第8話
レスとバードの仕事の時は、いつも背負われて、それ以外は、抱かれる。お昼寝の時は、必ず、レスかバードが横に座っている。
そして、夜は、二人の間に寝ている。
そんな生活ももう2カ月ほど過ぎようとしている。
多分、今
ここに来た時は、首が座っていたし、それから2カ月経つ。
今日もレスが、いつもの様に背負って、外に出ると
「おはよう、ケイト レス」と声を掛けられる。
「おはよう、サリー」とにこやかに返事をすると
いつの間にか、いつもの様に、賑やかになった。
午前中の晴れた日は、洗濯物を干す時に井戸端会議と言う、女性の大事な会議が始まる。
そして、今日の議題が、ケイトの寝返りになっていた。
口を開いたのが、サリーだ。
「レス、ケイトは寝返り始めたかい?」と聞いて来たのだ。
「・・・まだだけど もう寝返りを始める時期なの?」と不思議そうに聞き返す。
「そうだね、多分この子は5カ月くらいだよね。外に出て来た時は、首が座ってたから、3か月として、あれから2カ月だからね。もう、そろそろ、寝返りの練習を始めていい頃だけどね。」
と、不思議そうに言っている。
(練習っか・・・ 一人でいる時が無いから出来ないよね。)
「ねえ、サリー、寝返りの練習って、どんな感じでさせればいいの?」と目を大きく見開いて、聞くと、
「練習方法って、あんた、何を言ってるんだい?
ケイトを一人、広い場所で、寝かすんだよ。そうしたら、寝返りの練習をはじめるさな」
「広い場所で、寝かすだけ・・・ それは、いつ頃に練習させるの?」
「あんた・・・ 何言ってるんだい。食事の準備とか、洗濯物をたたんでいる時とか、家にいる時に決まってるだろ。もしかして、いつもケイトを背負ってるか、抱いているのかい?」と呆れたように言われた。
「そうだけど・・・」と眉を顰めながら、ポツリと答えると
「ケイトを心配でも、子育てなんだよ。ずーと抱っこや、背負ってばかりでは、育たない。今は家にいる時は、広い所に置いて、ケイトが興味を持って、動くのを見守る事が大切なんだよ。」
諭す様にゆっくりと話始める。
「
抱っこや、背負われたら、動けないよ。
大事にされている事も充分にわかっているけど、見守ってもらうと助かるわ。
「レス、子育てってね、親育てなんだよ。子供を育てているつもりでも、親の私達を子供が育ててくれてるのさ。
見守る事は、忍耐が必要だよ。ケイトはレスたちにその事を教えてるのさ」と、諭した。
「そうよね。ケイトが可愛いし、大事でなの、でも怖いのよ、もしかしてって、怯えてしまうの、だから、必要以上に背負ったり、抱っこをして、手から放せなかった。今は、もうその時期を過ぎたのよね。」
レスは、
とほほ笑む。
(やっぱり、ケイティの事が有ったから、異常なくらいに離れられなかったのよね。これで、少しは、自由に動けるかしら)
家に帰ってから、レスの背中から解放され、ベットに降ろされると、ベットで、寝返りの練習を始めた。
お尻を上げて、右手を左に持っていき、右足も左に持っていき分だった。
何度も同じ事を繰り返していると、「ケイト、ご飯を食べましょうね」と抱きかかえて、テーブルに連れて行き、ミルクと少しの離乳食を食べる。
食事が終わって、ゆっくりとベットに降ろされるが、
いつもなら、ここでお昼寝をするのだが、折角だ、先程していた、練習の再開を始める、何せコツを掴めて、寝返りができそうだから。
何度も繰り返し、手と足、お尻を振り子の様にして、バタバタと転がる。
(寝返りって、大変なのね、大人になると何でもない事なのに)
コロン と 急にベットの布団が見えた。寝返った時だった。 自分なりに吃驚してしまった。
「ケイト・・・ 寝返りが打てたのね」とレスは、駆け寄ってきた。
そこまでは覚えている、急に、寝返りが打てた後は、睡魔が襲って、記憶が途切れた。
やはり、身体は、赤ん坊なのだと実感させられることになる。
バートが、帰って来てからは、大変だった。
寝返りが見たいと・・・
少しでも、時間があると、ベットで寝かされ、見守られていた。
