第39話

「こら、二人とも、何してる。こっちに来るんだ。」

そこには、懐かしい、姿があった。


「マティー神父様。」

「マーぷ・・・」


神父服カソックではなく、貴族が着ている、スラックス、シャツに上着の服だった。


「おい、二人とも、マナーで言葉使い教えたはずなんだが・・・・」

「マティー神父様、どうしてこちらに?」

「ピーター、その前に、ここから、出ないと、ほら、診察が止まってるぞ。」


マティーに促されて、表に出てきた。

ギル村長から、ピーターとケイトは、コッテリと怒られ、それに、ピーターは年上なのだから、年下のお手本になるようにと、怒られていた。

ギル村長からのお小言が終わった後すぐに、ケイトはマティーの所に駆け寄った。


「ケイト、大きくなったね。一年半ぶりだね。」と頭を撫でられた。

「マーぷ・・・・、うん。」今まで、我慢していた、涙が溢れてしまった。


「ケイト、ゆっくり話そうか。談話室で話そうか。」


マティーと談話室に入り、これまで、起こった事を、防音結界が張られた中で、話した。


バード達が森で魔物に襲われ、バードが囮になって皆を逃して、犠牲になった事、バードに必死になって、ヒール回復魔法でも治らなかった事、ソウルリバース魂魄回帰で、バードと最後の言葉が聞けた事を話した。


そして、バードが、亡くなってから、レスが、無理をして過労で倒れた事、そして、今は、日に日に痩せて行っている事を話した。


マティーは、ケイトを膝の上に乗せて、ゆっくりと話を聞いてくれている。


バードの最後の言葉を聞いた事は、レスと二人の秘密になっている事も話、それからは、誰にも魔法の事は話していないし、レスとも話していない事も付け加えた。


「ケイト、辛かったね。」

マティーが、ケイトの頭を胸に押し当て、頭を撫でてくれる。

今まで、我慢していた、感情をマティーにぶつけた。


「ケイト、落ち着いたかい?目が兎さんになってる。

一人で、頑張ったね。傍に居てやれなくて、ごめんな。」


「マーぷ、もう大丈夫だよ、お父さんが居ない事も、慣れてきたよ。」


「そっか、慣れてきたかぁ、それより、ケイトソウルリバース魂魄回帰を本当に使えたのか?」


「多分、お父さんの最後の言葉を聞けたもん、でも、本当は、生きていて欲しくて、ヒール回復魔法を使ったのに、怪我も治らなかった、」


(今まで、誰にも言えず、相談もできなかった、

使った魔法が良かったのか?もっと、魔法が使えていれば、バードは助かったかもしれないと、今でも後悔をしているからだ。)


「ケイト、ヒール回復魔法は、生きていなければ、使えない。多分、ケイト達が、バードの処に行った時には、息は無かったんだと思う。仕方がない事だったんだよ。」


「・・・・息が無かったから・・・・もう少し速ければ・・・・」


「仕方ない事だったんだ。後、治癒属系魔法は、病気は治せないんだ。いいね。これだけは、忘れないては、いけないよ。いいね、ケイト。」

しっかりと、目を見て、強く口調と言った。


「うん・・・・」


(治癒属系魔法は、病気は治せない。こんなに強い口調で、言われる事は、無かった。もしかして、レスは、病気なの?そうよね、日に日に痩せてる。癌とか・・・・、どうすれば治るの?他の魔法は使えないの?何か方法があるはずよ。)


「マティー、病気の時に使える魔法ってあるの?教えて欲しい、お願い。」


「今は、ないよ、病気が見つかれば、薬を飲んで、栄養をつけて、安静に過ごす事くらいだ。」


「健康検診してるよね。それって・・・・」


「アイク、ここの領主、バルフォアボール辺境伯に、ギル村長とジョン達が頼み込んだんだ、レスを医師に観てもらいたいとね。話を聞いた、アイクが、村全員の健康検診ならと言いう条件で、医師を派遣したんだ。」


「お母さんの為に・・・・みんな、心配してくれたんだ。」涙が止まらなくなった。


「大丈夫だよ。心配ない。」優しく、笑顔を向けた。


「うん、大丈夫よね。ケイト、お母さんに、お父さんの分まで親孝行しないといけないの。今まで、育ててもらったんだもの。お母さんに、長生きしてもらいたいの。」


あたしが、式部として、生きた時、父も母も突然交通事故で、亡くなった。親孝行は、出来なかった。それよりも、親不孝者だ。容姿が残念だったから、父や母に文句を言った事もあった、太っていても、痩せようと努力もぜずに、父が太っているから、あたしも太っているんだ、遺伝なんだと、母が、あたしの好物を作っても、太る料理ばかり作って、太らせていると、文句を言いてた。


それでも、父も母も一人っ子のあたしの我儘を聞き、全てを受け入れていた。そんな、優しい父と母に、『育ててもらって、ありがとう』の一言も伝えられずに、突然に亡くなった。


今は、バードとレスが、ケイトの父親と母親だ。、大事に育ててもらっている。バードが、突然、魔物に襲われ亡くなった、感謝の気持ちも伝えられなかた。・・・・親孝行も出来なかった。

せめて、レスには、親孝行をしたい。父と母に出来なかった事、バードにしたかった事を、レスには、長生きをしてもらって、少しづつでも感謝の気持ちを伝えていきたい。)


「ケイトが笑ってないと、レスは悲しくなるぞ。ほら」

マティーは、両手で、ケイトの口角を持ち上げ、


「笑顔を作れ。」と言った。






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