第28話

次々とペンダントを身に付けた、奧さん達が増えてきた。

色と模様とその人の個性が表れているペンダントだ。


バードは最後だから、レスにはまだ渡っていない。

今朝は、レスと一緒に教会に来ている。


「レスさん、今夜、伺ってもいいですか?マティー神父も一緒です。」とエマが声を掛けてきた。


「エマさん、構いませんよ。今夜ですね。楽しみにしてます。」

ケイトの手を引きながら、返事をしてた。


「おかあさん、いってくる。」と手をひらひらさせながら、ドミニク神父の所に、向かって行く。


「ケイトちゃん、おはよう、今日も、マティー神父の所に行く?

それとも、本を読んでもらう?どっちに行くのかな?」と態とらしく聞いてくる。


(ドミニク神父、必ずどちらに行くか聞いて来るのよね。ちょっと、ドミニク神父って言ってみようかな?どんな反応見せるか楽しみだわ。)


村の子供は、バルフォアボール辺境伯が、教会の横に建ててくれたから施設で、遊んだり、アビーに本を読んでもらったり、ジャンには文字の書き方や計算を教えてもらっている。


ドミしんぷドミニク神父、きょうは、いっしょがいい」と、少し悪戯心から、首を傾けて見ると。


ドミニク神父は満面の笑みを浮かべながら

「そう、今日はケイトちゃんと遊ぼうかな。何をしようか?」


(そんなに、ケイトと遊べるのが嬉しいのかな?ドミニク神父って、ロリコン?それとも、何か思惑があるの?)


「ほん よんでほしい」


「どんな本がいいのかな?ケイトちゃん持ってきてもらっていいかな?」


「うん」

可愛い、絵本を持って行くことにする。

マティーから読んで貰う本は、魔法に関する物ばかり、迂闊に魔法の本などは持って行けない。


「あれ?ケイトちゃんは、絵本が良かったのかな?」


「うん よんで」


(ドミニク神父、魔法の本を読み聞かせしている事を気づいている?隠し通さないと、もし、バード達と暮らせなくなりたく無い。今の幸せを失くしたくない。バードとレスが、大事に育ててくれる3歳の子供ケイトなんだから)


「そうか、この絵本ね。マティー神父より面白く読んであげるね。」


「うん」

(何を考えているのか、今一解らないな。魔法に関しては、絶対に隠し通さないといけない相手よね。)


その日は、ドミニク神父と1日中、簡単な絵本を読んで貰った。


バードと家に戻ると、エマとマティーは、テーブルの前に座っていた。

そのテーブルには、普段よりも、少しだけご馳走が並んでいた。


「ケイト、おかえり。」

おかお母さん、ただいま」


「主役が帰ってきたぞ、始めるか」と一緒に帰ってきたバードが声をかける。


「?」


「ケイト、3歳のお誕生日だよ」とマティーが声を掛けてきた。


誕生日のお祝いだった。

いつもより、少しだけご馳走がある。ささやかなお祝い、それでも、大切な人から祝ってもらえる事が、幸せだと、今はわかる。


「マーぷとエマも」

(二人が居るのだろう?いつもなら、3人だけの誕生日祝いなのに?)


4人は、ケイトの成長を話し、3歳になった事を喜んでくれている。


そして、エマが、少し大きめの箱をテーブルの上に置いた。


「ケイトちゃん、お父さんから頼まれたのよ。箱を開けてみて。」

と、言われ、箱の蓋を取ると、中には、3つのペンダントが入って居た。


「「「!!」」」

バードも驚いたようだった。


「エマさん、これは・・・・」


「バードさんが、頼んだでしょ。そして、ケイトちゃんの要望も入れて、作ったのよ。」


「でも、これは・・・・」


箱の中は、蔦の大きなペンダント、一回り小さなバラの花のペンダント、そして、一番小さいペンダントは、3つの小さな石の塊、それは、バラの花の中心に置くかのような大きさだった。


「ケイトちゃんが、3人お揃いのペンダントが良いって言った、とバードさんが言ってたじゃないですか?

それに、最初に持ってきた、ペンダントの土台にアレンジしただけですよ。」エマは、バードに微笑んでいる。


「でも、石は・・・・」


「これは、アイデア料として、取っといてください。

一つのペンダントでは、意味をなさないけど、揃えば一つのペンダントって良いじゃないですか。アイデア料ですよ。」


「バード、エマが言うんだから、遠慮なくもらって良いんだよ。

それに、村の人に説明する時に君に迷惑を掛けてようだしね。」とマティーはエマの方を向いている。


「そんな、迷惑だなんて・・・・今までこの村でお金の収入は全くありませんでした。エマさんの提案で少しですが、お金が入くるんですから」


「村のみんなも同じ意見だと良いんだがね」と眉の間に皺が寄った。


話が終わると、3つに分かれているペンダントを一つに纏めてみると、ケイトが、今している、髪飾りになった。


「ケイトがしている髪飾りは、俺が最初に考えてたモチーフだったんだ。だから、ペンダントも同じにしたかったけど、2つ同じ物を、レスとケイトにするのも味気ないなと思って、一つを分けたのさ。」


「でも、それが良かったんですよ。3人ともペンダントを掛けてみて」とエマに促されて、掛ける。

レスにバードがかけ、バードにはレスが、そして、ケイトには、二人から一緒にかけられた。


「よく似合うよ。バードさんの蔦がレスさんのバラ、そしてその中心のケイトを守っている感じのペンダントだね」マティーは目を細めている。


ただ、ケイトのペンダントの石は魔石だけで作られている。ペンダントを掛けているだけで、魔力を吸い取られる感覚が、髪飾り以上に感じている。


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