(バードが楽しみに見ているわ、寝返りを見せてあげたいわね。)
寝返りはまだ、上手に出来ない、バードの為、必死に寝返りをする為に、手と足と御尻を何度もバタつかせる。
その様子を、バードが両手を握りしめ見ている、やっと寝返りが出来た。喜びの声と同じに抱き上げられた。
(赤ん坊の体は大変、これから、はいはいを覚えて、早く普通に動けるようにならないと、それに言葉を覚えないと 意思疎通ができないしね)
「ケイト上手だ。凄い。レス、ケイトは運動神経がいいね。これからが楽しみだ」笑顔が止まらない
(これって、世に言いう、親馬鹿だよ、
いつもの様に、食事も、お風呂も済ませ、
ただ、今日レスが、サリーから言われた事をバードに話した。
『子育てってね、親育てなんだよ。子供を育てているつもりでも、親の私達を子供が育ててくれてるのさ。
見守る事は、忍耐が必要だよ』の話だった。
「親育てか。そう言われると、解るよな。
ケイトは、成長していく過程で、俺達が、出来る所は、手助けをするけど、必要以上にしてはいけないんだよな。」
「そうなのよね、ケイトを心配しすぎて、いつも離れる事が出来なかったの、少しでも、離れる事が出来なかったわ」
レスが、涙目になっていた。
「レス・・・・解る。君の行動は、解るよ、多分、サリーも解ってるからこそ、俺達に向けて言ってくれたんだよ。
ケイトは親育てをしているとね。
俺達は、子育て初心者だ、先輩達にもっと話を聞いて、子育てをすればいいんじゃないかな。
親育てをするケイトと一緒にね。」
「そうね。先輩のサリーにも助言をもらうし、最近はね、子供達からね、ケイトのお母さんと呼ばれてるの。その子供達からも、教えて貰うわ」と 気持ちが吹っ切れた様に言った。
「ケイトのお母さんか・・・・ 俺もケイトのお父さんと他の子から呼ばれてたいな。」
「おじさんって呼ばれてからね。」
「おじさんって、まだ、若いんだけどな」
「残念、子供達からすると、おじさんなの、私も始めはおばさんだったのよ。」
二人とも笑顔になっていた。
それからは、少しづつだが、
時々、サリーの家にも連れて行って貰えるようになっている。
(寝返りの次は、はいはいよね。お座りも出来る様に練習を、早く、歩いたり、話したり出来る様になりたいわ。)
レスは、解らない事が有るとサリーに聞いたり、井戸端会議の時に話題するようになっている。
バードはサリーの夫のジョンによく話をして、聞いているようだ。
ジョンとサリー夫妻は、バードとレスにはいい相談役になってもらっている。
ケイトを見守る時間は、徐々に増え始めた。危なっかしくても、手を出しそうになっても、我慢する様になっている。
最近では、寝返りも早くできる様になり、はいはいも、お座りも出来るまでになっている。
そんな時に、つい調子に乗りすぎたせいで、寝返りを打つときに腕が、胸の下に引いたままだった、それでも、無理に左腕を引き出すと、痛みが走る。
(痛い・・・ ここで泣いたら、大事よね。どうしよう。
多分、脱臼よね、肩にに入れないと、自分で治らないかな。)
右手で、脱臼した所をそっと撫でた。
「
「ケイトどうしたの?」慌てて、レスが駆け寄ってきた。
(腕、入った、治ってる。良かった。)
何事も無かった様にしていた。
その日の夜、お風呂に入った時に、いつもの様に、身体の隅々のチェックを二人がする。
少しだけ、左肩に痣が出来ていたらしい、二人は、朝からの事を真剣に話始めた。
「そう、ケイトが寝返りを打った時に、珍しく声を上げた後ね、両手と両足を上げたの。今まではそんな事をした事がないのだけ、その後はいつも変わりなかったの」とレスが眉を顰めていた。
「いつもとの違いはそれ位か~、寝返り時に、何か物があったり、当たったりしなかった?」
「無かったわ、寝返りの時、もう少ししっかり見てるわ。」
「それもだけど、この痣も心配だね。レス、明日でも、サリーに聞いてみてくれるかい?」
「そうね、何かの病気じゃないといいのだけど。」
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