第17話

いつもの様に、マティー神父が、本を読み始めようとした時に、教会の前に、1台の馬車が停まった。


「サリー、悪いけど、子供達を頼む。」とマティー神父は、扉の方に向かって行こうとしている。


(珍しい、誰だろう?)マティー神父と一緒に行くと駄々をこねて見せると、

「マーぷ 一緒 いく」と言うと、マティー神父は、手を繋いでくれる。

教会にいる時は、いつも、マティー神父の側にいる様になっていた。

ケイトが、一緒に行っても、大丈夫な相手なのよね。)


30代半ばの美男子が、美女をエスコートをして、馬車からおろしている。

マナーも、洋服も、見るからに、貴族とわかる男女だった。


「マティー、久しぶりだな。」馬車から降りだ、美男子がにこやかに声をかけてくる。

「アイク、サム、久しぶり、部屋でゆっくり話そう。」笑顔で、言うと、

「マティー、その子は?」アイクが、訝しげに聞いてくる。

「ああ、2年前 連絡した子だ。 詳しい話は、後でゆっくり話す。まあ中に入ってくれよ。」


(2年前って、拾われた事、この二人にも、マティー神父、連絡をしていたのよね。それにしても、名前で呼び合うくらいだから、友達かしら?)


2人は、この領主の辺境伯様のご夫婦だった。

マティー神父には、先触れが届いた。

サリーには、何も言っていなかったから、慌てて、挨拶をしている。挨拶が終わると、子供達を外に出し始めた。

「神父様、ケイトを預かりましょう。」とサリーがケイトの手を取ろうとすると、

「サリー、ケイトはいいよ、目が離せなくなる。僕が見るよ。」

「大丈夫ですか?」と心配そうに、聞いてくる。

「心配ないよ、大丈夫だから、他の子供達を頼むね。」とにこやかに答えてる。


辺境伯夫妻と、マティー神父、そして、マティー神父の膝脳上にケイトが執務室の応接台を挟んで話を始めた。


「マティー、3年前、無理な願いを聞いてくれてありがとう、今日の様子を見ると、文字を教える事は進んでいる様だな。」


(3年も前から、文字を教える事になっていたの?

この二人は、マティー神父に頼んでいたって事なのよね)


「いや、人手が足りないよ、辺境伯様、どうか王都の教会からの応援をお願いして欲しいですね。村の人達にも手伝ってもらっているが、出来れば専従で雇いたいんだが、何せ、資金が足りなくてね、辺境伯様」とマティー神父は戯けながら、言っている。


「おい、おい、専従者って、どうするんだよ、この村じゃ、文字を知ってるのギル村長ぐらいだろ、他の充があるのか?」


「ああ、今度12歳になる、男女2人を専従者にしようと思っている、文字も書ける様になっているし、子供の面倒見もいい、そして、なりよりは、村から出なくていいから、家はからは苦情は来ないだろう。」


(多分、ジャンとアビーに事よね、二人とも大人になったら村を出る事になってたの?)


「そうしたら、王都の教会の方の応援要請か。」アイクは、厳しい表情になる。


「ああ、頼む、俺は少し別の事に、力を入れたいからな。」と言って、ケイトの頭を撫でてくる。


「その子は今はどうしているの?」今まで、口を開かなかった、サムがケイトを見ながら聞いてくる。


「僕の彼女になった。ケイトだ。」と笑っている

「マーぷ、ちがう」頭を振りながら、否定をする。

「違うって、完全否定されたわね。ケイトちゃん、マティーが悲しむわよ。」サムと呼ばれる、綺麗な女性が、微笑んでいる。


「マティー、この子は、どこで暮らしているんだ、お前が、世話しているのか?」眉を顰めて聞いている。


「いや、僕が、世話できるわけないだろ。それに、2年前にも、連絡したと思うが、過保護な両親がいるよ。」

「それなら、問題はないんだな。」

「ああ、問題は、ないよ。」


「所で、先程言っていた、別の事に力を入れたい事って、この子に関係が、あるの?」サムが、ケイトを見ながら、聞いている。


「別の事って、大した事じゃないんだ、魔法の勉強をもう一度したくなったのさ、それに、たまに王都に戻って、子供達の本も買わないといけないからな。ケイトとは関係ないよ。」マティー神父が、ケイトの頭をまた撫でている。


「ふーん、まいい。お前が、頼みがあると、言うから、面倒な事かと思ったんだが、村の専従者の件は、2人とも、うちで雇うよ、ただし、一度、うちの屋敷で、一通り勉強させてからだ、まあ、三ヶ月位の勉強で、いいだろう。子供達への本の購入も、我が屋敷で支払うから。

後、王都からの神父の依頼は、連絡する。まあ、こちらの事情を話せば何とかなるだろう。」アイクは、快く引き受けてくれた。


辺境伯夫妻は、教会の中を見られた後、帰られた。

サリーと子供達も、暫くして、帰った。


マティー神父は、ケイトに、いつものように、魔法の本を読むのかと、思っていたらケイトを向かい合わせに、膝の上に座らせ、話しかけてくる。

「ケイト、僕が、王都に暫く行くとしても、内緒の話はわかってるよね。」と聞いてきた。

ケイトは、頷き、そして、人差し指を口に当て、

「内緒 わたわかってるわ」と返事をする。

マティー神父は、ケイトの頭を撫でながら、

「そう、内緒だよ。」と口に人差し指を当ててる。


(教会にいる時は、いつも一緒だったから、暫くは、寂しいわね、本を読む時は、膝の上だし、歩き時は、手を引いてもらっていたしね。

でも、王都に、戻るって、どれくらいなのだろう。

マティー神父、2歳児なのに、しっかり大人のように、話をしてくれるから、中身40歳のあたしとしては、違和感なかったのよね。)

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