第13話

あれから、晴れている日は、教会にレスと一緒に来ている。

早く言葉を話したいと思うのと、自分でどこでもいけるようになりたいと思っている。


「バード、ケイトもうすぐ1歳の誕生日よ。お祝いは何がいいかしら?」


そう、ケイトの誕生日は、ギルが決めた。

拾った日で、ケイティの生まれた月に決められた。

ケイティと同じ日は、生まれ変わりとして、育ててしまうだろうと言う理由からだった。


「そうだな、ケイトは何が欲しいのかな?」


おと だこお父さん だっこでいいよ

最近は、お父さんは、『おと』 お母さんは、『おか』と言えるようになっていた。


「お父さんにだっこがいいのかい、それは、いつもしているからね。」


「バード、ケイトに欲しいものを聞いても解らないわよ」と笑っている。


「明日、教会で、子供達と話をして、聞いてみるわ」


「レ、、、ス ケイトが・・・・」慌てふためいている。


「何?」と振り返ると


ケイトが、立ち上がり、歩き出した。

1歩、2歩 コケた。

思わず、バードもレスも飛んで来た。


「歩いた」「歩いたわ」

「転んだのよ怪我は?」「大丈夫のようだ」

2人とも、驚きと、喜び、涙を流していた。


(まだ、2歩なんですけど・・・・掴まり立ちの時は、大騒ぎして、サリーやジョンの所に行き、ギル村長の所にまで、知らせてたわ。もしかして、今回も?まだ、2歩だものね。

知らせに来られても、困るだろうに・・・・)


「ケイトが歩いた。知らせに行かなくては・・・・」


「バード 待って、今回は、私たちだけで楽しみましょう。

もっと、歩けるようになってから、知らせましょうよ。

誕生日、プレゼントは、靴よ。決まりね。」


「そうだな。俺たちのしばらくは秘密だな。ケイト秘密だよ。」


「うん。おと、ひみちゅ秘密よね

(最近は、単語が話せるように、なってきているから、普通に会話になるのは、もう少しよね。

それにしても、歩くのを秘密って、誕生日までよね、靴のプレゼントを渡すからよね。

誕生日まで後、2日は、マティー神父の前では、歩くのは、避けなくてはいけないわね。)


次の日、レスといつものように、マティー神父から村の子供達と一緒に本を読んでもらったり、文字を教てもらっている。

いつも、ケイトは、一緒に、居るだけだとみんなは、思っている。

でも、中身は40才なのだ、最初は、こちらの文字は読めなかったが、最近では、本を見て、読めるようにまでなった。次に子供達が文字を書く練習をするのだが、やはり、体は赤ん坊なのだ、一緒になって練習はさせてもらえない、流石に悪戯だと思われて、レスにいつも預けられる。

そう言う時は、必ず、後から、マティー神父はケイトを膝に乗せて、文字の書き方を教えてくれている。

まだ、1歳になっていないのにだ。

レスが、『神父様、まだ、ケイトに文字を書かせるのは早いのではないですか?』と聞いた時に、『覚えたいようだらね、みんなと一緒じゃ、邪魔になってしまうけど、ケイト1人だったら、大丈夫だから、こうして教ているんだよ』と言っていた。


そして、今日も、本を読んだ後、文字を書く練習を始めた。

いつものように、ケイトは、レスと一緒にいる、多分、後で、マティー神父と2人で文字の練習をするのだろうと思っていた。


いつもは、マティー神父の膝の上で、机に向かっているのに、今日は、少し違っていた。

膝の上でも、話をするかのように、向かい合っている。


マープマーティ神父?」と後を振り向き、机を叩く、文字の練習をしようと、催促をする。


「ケイト今日はね、文字の練習はしなよ。

ケイトは、僕の話す事は、理解出来るようだからね。」


(言葉を理解していると知っているの?)


「ケイト、君は魔力量が多いんだ、魔力判定の時に魔力量を無いと判定させるには、魔法を使って、魔力量を減らしてから、魔力検定を受ける、うまくいけば、魔力量が減っているから、この教会の水晶には、反応しないと思うだ。」


(マーティ神父、ケイトに向かって話しているのよね、まだ、1歳よ、理解出来ると思ってるのかしら?)

頭を傾けながら、聞いていると。


「ケイトには、難しい話だよね、ただ、聞いてほしいと思ったから、話したんだよ」と微笑んでいる。


「ケイト、魔法を教えるけどね、人前で使ってはいけないよ、

君が、魔法を使える事がわかると、バード達と暮らせなくなるからね、勿論、バード達にも内緒だよ。」一転して、真剣な表情に変わる。


「解ったかい?」と訊かれて、思わず頷いてしまった。

「やはり、理解出来たんだね、いい子だ。」と頭を撫でられている。


「マープ」と言いながら、マーティ神父の腕を叩いた。

折角、魔法を教えて貰えるのだから、早く教えて欲しいと思ったから。


「ケイト、慌てないよ。使える属性を知る事と、人に解らないように使う、魔法を考えなくてはいけないからね。

今日はね、属性だけを調べるんだよ。」


(属性を調べるって、どうやって調べるのよ)


マティー神父は、ケイトを椅子に座らせて、執務室の机の引き出しから、小さな木箱を取り出した。机の上に置かれた木箱の中からは小さな水晶が出てきた。


「ケイト、この水晶に、そーと手を乗せて。」

マティー神父に言われるままに、手を水晶の上に乗せた。


水晶が、赤、青、黄、茶、と点滅したと思ったら、白く光り始めた。






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