第27話

「木片を使って、彫るだけです、どうですか?」とエマが聞く。


「木片を使って、彫る・・・・それで、アクセサリーになるのか?」


「まあ、木片を彫って、アクセサリーにするのに、一番簡単なのは、ペンダントですね。大きさや、形などは、作りやすいと思いますよ。次に髪留めで、その次は、ブローチ、最後にイヤリングやピアスって所ですね。」


「もし、俺たちが、木片で作ったアクセサリーは、エマさんが買い取るのかい?」


「そうですが、正しくは、アクセサリーの土台です。木片で彫った物を買うのです。」


「作ったのは、全て買い取ってもらえるのか?」最初に売りつけるのか?と怒鳴った男性だった。


「全てとは言えないですね。買う人は、贈る人の事を考えて、品を選びますよね。作る人も同じです。買う人の事を考えて、作っていなければ、買取は出来ないですよね。

だから、最初に、奥さんに贈る物を作って欲しいんです。」


エマの話を聞いた村の男達の数人は、木片で奥さんに贈る為の、アクセサリーを作る事にした様だった。


マティーが教会に戻った時に、エマの話を聞き慌てて、執務室で、話を聞く事になった。


「マティー、そんな怒った顔しないでよ。ほら、ケイトちゃんが怖がってるわよ。」


ケイトに手を引かれて、ケイトも執務室に一緒に連れてこられてしまっている。


執務室に入ると同時にマティーは防音結界を張った。


(何故?エマが、勝手にした事でしょ、ケイトが一緒にいる必要はないはずよね。マティー、これって、凄い怒ってるよね。)


「マティー、お帰りなさい。アイクの所に行ってたんでしょ。」


「そうだけど、君は、一体、村人に何をさせているんだい?勝手な事をして欲しくなんだけどね。」


「マティーに、迷惑掛けるような事はしていないし、指図される事もないと思うわ。」


「君は、一応、僕の元カノ何だよね、もし、何か有れば、僕にかかって来るんだけど、その事、わかってる?」


「勿論よ、私も商売なのよ、魔道具士なのよ。」


「聞かせて欲しいな、君の企みをね」


「あら、簡単よ。木片で、アクセサリーの土台を作ってもらって、魔度具の材料にするのよ。

初めて作るのは、本人達が送りたい人に贈ってもらうわ、

土台だけだから、アクセサリーにしてね。次に買い取りの時には、魔道具の材料のアクセサリーとして、使わせて貰うのよ。ほらケイトちゃんの髪留めの様にね。」


「魔道具にするって・・・・」


「ケイトちゃんの髪留めに石を入れて、魔力量の操作しているのよね。これを、他にも使えるから、村の人に作ってもらうの。

勿論、報酬は支払うはよ。

魔道具士なんだから、一つの魔道具を作れば、売れるように考える事も必要なのよ。」とエマは目を細めた。


「それにね、この村の女性がアクセサリーを付けるから、ケイトちゃんが、ペンダントを付けてもおかしく無いでしょ。私なりにいい考えと思うわよ。マティーが、怒る事じゃ無いでしょ。」


「ペンダント、いらない」とケイトはエマに向かって言うと


「残念、お父さんは、作ってくるれるわよ、多分お母さんと同じ物でしょうね。だから、ケイトちゃんは、しっかりと身に付けてね。」


「エマ、解ったけど、出来れば先に教えて欲しい。最近は、今まで、来た事もない商売人が来ていて、困っているんだ。」


(そうよ、この間も、雑貨を売りに来たけど、胡散臭ものばっかりだし、最後には、買わなくていいから、雑貨を置いて欲しいと言ってくるし、そんなのが、立て続けに来ているから、マティーの言い分も少しは解るわ。)


「そんなに、商売に来ている人がいるの?この村に?これからは、気をつけるわ、前もって、マティーには、相談するわね。」


「そうしてくれると助かるよ、所で、アクセサリーで魔度具にして、売れるのか?」


「もう、売り始めてるのよ、でもね、アクセサリーが足りなくて困ってるの、だからね思い付いたのよ。それに、ケイトちゃんがペンダントを付けていても、自然に思えるしね。」


マティーとエマの話をいつもの様にケイトは、静かに聞いている。


二人の話が終わる時にエマが、

「ケイトちゃんが居るだけで、助かったわ、マティーと二人だったら、まだ怒っていたはずよ。」と笑顔になっている。


エマが、村から離れてから、村の数人の男の人は木片を削って、アクセサリーになる様に、彫っている。


勿論、時間があると、バードも木片を削って、ペンダントを作っていた。


それから。一ヶ月程して、エマが村に来ると、連絡が来た。

木片でアクセサリーを作った、男達は、エマが来るのを楽しみにしてる。


今回、エマは、教会の隣に建てられた、宿泊場所で、アクセサリーに色付けをするから、1週間程滞在するらしい。


滞在先でエマは、一人ずつ、丁寧に、誰に贈って、色を付けるとか、色々聞きながら、アクセサリーの一部になった木片に手を加えて、ペンダントや髪留めなどの完全なアクセサリーにして、渡しながら、次回のデザインと買取金額を話していると聞いた。



「レス、もう少し、待っててくれ、順番が最後になったんだ。」


「別にいいわよ。だって、去年は、ケイトの髪留めに石を入れてもらったじゃない。今年は、色つけもエマさんがするのでしょ。

最後でも、構わないわ」


「ケイト、今年の誕生日プレゼントは、お母さんとお揃いだよ。」


「おとうさんも、おなじお揃いがほしい」

(親子で同じ物を身に付けてみたいな。3人一緒がいいな。少し幼稚かな?)


「お父さんもか、うん、少し考えてみよう。」とケイトを抱きながら、微笑んでくれた。

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