第9話

次の日、朝早くから、痣のチェックをされ始めると、

「少し、紫色が濃ゆくなってる。」とバードが眉を顰めている。


「まだ、サリーの所に行くのは早いわよね。こんな事って、今までなかったのに、どうしよう」


「俺も心配だよ、ジョン達の所に行こう、早いけど、心配だし、俺も、仕事どころじゃないよ」


二人は、まだ早朝だと言うのに、ジョンとサリー夫妻の所に向かう。

バードは、ドアを叩き、「朝早くに悪い、急用なんだ」

ドアを開けサリーは、二人を見て、何かあったとすぐに感じ、

「おはよう 二人揃って、どうしたの? 顔色も悪いわ、入って」と、家の中に促した。


家に入ると、ジョンと子供達が食事をしていた。

「やあ、おはよう どうした 二人とも」とジョンが、呑気に声を掛けてきた。


「朝の忙しい所すまない、ケイトの腕に痣が出来てどうすればいいのか、判らないし、子供の病気かもと思って心配で、サリーやジョンだったら解るんじゃないかと思って、迷惑な事も承知で来た」とバードすまなそうにしている。


「レス、ケイトをこちらに、腕を見せて貰えるかしら?」サリーがテキパキと指示をした。


言われるがままにレスはケイトを連れて行き服を脱がせ、サリーに腕を見せた。


「あー これ、大丈夫よ」と呑気に言うと

「大丈夫って」レスは、眉を顰める。


「これは、多分、脱臼した後よ。もしかして、寝返りをした時じゃないかしら、そして、赤ん坊だと、ちょっとした事で、元に戻るの、でも、無理をしたから、痣になったんだと思うわ。

後、痣が消えるまで、二、三日かかるかもね。心配しなくても大丈夫よ、うちの子達も、いつもやってしまうから、安心していいわよ」とサリーはレスの背中を擦っている。


「私、気が付かなかった・・・・もっとしっかり見てないと行けなかったわ」レスは自分を責める様に言う。


「レス、昨日、言っていたろ、寝返りをした時、いつもと違っていたって、君はちゃんとみていたんだよ。自分を責めちゃいけないよ」バードが優しく声を掛け、慰める。


「でも・・・」とレスが言いかけた時


「レス、そんな事で、自分を責めていたら、私やジョンなんて、ここに居られないよ。もう少し、余裕をもって、子育てしないとね、ケイトも余裕のない子供になってしまうよ。子供は親の鏡さな。レスもバードも少しくらいは、余裕をもちな」サリーは豪快に笑いっていた。


「ほら、二人ともその調子だと、朝も食べてないんだろう、食べていきな、ケイトも一緒にたべようね」サリーが食卓に誘ってくれた。


「遠慮はいらないよ。それに、ケイトも大勢だと、いつもと違うから、違う表情がみられるかもよ。」


「ほら、遠慮せずに、ここへ座れよ」ジョンが椅子を指していた。


食事が始まった。子供が5人 賑やかだ。

声がしない時がないくらいにおしゃべりが続いている。


(前世も一人っ子だったから、バートやレスと3人の生活は前世と同じ感じだし、兄妹がいるって、こんなに賑やかなの、毎日が楽しそう。兄妹がいるって、こんな感じなのかな)


食事を終えて、サリー達の家を出た。


「ケイトが楽しそうだったわね。いつもよりも、はしゃいでいて、食事も多く取っていたわね。人が多いと違うのね。」


「俺達って、余裕がなかったんだね。少しでも違うと、神経質になっていた。ケイトがそんな子供にならない様にするには、俺達が、ゆったりと、余裕を持って、ケイトに接しないといけないんだ。子育て、親育てって事だね。

レス、お互いに、何事にも動じない様にしよう。でも、しっかり見る事は、忘れないようにしないとね。」


「そうね、私ね、サリーのようなお母さんを目指すわ」と目を細てる。


家に帰ってから、サリーもバードも、仕事をの準備を始めている。

いつもなら、どちらかが、側にいるのだが、今は、いない。

少し、サリーの側に行こうとして、這い這いを始める。


準備の終わったバードの足元まで、進めた。レスではなくバードの所に行っていた。


「レス、ケイトが、俺の所に来てる。寂しかったんだよ。良い子だ、お父さんの所に来てくれたんだね。」目尻を下げながら、抱き上げる。


「バード 早く準備して、早く仕事に行かないと、みんな、畑に出てるんじゃない。ほーら、ケイトが、バイバイしてるわよ。」

レスが、言っているのは、ケイトが、バードの顔を叩いてあそんでいるから バイバイをしている様に見えたみたい。


バードはケイトをレスに渡して、仕事に出かけた。


「ケイト、今日は、何をしましょうかね。お母さんは、ケイトに少し過敏になっていたし、過保護だったみたいね、サリーおばさんの様な、お母さんを目指すからね。ケイトも親育て手伝だってね。」と話掛けてきた。


(そうよね。あたしでも、解るぐらいの過保護だったし、過敏すぎるくらいの対応だったから、サリーの様な感じが良いのよね)


そー そーおねがいね」と手を振りながら返事をした。


その後は、いつもの様に過ごし、お昼を食べ、お昼寝を始めた時に、玄関のドアが叩かれた。


「誰かしらね。ケイト、少しだけ、待っててね。」と言って玄関の扉を開けた。


「やあ、久しぶり、ケイトは元気かな?あれから、君達が来ないから、様子を見に来たんだよ。」

扉の外には神父のマーティが立っていた。

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