第10話
扉の外には神父のマーティが立っていた。
突然のマーティ神父の訪問、後ろには村長のギルも一緒に来ている。
「マーティ神父、お久しぶりです。」にこやかに答えていると
「レス、久しぶりだね。ケイトも元気かな?少し様子を見に来たんだ」と爽やかに言ってくるギル。
「ええ、ケイトも元気よ。今から、お昼寝をするところなんだけど」と言いながら、少し戸惑っていた。
「あれ、神父さんに、村長、二人揃ってどうしたんだ?」子供と遊んでいる途中なのか、大きな声を出して、聞いていたのは、サリーだった。
「マティー神父と用事がって、出かけててね、近くに来たからちょっと寄ってみたんだよ。」ギルも負けじと大きな声を出して答える。
「そしたら、今は、お昼寝の時間だから、邪魔しちゃだめだよ。
時間をずらすか、別の日がいいよ。」と言いながら、子供の声の方に、駆けて行った。
「お昼寝だったんだね、邪魔したね。所で、レス、前に言ってたよね。
ケイトを神様からの贈り物なのだから、教会に顔を見せに来てねって、バードと一緒でいいから、早めに来てもらえるかな。」
マティー神父が、レスに、小さな声を掛ける。
「そうでしたね。ケイトの世話に追われていて、約束を忘れたわけではないの。」
「いいんだよ、ケイトの世話に追われている事は、聞いているから、心配しなくてもいい、ただ、僕も、ケイトの成長を見たくてね。お昼寝だったら仕方がないな。」マティー神父が、眉を下げながら言う。
二人は、サリーからのお昼寝という言葉を聞いて、帰っていった。
玄関のドアの閉まる音が聞こえ、
レスが、頭を撫で始じめながら
「ケイト、今ね、マティー神父とギル村長が来たのよ。あなたの成長が見たいとね。寝返りも出来るし、這い這いも上手になったから、明日にでも、お父さんと一緒に、教会に行きましょうね。」
夕方、バードが帰って来てから、昼間、マティー神父とギル村長が来た事を話していた。
「ケイトが、無事に大きくなる事だけを考える事で、精いっぱいだった、今朝の事で痛感したよ、余裕がなさすぎってね、
マティー神父やギルは、もしかして、俺達が、余裕がない事を知しってて、来たんじゃないかな?」
「そうかもしれないわね。丁度、サリーがギル村長に声を掛けてくれて、昼寝の時間だからって言った後にマティー神父が、納得して、帰ったわ。」
「そうか、俺はよく、ジョンを始めとして、他のみんなからも、ケイトやレスの様子を聞かれるんだよ。新米お父さんとお母さんだからな、先輩のお父さん、お母さん達も心配してるんだと思う。
なぁ、明日、教会に行こうか、マティー神父にケイトを見せて、安心させよう。」
「
「おー ケイト、ただいま、明日は、教会に行くんだよ。
マーティ神父に抱かれたら、思う存分泣いていいからな。」と言いながら、抱き上げて来た。
「
(あの時は、まだ、拾われたばかりで、これからどうなるのか不安しかなかった時、話が終わって、ホッとしてた時よね。抱き上げた時に、身体中が熱くなって気分が悪くなったの覚えてるわ。
また、同じ様に、なったら、精一杯大きな声で、泣いてやるわ)
目が覚めたら、森で、身体は赤ん坊だし、途方に暮れていたら、レスとバードに助けられて、子供として、可愛がってもらっている。誰が見ても、大事な一人娘としての扱い、新米お父さん、お母さんとして、周りからも気にかけて貰っている。
まあ、貴族の子供かもしれないから、ギル村長と、マティー神父だけは、別の意味でも気にかけているのだ。
次の日は、綺麗に晴れていた。お散歩するのには、丁度いい暖かさだ。
途中、村の人に挨拶をしながら、声を掛けて貰っていた。
勿論、中身は40才のおばさん、会釈や愛想を振りまく事を忘れていない。
一人でも、良い印象を与えて、この世界では、友達を作る事を考えている。出来れば兄妹も欲しいと思っているが、レスには無理らしいから、その事は諦めている。
サリーの家は子供が5人だったよね。兄妹がいるって、食事だけでも、楽しそうだったな。
前世でも、一人っ子だったから、兄妹に憧れを持っているけど、もし、バードが余所で作ったら、大変だから、兄妹が欲しいなどとは口にしないと決めている。
挨拶をしながら、歩いていたら、他の子供達も一緒に教会について来ていた。
教会に着き、礼拝堂に入り、祈りを捧げる。
ここに始めて来た時も、同じように祈りを捧げていた。
今なら何となく解る。神への祈りもだが、多分、ケイティへの祈りも込めているのだ。
ケイティの代わりに、ケイトを育ててくれている事を実感する。
拾われた日、ケイティの死を受け入れた日だった。
その帰り道で、
本当の子供として、いや、それ以上に大事にして貰っていると思う。
祈りをしていると、後ろにマティー牧師が、後ろに立っていた。
「来てくれてありがとう。」
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