申します。」と言い、頭を下げた。


カーテンシーをするのは、貴族の挨拶だが、ケイトは、平民なのだから、頭を下げるのが普通なのだ。


「ケイト、よろしくね。同級生になるのだから、そんなに、畏まらなくてもいいよ。」笑顔で話しかけてくれた。


「王子、ケイトは、バルフォアボール領の平民で、あまり貴族社会の事は、知りませんので、もし、失礼があれば、注意をお願いします。」とアイザックが、言うと、

「王子、ケイトは、僕の可愛い、子供ですので、何かあったら、助けてやってください。お願いしますよ。」と皇子に言いながら、ケイトの頭を撫でている。

(王子に頼むって、マティー、不敬にならないの。)


「マティー、君の子供なのかい?君は独身だったよね。それに、バルフォアボール領の平民だよね。僕は、てっきり、君のだから、来ていると思ってたんだけど。」


「僕の子供同然なのですよ。ケイトの赤ん坊の時から、ミルクも飲ませてるし、おしめも変えて、育ててますからね。」

ケイトは、マティーの服の裾を引っ張った。


(ここで、口を出す事は、出来ない。だ。マティー、頼むよ、ここで、おしめの話をしないで、欲しい。恥ずかしいじゃない。

デリカシーがないよ。だから、が、出来ないんじゃないの。)


「へー、マティーが、おしめを替えてた、意外だな。

だから、なのか。ハッハハ

彼女には、はつけるのかな?」と笑っている。


(侍女なんて、付ける訳無いじゃない、判りきってるのに、言うって、性格悪いわ。)


高貴族の御子息、御令嬢は身の回りの世話をする、侍女を連れてくる。


「貴族は、侍女を連れてきますが、ケイトは、です。そして、全ての事を、出来ますからね。」とアイザックが言う。


「それなら、心配は、要らないね。所で、ケイトの持っている、その袋は、何?」


レスとバードから、作ってもらった、肩掛けバック、ケイトが大きくなり、最近では、ポシェットの様になっている。

魔法学園に入学する事となり、魔力を隠さないで良くなったから、ペンダントも、髪留めも外した。

その事に依って、持っている魔力量が多くなった為に、ポシェットの空間魔法で、空間が大きくなり、身の回りの物、殆どが入る大きさに収納力はアップしているが、マティー以外には、秘密にしている。

髪留めもペンダントも今は、このポシェットの中に、大事に入れている。


「母と父が、誕生日のプレゼントに作ってもらいました。本来は、肩掛けバッグですが、ケイトが大きくなったから、今では、ポシェットの様になっています。」と言いながら、ポシェットを握りしめる。


「注意しとくね。そのポシェットは、しない方がいいよ、多分、他の御令嬢が、何か言ってくるからね。」と、優しく、言った。


マティーも、辺境伯夫妻も、目を伏せて、何も言わない。


「はい、その様にします。」と言い、頭を下げた。


王子が去った後に、「ケイト、ポシェット部屋に置いておくのかい?」とマティーが心配そうに、声を掛けてきた。


「父と母の形見ですから、持ち歩きたいですが、無理でしょうね。部屋に置くと思います。」と静かに目を伏せる。


「そうだな、王子が、言っている事は間違い無いだろうな、ケイトは、だから、御令嬢から、目につけられやすいからな。」マティーが心配そうに、見つめる。


「ケイト、目立たない様にね。意地悪な令嬢ばかりで無いから、大丈夫だと思うけど、何かあったら、連絡してね。」サマンサも同じ様に心配をしている。


「心配してくださり、ありがとうございます。多分、大丈夫です。」と返事をし、これまでの事にお礼をし、寮の与えられた部屋に入った。


ケイトの寮の部屋は、平民なので、一番狭く、不便な場所の部屋。

そして、お付きの侍女達の部屋が近い為に、朝も早く、夜も遅くまで、出入りが激しく、煩い。


部屋には、防音結界をして、周りの音を消すようにし、必要な物だけを、ポシェットから取り出す様にする。


ただ、部屋にポシェットを置いていくのは、どうしても嫌だった。






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