第22話

魔導具の作成を魔道具士エマに依頼をし、次の日に村に戻る事にした。

村に着き、ギル村長に声を掛ける為に、家に寄る事にする。


「マティー神父、お帰りなさい。丁度、今、ケイトが、来ているのですよ。」と言って、ケイトを呼んだ。


「マーぷ おかえり、さいなさい」とギル村長の横で、言うと、

「ケイト、お利口さんにしていたかい?」目を細めて、言っている。

「うん」笑顔で迎えるとマーティは、ケイトを抱き上げて、頭を撫ている。


「神父様、それは、父親が、我が子にする事ですよ。」と笑っている。

「バードに見られたら、怒るだろう。大変だ。」と、ニヤけている。

「神父様、明日から、またケイトを教会に、連れて行った方がいいですか?ケイトが、いなくても最近は子供たちが集まっていますよ。」

「まだ、連れてきて貰うよ。」

ケイトを抱いている腕に力をこめていくる。


(魔力検定までに、魔力なしにする練習を教会で練習するのだから、行かないといけないわよね。王都で、魔力なしにする方法を探してみると、言っていたけど、予定よりも、早く帰って来たと言う事は見つかったのかも。)


「マーぷ、せんせい おとちがう」


(いつも、マティーと一緒でも、自覚を持ってもらわないと、

ケイトの両親は、バードとレスなのよね。マティーは魔法の先生と自覚を持ってもらわないと、育てて貰っているのだから、申し訳ないわ。)


「ケイト、そうだね。お父さんは、バードだけだね。」とケイトに優しく微笑んでいる。


「バート達に、連れてくるように言ってくれ。」少し、不機嫌に言って帰って行った。


次の日、バードに連れられて、いつものように、教会に向かう。


「おはよう ケイト、昨日マティー神父、王都から戻ってきたよ。」と声をかけて来る。

「ドミニク神父、おはよう、ケイトを頼みます。」と言って、ケイトの手を離した。


「マティー神父の留守の時に、ケイトと遊びたかったですね。」


「そうだな、次回は、連れてくるよ。」


「ケイトが来ないと、他の子供達も寂しかってましたよ。」


神父が二人になった事で、子供達に文字を教える時間が増え来た。


教会の仕事はドミニク神父が主にして、子供達に文字を教える事は、マティー神父と役割が振り分けされてる様だった。

だから、いつもケイトは、マティー神父の傍にいるようになっている。


数ヶ月が経って、ジャンとアビーが村に戻って来た。


村を出る時には、村の何処にでもいる、少年、少女だったのに、ほんの数ヶ月で、執事見習いと侍女の様に変わっている。


(服で感じでが、変わったの?

数ヶ月で、こんなに人って変わるの?大人って感じだね。

あたしも、学生から、社会人になった時って、こんな感じだったのかな?)


マティー神父がドミニク神父にジャンとアビーについて話し始める。

「ジャンとアビーは、バルフォアボール辺境伯の使用人として教育されて来たんだ。辺境伯からは、教会の仕事の手伝いもするが、子供達の文字の勉強を中心にするようにと、言われたからね。」

「そうですか。子供達に文字を教える事を優先させるのですね。」と残念そうにしている。


「教会の仕事はそれ程ないだろ。」少し、苛立って言うと

「僕も、マティー神父のように子供達の方がいいですよ。」と眉を顰めて言った。

「君は、教会本部から派遣だよね。僕は、王宮からの派遣だよ。初めから仕事の内容が、違っているのだから、仕方がないだろ。」

そこまで、言われると、ドミニク神父は諦めたようだった。


「初めに、ジャンとアビーはこちらの方を手伝ってもらい覚えて貰うからな。」

マティー神父は、ドミニク神父を納得させて、ジャンとアビーを子供達の所について行った。


マティー神父は、いつもの様に、ケイトの手を繋ぐ事は、普段と変わりがないのだが、本を読む時に、アビーを呼び、子供達に本を読むように、指示を出し、文字を書く練習の子供達には、ジャンに指示を出した。


その間は、マティー神父と一緒にケイトは、二つのグループの様子を見ている。

そこに、教会の仕事が終わった、ドミニク神父がやって来た。


「マティー神父、仕事が減りましたね。」と口角を上げ、マティー神父を見る。


「そうだね。子供達に、文字を教える事は、バルフォアボール辺境伯からの仕事だよ。この村の識字率を上げる事は、この国にとっても重要な事だしね。僕は、その為に、手伝いに来たのだからね。」とドミニク神父を睨みながら、言う。


「そうでしたね。貴方と、僕の仕事は始めから違っていたのですね。」


「解ってもらえればいいんだ。それに、あの二人に全てを任せるには、早いからね。僕も君も手伝わないといけないんだよ。」


「ケイトをアビーの所に連れて行きましょうか?マティー神父がいつも、面倒を見ているようですが。」


「ケイトは、僕が面倒を見るから、このままでいいんだ。

まだ、幼いからね」とケイトを見る。


マーぷ、そと、いこマティー神父、外に行きましょ。」とドミニク神父から、離れるように、マティー神父の手を引いた。


(ドミニク神父は、ケイトの魔力の事を知らないから、アビー達と一緒に遊ばせたいのよね。マティーが、ケイトだけを可愛がっていると、勘違いしているのだわ。

まあ、2歳児の我儘を言って、外に出て行って、離れる事がいいわよね)


マティー神父は、ケイトに手を引かれて、外に出て、木の影に行くと、腰を下ろし膝の上に、ケイトを座らせた。


「ケイト、よく解ったね。助かったよ。魔力検定が終わるまで、ドミニクに知られる事は避けたいんだよね」と微笑みながら、ケイトを見つめた。

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